其処は青が、無限に続く世界だった。
仄かな白い光が、朧気な平線を作っている。
青年は一糸纏わぬ姿で、其処に居た。
『ダイバールックを設定してください』
システムの声が脳裏に響き、彼は思うがままコンソールに提示されたアイテムを使い、ダイバーとなる自らの姿をビルドする。
髪型を、衣裳を、体格を、自分好みにセット。
そして決定ボタンを押した瞬間、自分の体が重力に引かれるように進み始め、軈て碧色の電子の壁が見えてくる。
其処には英文でこう書かれており、ケイは通り抜ける瞬間に意味を訳せた。
『
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GBNセントラル・ディメンション、メインロビー。
硝子の自動ドアが開き、1人のダイバーが今、此の電子の世界へとログインを果たした。
「此処が…GBN………」
目の前を行き交う様々なダイバー達を見ながら、此の世界の一員となった朱鳥 慶………ダイバーネーム『ケイ』は、設定した自分のダイバールックを確認する。
ケイの姿は身長170cmで体重65㎏、リアルより少しだけ全身の筋肉が発達し、髪型は自分が好きなキャラの『フリット・アスノ』に加え、ヘアカラーは『シャナルア・マレン』の桃色に赤加えた『赤桃色』。
服装は水色の半袖と紺のジーンズ、背中にはリュックサックを背負い、動きやすさを重視したラフな格好となっている。
「これ、ホントに凄いな…」
『自分であるのに、自分ではない』━━━其れがケイというダイバーが、此の世界で一番最初に抱いた感覚だった。自身の体温や感覚が、ゲームの世界であるにも関わらず良く『出来過ぎて』いる事が、彼に其の感覚を抱かせたのである。
「お!ケイ~!」
そんな時、自分の名前を呼びながら、下駄をガランゴロンと鳴らして、此方にやって来るダイバーが1人。其の者は筋骨隆々体格と茶色肌、金髪の巨大なリーゼントに一昔前の学ランとズボンを着付け、腹にサラシを巻いた身長200cm越えの強面大男。
「え……っと、どちら様で?」
「ズゴー!?」
こんな知り合い居たっけ?といった具合に、ケイは指で頬を掻きながら問い掛けると、其れによりヘッドスライディングを決めてしまう男。
「オラだべよ!オーラー!」
親しい間柄の者に話す時に出る、特徴的な田舎訛り。其れによってケイは、漸く此のダイバーの『正体』に気付くに至る。
「え"…もしかして………『カンタ』……?」
「そだべ!ごれがオラの、GBNでの姿!『カンタ』だべよ!」
ババーン!と効果音が聞こえてくるかのように、胸板を広げてカンタは鼻を鳴らす。確かに顔立ちも順太郎によく似てはいるが、此処まで違うと声を聞くまで全く分からなかった。
「てか、ケイのダイバールック似合ってるべよ!ガンダム作品に居たら、ネームドキャラになりぞうだ!」
「えっ、そう…かな?」
少し照れ臭くなり、髪を弄って視線を反らすケイは、話を切り換えるためにこう言った。
「あ…そう言えば、俺達の作ったガンプラって何処に在るんだ?」
「お!やっぱり自分のガンプラ、気になるべな?じゃあ……行くべ!」
カンタがコンソールを操作すると、ケイとカンタの周りの風景が幾度か切り替わり、4回目の変更で其の場所に2人は到着。
周りを見渡すと、ユニコーンガンダムが置かれていた格納ベースのような機材が建ち並び、其の手前に自分の作ったAGE-1が凛々しく立っているのを見付けた。
「此処はオラ達のガンプラが置かれる『格納エリア』!ミッションやクエストとかに行く前ば、此のエリアの『システムベース』でガンプラを確認じでから行ぐんべ!」
カンタと共に歩き、自分のガンプラを見つめる。組み立てられたAGE-1 ノーマルは1/144スケールだった全長が作中の大きさになっており、近くで見るとAGE系列のガンダムが持つ特徴『見上げると優しく、見下ろすと鋭い表情』が、ハッキリと分かる。
「AGE-1 ノーマル…」
━━━何処かに連れていってくれるの?
