そんな第36話
*筆者が職場のパワハラによるストレス性うつ状態になってしまい、現在は退職して療養中の身であり、投稿が遅れましたことを報告すると共に、以降の投稿ペースが激減速することを御伝え致します。
GBNにて、ジョーによる苛烈なる修行を受けた日の翌日。ガンプラの箱でのバイトを終えた慶は、其の足でビルドシリーズの棚に在る『TRY AGE-マグナム』と『HWS&SVカスタムウェポンセット』に、『ガンダムEz-SR』と『ノンスケール MSキャノン01』のキットをレジへと持ってきた。
「國弘さん、これくださいな」
「あいよ。慶、こいつでやっと『アレ』が完成するんだな」
「はい、後はパーツの塗装すれば完成しますね」
「バトルスクランブル用のビヨンドガンダムの改修も、あと少しだがらなぁ」
ニッコリと微笑み、会計を終えた商品を受け取った慶は、レジエリアに待機していたヒノワを差し出した掌に乗せ、肩に移動させる。
其処からヒノワは、慶が何時も使っているリュックサックに入り、顔をちょっとだけ出した状態にして、國弘に「ばいばーい!」と言った。
「じゃあね、ヒノワ君。慶と順太郎も気を付けて帰ってね」
「はい、國弘さん」
「また明日だべ~」
ガンプラの箱を出て、駅に向かう慶と順太郎とヒノワは、其の道中にて駅近隣に在る雑貨店へ立ち寄った。此処での目的は、ヒノワのベッドになれるであろう、小さな小型のクッションと毛布の代わりの布の購入であった。
「慶~。ここたくさん、色んな物あるね」
「うん。今日は、ヒノワのベッドを探そうと思って。何時までも固い机がベッドっていうのも、駄目だなって」
「ベッド…ふわふわの…?」
リュックサックから身体を乗り出し、青年の肩まで行くや、キラキラした目で此方を見てくるヒノワ。
ELダイバーの後見人としての責務を果たすため、ヒノワには出来得る限り良い環境で生活出来るようにしたいと、慶は考える。
「あぁ、ふわふわのベッドを探してみるよ。一緒に質感…触り心地を見てくれるかな?」
「うん!」
「もぢろん、オラも探すの手伝うべざ!」
それから、ヒノワのベッドに適したクッションと布を探し出し、其の合間に慶と順太郎もまた、各々の私生活に必要な物資を買い揃えた。
『ありがとうございましたー』
「なぁカンタ。バトルスクランブルに向けてガンプラの武装周り、少しだけ手伝ってくれるか?あまり時間が無くて…」
会計を終えて、店の外に出た慶は順太郎に頼んでみた。数日後に迫るGBNのイベント…運営が用意したバトルフィールド内で、ハードコアディメンション・ヴァルガの無法地帯を行うという、トチ狂ったバトルサバイバルイベントこと『バトルスクランブル』。
其のイベントに向け、最終調整段階に入ったビヨンドガンダムRevの、装備及び接続する武器の塗装が今のペースでは期日に間に合わないという状態に在ったのだ。
「お、大変な事あるべ?だら、オラに出来るごどあっだんら何でも言っどけれな!」
「本当か?ありがとう、やって欲しい事は……━━━━」
慶は順太郎へ、明日中にバトルスクランブル用に使う武装達を塗装し、ビヨンドガンダムに装備して見栄え等のチェックを行う事を伝える。
「うし、分かったべよ。此方で揃えられるもんば揃えで、明日にば慶の居る寮に行くべざ」
「……すまん、本当に助かる」
こうして順太郎の協力を取り付け、一先ず安心した慶。其の後、順太郎は明日の約束の為、一足先に駅へと走っていき、慶はヒノワと共に駅前のコンビニへと足を運ぶ。
ヒノワが衆人環視の目に入らぬよう、入口付近でヒノワにリュックのジッパーを締める事を伝えた後、閉めてコンビニへ入店。
弁当コーナーの値引きシール付きハンバーグ弁当を片手に、明日以降に朝食で食べるロールパンやレンジで作れる白飯パックをセルフレジに持っていった。
慶は馴れた手つきで商品のバーコードを読み込ませ、レジが表示した金額を会計を済ませ終えた後、ビニール袋に買った品物を入れ、コンビニを出た後にチャックを閉めていたリュックを開ける。
中から「ぷはぁ!」とヒノワが息を吐いて顔を出し、慶を見ながら「暗いの、ちょっと怖かった…」と上目遣いで言ってくる。
中性的な顔立ちに加え、無垢であざとさが押し出されたヒノワに、内心ドキリとしつつも駅へ小走りしていくのであった……。
