ガンダム・ビルドライジング   作:ガリアムス

22 / 38
前回の続きな第22話!







Ep,22 G5アタック

「最初はバルバトスか…!」

 

周囲を警戒しつつ、振り下ろされるメイスを避けたケイとビヨンドガンダムは、頭部に搭載したバルカン砲『チェンジバルカン』をビームから実弾に切り替え、ツインアイ目掛けて連射した。

 

バルバトスを含め鉄血世界のMS達には『ナノラミレートアーマー』と呼ばれ、エイハブ・リアクターと組み合わせる事でビーム兵器を軽減する、特殊な塗料が塗られている。

此れを突破するには、近距離からの大質量打撃武装や攻撃、ナノラミレートで軽減不可能な超高出力ビーム兵器を用いる等の方法があり、ケイが選んだ方法は実弾を用いた攻略であった。

 

しかし難易度はハード、相手のバルバトスも振るったメイスを盾に、バルカン砲を防ぎきる。そう簡単に倒させてはくれない。

 

(今のビヨンドガンダムには『決定力』となる武装が、脚部のチェンジランチャー以外に無い。だったら…!)

 

何を思ったか、ケイはビヨンドガンダムのブースターを噴かし、ビームライフルを数発射ちながら、バルバトスへ真正面から突撃した。

 

『ああああっとぉ!ダイバー・ケイ、バルバトスの射程距離(キリングレンジ)に自ら飛び込む!一体何を考えたァ!!!』

 

対するバルバトスはビームを左右に揺れて躱わしつつ、真正面からメイスの一撃で叩き潰す構えを取る。

 

(まだだ…!)

 

ケイが見るのは、バルバトスの『腕』の動き。質量兵器であるメイスは、近接戦闘において凄まじい破壊力がある。しかし其の武装は、使い手の『パワー』と『加速距離』が十分確保される事で、初めて真価を発揮出来るのだ。

 

(バルバトスのメイスは強力無比。でも、其の一撃は『振られる』事で数多の敵を屠るに至った。つまり━━━━!)

 

バルバトスの腕に力が込められ、メイスの動きが一瞬止まる。其の瞬間、ビヨンドガンダムは右手のビームライフルを投げ棄て、バックパックと足裏のブースター、脚部のスラスターをフルスロットルに噴かして零距離下に持っていき、悪魔の両腕を押さえ込んだのだ。

 

「振らせる前に止めれば、メイスは唯の鉄の塊だ!」

 

『何と!ダイバー・ケイ、バルバトスの打撃を撃たせる前に押さえ付けた!しかも!』

 

アルルは見逃さない、エイハブ・リアクター2基を搭載し、当時の最新鋭機グレイズと渡り合うだけの馬力を誇ったバルバトスのフレームが、ビヨンドガンダムの力に押し負け掛けているのを。

 

「喰らえ!」

 

ケイはビヨンドガンダムの左膝で、バルバトスの胸部を狙う。スラスターの加速に加え、AGE-2 マグナムとビルドバーニングを組み込んだ事で得られた、渾身の膝蹴り。

 

腕を押さえられ、防御が間に合わなかったバルバトス。其の胸部に痛烈な一撃が入り、握っていたメイスが手から離れた。

 

『バルバトスに押し勝つパワー!此れは凄い!凄いぞぉぉぉぉぉ!』

 

「これで終わりだああああああ!」

 

悪魔の手より離れたメイスを握ったビヨンドガンダムは、マウントされた太刀を取ろうとしたバルバトスよりも迅く、其の鋭利な鋒をコックピットブロックの在る胸部に衝き込み。

 

内蔵されたパイルバンカー機能で、クランク・ゼントの駆るグレイズを討ち取ったように、其の一撃で悪魔の心臓を完全に止めたのだ。

 

『ダイバー・ケイ!武器を奪い取り、バルバトスを討ち取った!残り4機!』

 

ケイは力無く漂うバルバトスから太刀を回収、右手に握りつつ、左腕に固定したシールドにより空いている左手にメイスを握り、次なる敵機の到来を待つビヨンドガンダム。

 