ケイの耳にAGE-1の声が聞こえる。自分と同じように、此の世界に産まれて、知らない事や観たことない物を、見聞きして感じたいと思っているのだろう。
「ケイ~!オラの機体もあるべよー!」
カンタに呼ばれ、一旦AGE-1から離れるケイ。呼ばれた先で彼を待っていたのは、赤い小さなモノアイと深みのある緑で統一された、ズングリスタイルのガンプラだった。
「わぁ…!カンタのガンプラ、良い出来だね」
「へへっ…!オラにとって、大事なガンプラだべ!」
鼻を擦り、ニヒヒッと笑うカンタ。ガンプラの名は『ハイモック』と言い、ガンダム…延いてはロボット作品に登場する『量産機』の部類に入る存在。
しかしGBNにおいて、そんな量産機も作り込みからディテール、艶消しにトップコート等を極めれば、ガンダム相手に打ち勝てるだけの性能を獲得出来るのだ。
事実、彼のガンプラが置かれたシステムベースが表示しているパロメーターは何れも高い評価を貰っており、特に作り込みは『B+』を記録している。
そんなハイモックは、右手にマシンガンが一丁のみの非常にシンプルな武装だった。
「武装はマシンガン…だけなのか?」
「んだよ~。やっぱり改造とかするのも良んだが、どうもピンとくる武装が無ぐで、今までマシンガンと格闘で何とかやっでだだ」
初めたては本当に大変だっただよ~と、昔を思い出して首振り人形のように頭を動かすと、其れに連れた彼のリーゼントもまた、ブワンブワンと大きく揺れる。
「んで、ケイはどうするだよ?ミッションとかクエストとか、何かやりたい事ってあるだか?」
「やりたい事、やりたい事……じゃあさ、GBNを探索してみたいな。どんなエリアが在って、どんなダイバーが居るのか、知りたい」
「探索!良いべよ!んじゃ、直ぐにガンプラに乗るべ!」
「………ガンプラに乗る?」
カンタから言われた言葉に、ケイは首を傾げる。そんなケイにカンタは高らかに、GBNの魅力の1つである『ある事』言ったのだ。
「そう!オラ達はこれから、ガンプラに乗って行くんだべよ!!カタパルトに乗って、出撃するんだべ!」
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各々、自分のガンプラに搭乗を完了すると、コンソールに『出撃しますか?』と『Yes/No』の選択画面が提示される。2人は其の選択肢の『Yes』をタッチした瞬間、システムベースが自動下降を開始し、2機のガンプラを運送していく。
「ガンダム作品の機体って、こんな感じでカタパルトに行って発進していくんだね。何か、緊張してきた……」
『オラも初めは緊張したし、其れ以上にワクワクしただ。其の気持ちは大事にするんべよ、ケイ』
「ワクワクする気持ち…か。確かに、そうかもしれないね、カンタ」
何気無い会話を重ねている内に、彼等のガンプラを乗せたベースはカタパルトエリアへと到着。一直線に敷かれたレールの先に、赤いランプと無数の電灯が灯り、最奥には開かれた出口が見えている。
「すげぇ…!」
『出撃タイミングは、オラ達に一任ざれどるべ!ケイ、おもっきり行くんべよ!』
ベースが固定され、AGE-1 ノーマルの足元もロックされた。ランプが赤から青へと変わり、電灯がウェーブし光を放つ。
「よし……えっと、ダイバー・ケイ!ガンダムAGE-1 ノーマル!