*********************
午後10時30分、某大学内学生寮一室…
鍵を開け、誰も居ない部屋に向かって「ただいまー」と一言述べた慶は、玄関の鍵を閉めて靴を脱ぎ、リュックサックとビニール袋のハンバーグ弁当を玄関に置いて、出てきたヒノワを手に乗せて自分の勉強机に運ぶ。
「ケイー。ケイは今日のごはん、なに食べるの~?」
「クッション選びのあと、帰りに寄ったコンビニのハンバーグ弁当買ったから、今日の夕飯は其れにするよ」
小型のテーブルにハンバーグ弁当を置き、雑貨店でヒノワと一緒に選んだ小さなクッションを取り出し、自分の勉強机に乗せる。
「ほわぁ………ふかふかぁ~♪」
ピョンと跳ね、クッションの柔らかな生地に飛び込むヒノワは、其の触り心地を堪能。ゴロゴロと転がり、ピョンピョンと跳ね、まるで子供の様な可愛らしく、無邪気にはしゃいでいる。
そんな同居人の微笑ましい光景を横目に、玄関に置いていたリュックサックを勉強机の近くに、ハンバーグ弁当を電子レンジに入れて加熱しながら、冷蔵庫の中から牛乳の入った紙パックを取り出し、棚から白地に緑のハロがデザインされたマグカップに注いで、テーブルに置く。
「よし出来た。ヒノワ…ってあれ?」
フカフカを堪能し、眠気に襲われたのか、スースーと寝息を立てヒノワは眠りに付いていた。
「……気に入ってくれて良かった」
ヒノワの寝顔を見ながら、そうだと慶はスマフォで写真を撮影し、保存する。そして彼の邪魔をしないようにと布をお腹まで掛けて、自分は暖めた弁当を食して容器を洗い、其の足で浴室に赴いて衣服を脱ぎ、シャワーを浴びた。
タオルで身体を拭き、腰にタオルを巻き、衣服タンスから下着と寝間着を取り出し、浴室に戻って着替え終える。
最後に慶は部屋の電気を落とし、スマフォで目覚ましアラームをセットして、充電器に挿した後、目を閉じて眠りへと落ちていったのだった………。
*********************
翌日の朝7時。某大学内学生寮……
ピピピピッ♪と目覚ましのアラームがスマフォから鳴り、慶はモゾモゾと動いた後に眼を覚ます。
「ふぁあ……ん、んんん…」
アラームを止めて大きな欠伸と共に大きく背を伸ばし、カーテンを開く。窓の外、硝子越しに見える快晴の青空には雲一つ無く、白く燦々と輝いた太陽が昇り、夏晴れを予感させていた。
「さぁてと、だ。今日中にやらないと、明日のバトルスクランブルに間に合わなくなるぞ…!」
半袖短パンの寝巻きを脱ぎ、半袖半ズボンのラフな格好に着替え、部屋に備え付けられた洗濯機に衣服を入れた。
そうして食器棚からマグカップを、冷蔵庫から牛乳を取り出してカップに入れつつ、コンビニで購入したロールパンを口に詰め込み、牛乳でパンを咀嚼し飲み込む。
「…ぷぁ!よし、ご馳走さまでした!」
パンの袋の口を結び、マグカップをシンクに持っていき、蛇口を開いて流水で軽く濯ぎ洗い、積まれたキットの箱からランナーを取り出し、必要なパーツをニッパーで切り出し、紙ヤスリでランナー跡を処理する。
そして其れを繰り返していき、スマフォの時刻表示画面が午前9時半を過ぎた頃。寮の玄関に設置されたインターフォンが、ピンポーン♪と鳴った。
「はーい」と玄関へ行き、扉を開けば2mに近い身長を誇る大男にして、慶の数少ない友人である順太郎が立っており、両手に紙袋とリュックサックを背負っている。
「慶~、製作の応援に来たべよ~。あど、弁当も作っできたべさ~」
「来てくれてありがとね、カンタ。何も無いけど、どうぞ」
「カンタ~いらっしゃい~♪」
順太郎を部屋に上げ、来てくれた彼に水道の水をマグカップに注いで差し入れる。
「カンタ、水をどうぞ」
「わぁ、ありがどだべ~」
マグカップを受け取り、ゴキュッ…ゴキュッ…と喉を鳴らし、凄まじい勢いで飲み干す順太郎に、慶と其れを見ていたヒノワは目を丸くする。
「ッ………ぷばぁ~~!!!っまァい!!!!」
まるで仕事終わりのサラリーマンが、大ジョッキの生ビールを一気飲みしたかのように、マグカップの水を飲み干した。
「ふぅ~…………慶、御馳走様だべよ」
「凄い飲みっぷりだった、本当に凄かったよカンタ」
「………よし。慶、やろうべ。バトルスクランブルの準備」
「!…あぁ、やろう。今日はよろしく頼む」