と━━━━━

 

「………砲撃!」

 

真上に飛翔した刹那、先程まで自分が居た場所を走る、黄金の閃光が一筋。ビヨンドガンダムがツインアイで捉えたのは、真紅の翼と共に漆黒の宇宙を翔る『1羽の鳥』。

 

其の後に追従する、黄色を主体にしたカラーリングに身を包み、コーン型のバーニアをバックパックと胸部に追加されたスラスター、長く伸びた肩部のバーニア等、宇宙戦を想定したガンダム。

 

「ウイングガンダムと試作1号機フルバーニアン……!どっちも高機動機体!」

 

ビームライフルの位置を確認し、バスターライフルの射軸に乗せようとしてくるウイングガンダムへ、左手のメイスを投擲。其のまま距離を取りつつ、ビームライフル目掛けて一直線に突撃する。

 

しかしフルバーニアンは其の行動を予測し、高機動を生かして先回り、自身のビームライフルでビヨンドガンダムのビームライフルを狙撃。ライフルはスパークを起こし、宇宙で1つの花が咲いた。

 

「っ、そう上手くはいかないか!」

 

流石は難易度ハード、敵も早々やられもしなければ、此方が嫌な事もやってくる。ビームライフルを失った事で、ウイングガンダムとフルバーニアンの危険度が高まる。ケイとビヨンドガンダムが此の状況を切り抜けるには、先ず2対1の挟撃状態を脱却する必要があった。

 

(先に倒すべきは、ウイングガンダムだな……)

 

ウイングガンダムの主力武装ビームバスターライフルは、ガンダム世界でも指折りの火力を持つ。アレを奪い取れれば、ビームライフル以上の威力で遠距離攻撃が出来るようになる。

 

「…やってみますか!」

 

言うが早いか操縦桿を思いっきり前へ倒し、ビヨンドガンダムがシールドを前に掲げ、ウイングガンダムに直行を掛ける。其の行動にウイングとフルバーニアンは、ほぼ同時に反応。

 

ウイングはビームバスターライフルを構え、照準をビヨンドガンダムのシールド中心部に定め、フルバーニアンは持ち前の宙間機動を生かして、背後を取りながらバックパックを撃ち抜く態勢を整えた。

 

が━━━━━━

 

「うおりゃあ!!!」

 

ケイは後方……背後を取ったフルバーニアンへ、後ろを向いたまま、バルバトスから奪い取った太刀を投擲した。本来ならばニュータイプや、鋭利な察知能力を持った者で無くては出来ないが、ケイには創作物の声を聞けるという、他者にはない持って産まれた特殊な共感覚が、其れを可能にしたのである。

 

鍛え抜かれ、研ぎ澄まされ、グレイズのフレームを断ち切る程の切断力を持った刃に、フルバーニアンのAIは何を思ったか、左手の盾を離して太刀目掛けて蹴たぐり、三日月の軌道を描きながら、ケイのビヨンドガンダムへ己のビームライフルを構えた。

 

剣と盾がぶつかり、同時にスパン!と音が響き、フルバーニアンのシールドは横に両断され、其のまま暗闇の中へ溶けていく。

 

「当たらないか━━━━━!」

 

高熱源反応センサーが前方及び右方向に警報(アラート)を鳴らし、迫り来るは黄金色と桃色の2つの閃光。状況的に十字砲火と言える攻撃であり、避ける事は容易く無く。

其の上、ハードモードの特性から2機はまるで、血の繋がった兄弟か姉妹がダイバーとして操っているかのように、ビヨンドガンダムの回避行動を予測して撃ち込んだ。

 

「やべぇ………!」

 

━━━━━━━ケイ、右脚のランチャーを!