ケイの口上を聞き届けた刹那、電磁式のカタパルトがベースを超スピードで加速させ、其れによりコックピットで操縦桿を握っているケイにも、強力なGが掛かった。
「おおおおおおおおおおお!?」
直後、足元をロックされたAGE-1が解放され、機体はセントラル・ディメンションの空へと放り出される。当然ながら、此の世界でケイは操縦桿を操ることも、空を飛ぶことも初めてで、ブースターを噴かす手段を知らない。
━━━━━であれば、機体は重力に従って地面に落ちるのみである。
「うわぁあああああああ!?ブースター、ブースター!?」
空中から落下し始めるAGE-1を、何とかしようと操縦桿とボタンを弄り倒していると、機体は空中で回転したり、ステップを踏んだりし始める。
そうして四苦八苦し続け、最終的にレバーを前に倒した事で脚部と背中のブースターが稼働し、機体の制御は漸く安定すると共に落下しなくなった。
「ほっ………良かったぁ………」
『ケイ~、大丈夫だが~?』
安定した所、通信画面にカンタの顔が映り、彼のハイモックが隣にやって来る。彼方は随分と操縦に慣れている様で、まるで自分の身体であるかのように、機体を動かしていた。
「手慣れてるね、カンタ」
『オラも最初は全然だっただよ~。ケイも絶対上手くなれるべさ』
「うん…頑張ってみる。…何処に行こうかな」
『じゃあ無難に、一番近いディメンションなんでどうだか?』
「お、それ良いかも。じゃあ其れで」
『よっじゃあ、れっづごー!だべ!』
2人のダイバーと、彼等を乗せた2機のガンプラは、サウスゲートを潜り抜け、未知なるディメンションへと旅立ったのだった…………
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ゲートを越えた2人の目に飛び込んできたのは、新緑の草花が大地を命の色で彩り、暖かな陽射しと優しい風が吹く、小高い丘が広がるディメンション。
セントラルが都会であるなら、此のディメンションは外国の奥地に在るような場所だろう。
「わぁ…!」
『良いとこだべ~…こういう場所で、ピグニッグとか出来だら最高なんだな!』
「確かに…!やってみたいな、ピクニック…」
メインカメラに移ろい行く風景を眺め、ケイはコンソールを開き、カメラ機能を始動。自分がGBNを初めて、カンタと一緒に冒険した記録を残すべく、写真撮影を行おうとした。
其の時。
━━━━━━━誰か助けて!
ガンプラから聞こえる声。其の声が、悲鳴に等しき言葉と共に飛来し、青年の身体がビクン!と跳ねた。
「!?何だ、今の……」
『ケイ、どしたべ?』
「いや、今『助けて』って━━━━」
ケイが感じた事を言う直前、遠方で爆発と轟音が幾度も響き、黒い煙が上がっている。
━━━━━━助けて!誰か!
「カンタ!向こうでガンプラが、助けを求めてる!」
『何だっで!?こうしちゃいられんべよ!!』
ケイとカンタを乗せたガンプラは、操縦士の想いを汲み取るように、スラスターを全開に現場へと急行する。2機がメインカメラで捕捉したのは、小さな『2頭身サイズ』のガンプラが、自分達と同サイズのガンプラに囲まれ、袋叩きにされている様子だった。
『やめてください!僕が…僕が、貴方達に何かしたんですか!?』
『うるせぇよ、ガキが!』
『雑魚は大人しく、ポイントになりやがれッ!』
袋叩きにしている機体の内、ブリッツガンダムの蹴りが小さなガンプラを空に蹴り上げて、左腕のロケットアンカー『グレイプニール』が、大きな頭部を掴まんと飛び出した。
「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおお!」
ケイの叫び。同時にAGE-1 ノーマルの右手に握る武装『ドッズライフル』は、精密射撃モードに移行していた。マニュアルにした訳でもない、ましてや初めて武装を操作した。謂わば『直感』━━━━━こうすれば、こうなると思った結果、現在の状況に至り。
「おおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!」
カンタのハイモックが小さなガンプラを空中キャッチしようと、全開のブーストで空を駆ける中、ドッズライフルの銃口から飛び出した螺旋状の閃光がグレイプニールを貫通。被弾箇所から火花が走り、数瞬の後に爆散し、テクスチャの塵となった。
其の隙にカンタのハイモックが小さなガンプラを拾って後退し、一足先に着陸したケイのAGE-1 ノーマルの隣に降り立つ。
『何だお前等は!』
ブリッツガンダムのダイバーらしき者の声がするが、ケイは鋭利なナイフが如き視線で見据え、怒号に変えて言い放つ。
「お前等がやってるのは、ただの『弱い者虐め』だ!人として恥ずかしく無いのか!」
『んだとゴラ!俺達が何だって!!?』
『オレ等は其処のチビと遊んでただけだ!』
『邪魔したのはテメェ等だろが!』
青年の言葉にキレたり、一切悪びれる様子も無く、自分達が正義だと主張するダイバー達。そんな彼等を前に、ケイの声が再び響く。
「何度でも言ってやる!お前等がやってるのは『遊び』なんかじゃない!ただの『弱い者虐め』だ!『自分の弱さに負けた、最低な奴のする事』だ!そんな奴等を、俺は絶対に許さない!!」
弱者を蔑ろにし、踏みつけ、奪い取る。ケイが━━━━朱鳥 慶という人間が、此の世で『最も嫌う事』を向こうのダイバー達が行った。
朱鳥 慶は感情が昂ったり、感情が露になる事は『滅多』に無い。其れは、彼自身の過去に起きた出来事が切欠であり、『人が創った物の声を聞く事が出来る』という、他者とは異なる能力にも関係する。
『人が創った物には魂が宿る』という話が有り、其の魂は強い想いを込めて産み出された物程、大きく。そして強い声を放つようになる━━━と。
誰にも聞き取れない声を、物に宿った想いと願い、祈りを聞き取れるが故に、彼は『孤独』を味わい。そして其の力によって、心に『罪』を背負う事になったのだ。
其れは━━━━━━━彼が最も嫌う『弱者を踏みつけにして、奪い取る事』が『自分の能力によって起きてしまったから』。
以来、自分の目の前で、同じような事が起きているのを見ると、彼は自分の姿が、其れを行っている者達と重なるようになった。
利用された自分が憎く、嫌気が指す程の怒りに駆られ、同じ過ちを繰り返させないと、そんな呪いに等しき使命感が、思考と感情を支配する。
『お前等がどう思おうが勝手だけどよぉ…!』
『此の戦力差を見て尚、そんな口がまだ叩けるってかぁ!?』
ブリッツガンダムを始め、カラー違いのインパルスやストライク、スローネシリーズの機体等がぞろぞろと此方に近付いてくる。
四方八方の包囲網が迫る中、ケイとカンタは小さなガンプラを守るために、決死の覚悟で戦う姿勢を見せた…………まさに其の時。
『よく言った!ボウズ!』
上空から声が響いた、其の数瞬。亜光速に等しきスピードと、着地時の衝撃がディメンション全域を震わせて。
嵐のような砂埃の中、ヌルリと浮かんだシルエット。そして現れたのは、X型のバックパックブースターにサテライトパネルが取り付けられた、
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『其れ』は突然やって来た。
濁りの銀を主体に、肩や頭部等を藍色に染めた、渋さを含んだカラーリング。クロスボーンガンダムが共通して持つX型のバックパックブースターと、肩に掛けられた両腕部と両脚部を隠す防御兵装『フルクロス』。
腰部に懸架したムラマサブラスターとザンバスターに、フルクロスから僅かに覗くバタフライバスターが見え、其の胸部には巨大な銀の『髑髏』が在った。
『よく言った、ボウズ!今の台詞、アタシのハートをビリリと痺れさせた!』
