※DDツールの設定を練り直しました。
初心者狩りの大群を、アキトのダイガンダムが返り討ちにしてから十数分後……。
「2人とも~!良く頑張ったわねぇ~!」
セントラルディメンションの格納エリアへと緊急帰還したケイとアキトは、マギーから熱い抱擁を受けていた。
「頑張ってくれたのはアキト君です。俺なんて全然貢献出来なかったですし……」
「そんな事ないですよ!ケイさんが居てくれたから、僕は勇気が出せたんです!」
屈強な胸板と腕に包まれて若干暑苦しさを覚えるも、本気で心配してくれているマギーに言うのも悪いと、暫しの我慢する2人。
数分後、漸く解放されたケイは彼女(?)に『ある事』について問う。
「其れでマギーさん。さっきの初心者狩り連中と戦っている時に聞いた『DDツール』って、一体何なんでしょうか?」
緊急帰還やエマージェンシーの阻害…どう見てもヤバい代物にしか見えないケイは、其のツールの正体が気になって仕方が無かった。マギーは顎に手を乗せて、数拍置いた後に話し始める。
「……最近、GBNで流通している『違法なツール』が有ってね。其れがさっき言った『DDツール』…正式名称を『Dead Deliberate Tool』と言うの。其れを使うと特殊な電波によって、ダイバーの救済措置である、救援要請や緊急帰還が出来なくなってしまうの。
其れだけじゃなくて、ツールを使った機体の攻撃を食らうと、GBNのガードフレームやシステムに感知されない『マーキング』が施されて、攻撃を受けた側の機体にはステータスがダウンする。
対して与えた側の機体は、武装全てに『特効効果』と『追尾機能』が付与されるわ。特に後者の追尾機能がエグくて、私が聞いた限りになるけれど、強力な武装である『メガバズーカランチャー』、直線ならば最上位の弾速を誇る『ダインスレイヴ』。
そんな兵器が『誘導切りを用いても、回避がほぼ不可能なレベル』で襲い掛かる。
おまけにマーキングは重ね掛けが可能で、複数の機体が居れば効果は大きくなるし、撃墜した際に得られるダイバーポイントが通常よりも『多くなる』の。マーキングを与えた機体を何度も撃墜すれば、ポイントがより増えていく。マーキングを解除するには、別の機体を使うか、撃墜された機体で与えた機体を墜とす以外に方法が無い。
始めたてや、実戦経験の浅い子が特に狙われて、どうする事も出来ずにやられてしまい、別の日にログインしても同じように狙われて、其れが繰り返された結果、GBNから撤退するダイバーが続出してるの……」
改めて聞くと、DDツールが本当に恐ろしい物だと理解するには十分だった。逃げられない状況で撃墜されようものなら、マーキングで居場所が特定され、ガンプラで迎撃しようにもデバフによって下がったステータスと特効武器でボコボコにされて、其れが繰り返された結果トラウマを植え付けられる事になり、最後は自らGBNを辞める。
自分は運が良く、明人はツールによる特効効果が乗った攻撃にも耐えられるだけの、強力なガンプラを作り上げたからに過ぎない。今此の瞬間も電脳世界の何処かで、他のダイバーがDDツールの被害に遭っている可能性があるのだ。
「まずガンプラの強化は必須だな…。其れから機体操作の熟練度も上げないとか…」
「そうですね…。後は出来る限り、信頼出来るダイバーさんとタッグやフォースを組んで、単独行動を取らない事…でしょうか」
「2人の言っている事は正しいわ。私の知り合いのフォースやダイバーにも声を掛けて、少しでも被害が減るように頑張ってみるわ」
やるべき事が分かり、そして今後、注意しなくてはならない事も増えた。此の日、ケイとアキトは自身の安全を考えた結果、GBNからログアウトする事を決め、マギーに手を振りながら現実世界へと帰っていったのだった…………。
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ガンダムベース東京内・GBNプレイスペース……
「ふぅ」とゴーグル型の機材を押し上げながら、息を吐いた朱鳥 慶は、ダイバーギアとデュアルドッズキャノンを装備したAGE-1 ノーマルを機材から外して、ガンプラを専用のケースに入れた。
「DDツール、か……」
初心者狩りに強襲された際に、敵が使用いたと言う違法ツール。慶からすれば、其れは異質な物であり、そんな力を手に入れるチャンスが来たとしても、欲しいとは思えない。
弱者を虐げ、己の愉悦に利用する等、人として狂っていると、考えているからに他ならない。
「AGE-1 ノーマルと俺が強くなれば、そんなツールを使う奴に負けないし、先ずはガンプラの強化をやらないとね」
席を立ち、出入口の方向へ向かおうとした其の時。
━━━━━私を探してください
「!……声……」
『ガンプラが誰かを求める声』が響き、慶は聴覚に全神経を集中して、声無き声へと耳を傾ける。どうやら其の声は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の売場から聞こえているようだ。
青年が歩いて行き、声のする場所で止まって、棚からキットの箱を手に取る。
キット名を『HGUC 1:144 RX-93 νガンダム』…初心者にも作りやすい上、各部のメカディテールの再現度合の高さに、武装面も近接戦用のビームライフルに、実弾の頭部バルカン砲とバズーカ、シールドとシールドに取り付けられたビームキャノンとミサイル。
更には近接武装のビームサーベル、遠隔武装のフィンファンネルと、単体の機体としては充実したラインナップとなっている。
加えて、近年のガンプラにおける品質の向上により、素組であろうが充分な性能を発揮出来る点も、高い評価を受けている良キットだ。
人の心の最後まで信じ続けた、最強クラスのニュータイプ━━━『アムロ・レイ』。彼が設計に携わり、アクシズの地球落下を阻止するという『奇跡』を産み出した機体こそ、今現在、慶が手に取っているνガンダムなのである。
━━━見つけてくれた!