 

「ッ━━━信じるぞ、ビヨンドガンダム!」

 

不意に聞こえたビヨンドガンダム(己のガンプラ)の声。ケイは迷う時間も無く、其の声を信じて、右脚に組み込んだチェンジランチャーを実弾モードで使用する。

 

オールラウンダーが特徴であるアッセンブルスタイルに置いて、脚部チェンジランチャーは最高火力を誇る武装。本来はAGE-2 マグナムの足のスパイクと、踵に在るクローで視線を固定して放つ其の砲撃は、並の装甲で受けようものならば、致命傷足り得る一撃となる程の威力。

 

成れば━━━『姿勢を固定せずに撃った場合どうなるか?』

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

放ったチェンジランチャー、其の威力によって安定していなかった機体は、砲撃の反動で左に大きく回転しながら、フィギュアスケーターのように移動。

ビームバスターライフルとビームライフルの十字砲火を、咄嗟に避けるに至る。

 

『ダイバー・ケイ!絶体絶命の一撃を、脚部ランチャーの反動で回避!危機一髪だああああ!!』

 

DJアルルの実況が聞こえる中、ウイングとフルバーニアンのAIは、再度ビヨンドガンダムの撃墜プランを計算し直す。次に同じ回避行動を行っても、彼方は其れを計算に加えて撃ってくるだろう。

 

「此所で、絶対に決める!」

 

ビヨンドガンダムの爪先を伸ばし、踵のクローユニットを展開。AGE-2 マグナムの高速飛行形態(フェニックスモード)と同じ高機動モードで、全力のブーストでウイングガンダムへ強襲を仕掛けた。

 

対するウイングガンダムは、ビームバスターライフルを左手に持ち替え、左腕に装備したシールドからビームサーベルを抜きつつ、肩のマシンキャノンを連射し牽制を掛ける。

 

だが━━━━━

 

「マシンキャノンが何だって!」

 

左手のメイスを前に突き出し、牙突の態勢で突貫。実弾攻撃が肩や頭部に入り、衝撃がコックピットのケイに響く。

 

「負けてッ、たまるかぁ!!!」

 

ビヨンドガンダムの耐久力を信じて、マシンキャノンの中を突き進む。距離が徐々に近付き、ケイはメイスをウイングガンダムのシールド目掛けて振るい。ウイングガンダムもシールドでメイスを受け止めながら、ビームサーベルでビヨンドガンダムを袈裟斬りにしようとするも、左腕に固定したシールドに阻まれる。

 

「……そう、この状況が欲しかった」

 

ケイが呟き、其の刹那。

 

ビヨンドガンダムのシールドが、サイドアーマーが、ウイングガンダムの胴体と胸部に向き。先端より桃色の光が4つ飛び出し、翼の機神の胴とコックピットを貫いた。

 

ライトニングガンダム由来のサイドアーマーと、GM/GM由来のシールドには、各々ビームサーベルを懸架出来るようになっている。彼は其のサーベルの向きを敢えて『逆』にする事で、ビルドストライクのような超至近距離下(ゼロインチ)での不意討ち(手札)を持たせた。

 

━━━フルバーニアンが来る!

 

「ああっ!」

 

糸が切れて力を失った操り人形の如く、ダランとしたウイングをメイスで前に押し出し、左手のビームバスターライフルを強奪。フルバーニアンにメイスを投げ、ウイングのバックパックに爪先と踵のクローを固定し、ビームバスターライフルを構え、砲撃。

 

フルバーニアンはメイスを回避し、続くビームバスターライフルの一撃も胴体を分離するギミックで躱わし、其のままバーニアを全開に距離を詰めてきた。

 

「おおおおおお!」

 

ケイは脚部バーニアを操作し、フルバーニアンがギリギリまで近付いたところで、足場にしていたウイングガンダムを蹴り飛ばす。

 

其れをシールドで弾いたフルバーニアンだったが、先程迄居た筈のビヨンドガンダムが消えてしまい、センサーとツインアイで探知する。

 

直接、蹴り飛ばした反動で下に回り込んだビヨンドガンダムから、ビームモードに切り換えた脚部チェンジランチャーが2発放たれ、フルバーニアンのバックパックと胴体を貫通、宇宙に花火が咲いた。

 

『ケイ、ウイングガンダムと試作1号機フルバーニアンを突破!残すはあと2体!』

 