右手に握るバタフライバスターを構え、其の銃口をブリッツガンダムに向けたクロスボーンガンダム。通信画面越しに映ったダイバーは左目を眼帯で隠し、顔に大きな切り傷、頭に巨大鳥の羽飾りが付いた海賊帽子を被る、セミロングの青髪の女性ダイバーである。
『あ、あの人ば…!』
『な、何だと…!!』
『
目を輝かせるカンタとは対照的に、ダイバー達は彼女の存在に恐れ戦き、ジリジリと後退していく。
『何でか?初心者狩りの臭いがしたから』
『以上』と言い終わった瞬間、バタフライバスターから放たれた弾丸が、打撃武装に対し高い防御力を発揮する筈の『PS装甲』に守られた、ブリッツガンダムの膝関節を撃ち砕き。
『━━━━は?』
『初心者狩りは、アタシがやるさん』
続け様に胴体を撃つや、機体を空に飛ばして、空中で空き缶をボレーするガンマンの魅技のように、四肢を引き裂き、頭部と腰部を切断し、最後にコックピットに狙いを済まして。
『じゃあな、屑野郎』の一言の後、迷い無く引き金を引き、ブリッツガンダムのコックピットを貫いて、爆発四散させたのだ。此の間僅か『10秒』足らずの出来事に、ケイとカンタは開いた口が塞がらず。
『あ、ああ…!』
『うわぁあああああああ!』
『ば、化物がああああああ!』
初心者狩りをしていたダイバー達は発狂し、出鱈目な射撃を開始するが、バタフライバスターをサーベルモードに切り替え、振るいまくったクロスボーンガンダムにより、其の全てを叩き落とされ、水疱と帰する結果となった。
『アンタ等みたいな奴等にだけは、化物呼ばわりされたくねぇよ』
スラスターが噴かれ、銀色の閃光が敵ダイバー達の間を迸る稲妻のように駆け抜ける。一瞬の静寂が訪れた直後、クロスボーンガンダムとケイにカンタ、そして小さなガンプラを除く、全ての機体が輪切りにされ、地面に転がった。
「か、かっけぇ……」
テクスチャとなって消えていく機体達を背に、此方に振り返ったクロスボーンガンダムの姿は、ケイの瞳と記憶に深く、焼き付く事になったのだった。
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「ありがとうございます…!ありがとうございます…!」
銀色のクロスボーンガンダムが、初心者狩りダイバー達を一蹴して数分、小さなガンプラ…『SDガンダム』と呼ばれる機体から降りてきたのは、2本の角に八重歯が覗くインキュバス風のダイバールックをした少年だった。
「本当にありがとうございます…!今日の事、絶対忘れません!本当に、本当にありがとうございます…!」
「礼なっていらねぇよボウズ。それよりゃ早いとこセントラル・ディメンションに戻って、自分がやられた事をメッセージに書いて報告しとくと良い」
3人に幾度も御礼を繰り返した後、其の少年は初心者ダイバーの救済措置として用意されている、緊急帰還ボタンを押す。自分の身体がセントラル・ディメンションに転送されていく瞬間までも、彼は何回も頭を下げ続けていた。
其れを見届けた後、其の女性ダイバーが此方に振り返る。彼女の鼠径部には、顔と同じく大きな切り傷があり、豊満な胸部と引き締まったウエストを主張する衣裳、そして海賊帽子が似合う海の女海賊の姿だ。
「しっかし、其処のボウズ。さっきの台詞、中々痺れたよ」
そう言った彼女は、先程までの冷酷な戦闘スタイルとは真逆の、明るい笑顔でシヒヒッと笑っていた。
「あ、あの~…」
「ん?どうした、ボウズ?」
そんな中、ケイの口から飛び出したのは彼自身が無知であるが故の言葉であり、カンタと彼女に絶大な衝撃をもたらす事になる。
「貴女は有名なダイバーなのですか?」
「ぶっふ!?ケイ、おま!?此の御方を知らないんべが!?…あ、始めたばっかだから同然だべ」
「ぷっ…アッハッハッハッハ!アンタ変わってるね、中々面白いじゃないか!」
カンタが慌てた後、冷静になったのに対し、女性は豪快に笑い飛ばす。そして2人に、己のダイバープロフィールが記された画面を提示する。