少ない返事で合ったが、確かな意思を確認し合った二人は、戦いの準備を始めることとした。先ず、食器用洗剤で塗装するパーツ達を優しく洗い、順太郎が持ってきた新聞紙に乗せて新聞紙でプレスし、軸部分や段落ちモールドに入ったパーツの水気に対しては、綿棒を使って其れを取り除く。
其の後、塗装の為の準備として、順太郎と慶はビニール手袋とマスクを着用し、ヒノワには市販の小型ビニール袋を採寸して、ハサミで加工した簡易カッパを着せた。
そしてパーツ塗装で使う猫の手にパーツを挟み、塗装台座に刺して、外へと持ち出す。人気の無い場所を選び、風向きや周りに人が居ないかを細かくチェック。ガンプラに対応するスプレー缶を掌の熱で温め、三十回以上よく振り、慶と順太郎は塗装に取り掛かった。
メタリックグレーで金属感を引き出し、バレル部位は金のアクセントを、銀や赤、黄色に青に白で塗装を行い、塗装を終えた後、スプレー缶等の用具を寮室に運んで、窓際に置いて乾燥を促す。
乾燥を待つ間、順太郎が作り持ってきた弁当を食し、乾燥が終わったパーツを組み合わせて、1つ1つの武装を作り上げて、ビヨンドガンダムに装備していき。
そして━━━━━━━━━
「出来た…!」
「おお~!やっだべな、慶!」
「わぁぁ…!」
慶とヒノワ、そしてカンタの前に堂々と立つビヨンドガンダムの、対バトルスクランブル用モードは完成した。
レオパルド・ダ・ヴィンチの両肩パーツの3mm穴には、紫を白へリペイントした4基のTRYファンネルを主翼に、ZZガンダムのビームサーベル/ビームキャノンを参照にした『ハイパーマルチガジェット』を砲塔とする、支援ユニット『マルチプルウェポンラック』が2基。
バックパックにはAGE-2マグナムSVのシグマシスファンネルをブースターに改造した『シグマシスマニューバブースター』に加え、AGE-3オービタルの肩スラスターを各々2基ずつ組み込み、機動力を底上げ。
右手にHWS&SVカスタムウェポンセットのランサーミサイルを接着剤で接合し棍棒に改造した物を持たせ、右腕にはパワードアームズパワーダーのガトリングガン。左手には初めて作ったAGE-1 ノーマルのドッズライフルを握り、左腕はレオパルド・ダ・ヴィンチのビームキャノン。そして両肘の3mm穴にはEz-SRのビームサーベルラックが取り付けられている。
サイドアーマーにはクロスボーン・ガン&ソードの基部とフックパーツを用いて自作した、アンカー射出武器の『アンカーフラクト』と、ビルダーズパーツのミサイルポット、そして腰部背面にスモークディスチャージャーを装備した。
そうして完成したフルアームド形態……『ビヨンドガンダムRev・レイドスタイル』は、戦いの時を今か今かと待ちわびているかのように、金の双眼に静かな熱い光を宿していた。
「今日は本当にありがとう。これでバトルスクランブルで戦える…!」
「気にずるなべ、友達が困っでんなら助けてやるのも友達の役目だ。……気張っでげよ、慶」
「あぁ。絶対生き残ってくる」
「カンター!ケイー!オレもやるぞー!」
拳と拳が重なり合い、青年達は戦いへの決意を固めた。
季節は八月……バトルスクランブルの時は迫っている。
生き残りを懸けた戦いへ、準備万端
ビヨンドガンダム
左サイドアーマーにクロスボーン・ガン&ソードの基部とスカルウェポンのフックパーツを用いて自作した、ワイヤー武器の『アンカーフラクト』、右サイドアーマーにビルダーズパーツMSキャノン01のミサイルポットに特製トリモチ入りミサイル2本、腰部3mm穴にチャフ入りのスモークディスチャージャー。
バックパックに、AGE-3オービタルの肩スラスターを2基とシグマシスファンネルをブースターに改造した『シグマシスマニューバブースター』を2基を、各々フレキシブルアームで接続したバトルスクランブル用の形態で、現在の慶の全てが込められた、ビヨンドガンダムのフルアームドと言える姿。
ジョーとの修行で適性が見られた棍棒を、HWS&SVカスタムウェポンセットのランサーミサイルを接着して製作し、TRYAGE-マグナムのファンネル部分の紫を白へ塗り替え、マルチプルウェポンラックの主翼にした。
バトルスクランブルで確実に生き残る為、乱戦時に安全圏へ逃げられる機動力と、武装は敵の足止めと長期戦を想定しており、重量に気を配りながらも火力が出せ、弾切れになった場合に即パージ可能な物をチョイスしている。