消滅する前にフルバーニアンのビームライフルを鹵獲し、最後に備えるケイとビヨンドガンダム。

そんな1人と1機の前に現れる、残り2体のガンダム。

 

1つはクリアグリーンカラーの大型ウイングを背に、暗闇の宇宙に降り立った機体。託された名に『自由』を冠し、今尚ガンダムファンから高い人気を博す、朱色のフリーダムガンダム。

 

そしてもう1つは、ケイにとって『始まりの機体』。黒や紫を基調に、藍色を加えたカラーリングが施され、全体的にダークな姿をした、ガンダムAGE-1 ノーマル。

 

あと2機を倒せば、G5アタックをビヨンドガンダムと共にクリア出来る。

 

「やってやろう…ビヨンドガンダム!!」

 

奪い取ったビームバスターライフルとビームライフルを握り、ビヨンドガンダムはAGE-1 ノーマルとフリーダムへ最後の戦いを挑み。

 

フリーダムとノーマルもまた、己の持つ最高火力を以て超越の機神を迎え撃った。暗闇に幾度も華が咲き、轟音と共に鋼鉄がぶつかり合い、そして1人のダイバーがミッションを達成する為、果敢に2体を相手に奮闘する姿を観客やリスナー達は見守り、其の戦いを見届ける。

 

「まだ、だぁぁぁぁ!」

 

ドッズライフルにシールドを失い、レール砲で脚部チェンジランチャーを破砕させられながら、残されたサーベルや鹵獲武器、内蔵火器を全て用いて一心不乱に、2体のガンダム達を相手に食い下がる。

 

幾度も鍔競り合い、戦いの最中に左腕を失い、頭部の左側を焼かれながらも。ビヨンドガンダムとケイはノーマルの左足と右腕を破壊し、フリーダムの右翼を切り裂き、右脇腹に風穴を穿った。

 

彼と彼の機体は、自分の全力を尽くし、己の機体を信じて、最後まで戦い抜く。

 

(此の戦いは、俺の新たな一歩!ビルドライジングのリーダーである前に、GBN(此の世界)に生きる1人のダイバーとして!)

 

「これが!俺のッ!戦いだああああ!」

 

最後は原作最終決戦に於いて、半壊しながらもフリーダムがプロヴィデンスを撃墜し、ナチュラルとコーディネイターの血を血で洗う戦争を終わらせたように。

ビヨンドガンダムは限り無く大破に近い状態で、乾坤一擲のビームサーベル逆手斬りを叩き付け、2体の胴を真っ二つに仏陀切った。

 

其れによりフリーダムとノーマルがほぼ同時に爆発し、衝撃でビヨンドガンダムは大破状態となり、コックピットでは各部の危険を告げる『HAZARD』マークが、モニターを所狭しと埋め尽くしていく。

 

しかし、それでも。ビヨンドガンダムとケイは僅かな力を振り絞り、ビームサーベルを握った右手を宇宙に掲げ、此の戦いに勝利した事を宣言する。

 

同時に響くはミッションクリアを報せるアナウンスと、自身の打ち立てたタイムがコンソールに表示された。

 

『歴代ガンダムと戦うG5アタック、其のハードモード!ビルドライジングリーダー、ダイバー・ケイのタイムは11'29"47!ランキングは………68位!68位ですッッッッッ!』

 

DJアルルの実況と共に、観客とリスナー達はケイの奮戦を拍手を以て讃えた。其のタイムは今の自分の実力であり、ビヨンドガンダムが此所まで傷付いた戒めと思うだろう。だが、青年にとっての其れは、己に成長の余地が残されている事を知り、同時に戦いの中で新しい可能性が引き出される、良い経験となった。

 

「ありがとう、ビヨンドガンダム。俺達はまだまだ、もっと強くなれる……!」

 

ビヨンドガンダムと同じく、ケイはコックピット内で右手を天井に掲げて握る。其の瞳は迷い無く、先の景色を見つめていたのだった………━━━━

 

 

 




大事なのは、タイムよりも達成した事実
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。