「アタシは『フランシス』っつう名前だ。まぁ、覚えておくと良いぜ。あと、アンタ等は面白そうだし『フレンド登録』を結びたいんだが、良いかい?」
「え、良いんですか?」
「モチのロンさ。そっちのリーゼントボウズは『それなり』にやれるが、アンタは見たところ初心者だろ?頼れるヤツは1人でも多い方が良い」
確かに人脈が太ければ、いざという時に役に立つ。ケイは快く承諾し、カンタはガチガチに緊張しながらフレンド登録を結ぶ事となった。
「さて、ボウズ達は『マギー』ってヤツと知り合いになることをオススメするぜ」
「マギー?」
「ケイ、其の人は後でオラがぢゃんど説明じでやるがら、安心するべよ!」
物凄い眼力で迫るカンタに、引き気味になったケイ。そんな2人を横目に、彼女は自分のガンプラに乗り込んだ。
『じゃあな、ボウズ達。またどっかで逢えると良いな!』
嵐のようにフランシスは去っていった。ケイにとって此の出会いは、GBNで初めて出来たカンタ以外の人との繋がりでもあったのだ。
「で、カンタ。あのフランシスさんって有名なダイバーなのか?」
「あっだりめぇだぁ!あの人ばな━━━━━━」
そしてカンタからフランシスの事を教わったケイは、驚きの声を上げたのだが…其れはまた別の話。
ハイランカーエンカウント
ダイバー紹介
フランシス(CV:高乃麗):ケイとカンタがGBNを冒険中、初心者狩りダイバーに襲撃されていたダイバーを助けた直後、突如乱入した女性ダイバー。一人称は『アタシ』で、二人称は『ボウズ』または『アンタ』。顔と鼠径部に大きな切り傷と左目に眼帯をし、豊満な胸部と引き締まったウエストを主張するセミロングの青髪で、女海賊の衣裳をしている。
『初心者狩りを狩るダイバー』として、GBNのダイバー達から『
また、本人は気付いていないがビルドコインの浪費癖が酷く、常に財布が痩せ干そっている。
其の正体はGBNフォースランキング25位『ジェントルズ』のリーダーにして、ワールドランニング28位のハイランカー。初心者狩りを許さないと叫んだケイの勇気を気に入り、フレンド登録を結んだ後、情報通として知られる『マギー』というダイバーの事を教えた。
ガンプラ紹介
クロスボーン・オーバーロード:クロスボーン魔王をベースに、X1フルクロスを初めとしたクロスボーンシリーズの要素を取り入れて製作した、フランシスのオリジナルガンプラ。
武装はフランシスがミッション毎に切り換えるが、基本的には腰部にムラマサブラスターとザンバスター、両手にバタフライバスターの二刀流スタイルを主流としている。
見た目こそX1フルクロスとクロスボーン魔王のミキシングだが、頭部にマイクロウェーブ受信機能が存在し、放射されたウェーブを受け取り、自機のエネルギーに変換するシステムや、X型のスラスターにある太陽パネルを用いた二重のエネルギー供給で、高い稼働時間と出力の獲得に成功。
マイクロウェーブはエネルギー変換以外にも、スカルサテライトキャノンとして使用出来るため、其の戦闘力は計り知れない。
また本機体には、GBN内通貨『ビルドコイン』を消費する事で『ガチャウェポンシステム』を使用出来る『必殺技』が備わっている。此れは、X1パッチワークの腕部のIフィールドジェネレータをカプセルステーションの代わりに、X3のIフィールド発生の為の掌からカプセルが飛び出すギミックにより成立し、スカルウェポンとクロスボーンシリーズの武装から、ランダムに1つ選出するトリッキーな技。ビルドコインを消費し続ければ、幾らでも武装ガチャが出来るのも特徴である。
但し、ガチャの性質上ダブりが発生する事は避けられず、フランシス自身がミッションで得られたビルドコインを散財する傾向が強いために、ガチャウェポンシステムの性能をフルに発揮出来ない場合が多い。それでも選出された武装を十二分に使いこなして、弱気を助け強きを挫く姿は、正に戦皇の名に相応しい。