νガンダムの箱から声が聞こえてくる。ずっとずっと待ち続けていたのだろう、心から喜んでいるかのように、嬉しさ一杯に満ちた声をしていた。
「νガンダムか…AGE-1の改修を終えたら、この子をベースにした、新しい機体を作ってみても面白いかも知れない」
そう思いつつ、慶は会計でνガンダムを購入。店の出入口に向かう途中、仲良く話す3人の高校生とすれ違う。
友達は大事にね━━━━心の中でそう言いながら、彼は早くAGE-1 ノーマルを改修しなくてはと、帰路に着くのであった………
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GBNには幾つもの『Bar』が存在する。此所はそんな電子の世界でも、指折りの有名なバー『Moon』と呼ばれる『月のクレーター内の1つを丸々買い取って』作られた酒場であり、また宙域のセーフティゾーンとしても利用される。
「待ってたわ~。『チャンピオン』、『ロンちゃん』♪」
カウンター席の一角に座り、来店した2人に手を降るマギー。
1人は藍色のパーカージャケットに緑のベレー帽を被った、真っ白い毛並みのオコジョ。見た目は可愛らしいが此のオコジョこと『ロンメル』は、『智将』の通り名を持ち、GBN内に数多あるフォースの中でも『ランキング2位』の実力にして、集団戦闘能力世界最強と謳われる『第七機甲師団』を統率するリーダーである。
もう1人は金髪に蒼眼、黒い軍式コートに白い手袋を付ける180cmは有ろう、スラリとした男性。そして彼こそが約3000万人がプレイするGBNに置いて、誰もが『最強』と認めるダイバー。
最強の称号たる『チャンピオン』の地位を手にしても、未だに更なる高みを求め、並み居るチャレンジャー達を押さえ、成長と躍進を続ける者。
フォースランキング『第1位』のAVALONのリーダーにして、ロンメルとは戦友でありライバル、そしてGBNのチャンピオンである『クジョウ・キョウヤ』なのだ。
「やぁ、マギー。久しぶりだね」
「君が私達を此所に呼び出すとは……やはり『アレ』かな」
「えぇ。詰まる話も何だし、カウンターに座って。マスターお願い」
大方察しが付いている様子の2人に、マギーは小さく頷いた後、3人はカウンター席に座り。彼女(?)が店主に事前注文しておいた各々の好みの飲み物を、タイミングを見つけて素早く提供した。
「……さて、だ。君が我々を呼び出したのは『DDツール』の件で間違いないな?」
「そうよ。現状『初心者狩りをしている下位のダイバーや、2~3人程度のフォース』を中心に、着実に広がりを見せてるわ。
後、私個人が思うのは『どんな手を使っても、ポイントを荒稼ぎしたいダイバー』程、あのツールに手を出す可能性が有る…そんな気がするわ」
今より上に昇ろうとする者や、弱小よりの脱却を果たさんとする者等……理由は様々在ろうが、弱者を虐げ、純粋にゲームを楽しんでいるダイバーから笑顔を奪い取る力に、ロンメルとチャンピオンの表情も少なからず険しさを帯びており、DDツールに対する憤りを感じているようだ。
「今日も2人のダイバーが、DDツール持ちの機体に襲われてね。其の時は1人のガンプラのお陰で、何とか撃退出来たのだけど……」
「少なくともツーマンセル……。いや、念の為にスリーマンセルでの行動は推奨されるか」
「僕もゲームマスターに相談してみるよ。このまま違法な力を黙って見過ごす訳にはいかない。GBNの平和を、僕達ダイバーの手で守ろう」
GBNを愛するダイバーとして、芽生えた脅威に立ち向かう覚悟を決めた3人は、飲み物が入ったグラスを掲げ、其れを一気に飲み干した。
DDツールを巡る新たなる戦いは、GBNの全てのダイバーを巻き込む一大騒動となるのだが、其れはまだ先の話である……━━━━━━━━。
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GBN雑談スレ part793
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130:名無しのダイバーがお送りします
最近ジワジワと増えてるな…DDツール
131:名無しのダイバーがお送りします
セヤナ-
132:名無しのダイバーがお送りします
ソレナー
133:名無しのダイバーがお送りします
でも実際どうなんよ、其れ使われた場合って
134:名無しのダイバーがお送りします
大魔王からは逃げられない!って感じですな
135:名無しのダイバーがお送りします
メラゾーマ級の威力のメラ飛ばしそう(小並感)
136:名無しのダイバーがお送りします
逃げられない戦いって、やっぱり恐怖があるよね
137:名無しのダイバーがお送りします
分かる
138:名無しのダイバーがお送りします
ワカル
139:名無しのダイバーがお送りします
ワカルマーン!
140:名無しのダイバーがお送りします
デビルマンじゃねーか
141:名無しのダイバーがお送りします
仮にDDツール使いを相手したら、お前らどうするよ?
142:名無しのダイバーがお送りします
緊急帰還が使えないんだったら戦うしかないだろ
143:名無しのダイバーがお送りします
ステルス使って凌ぐしかねぇ!
144:名無しのダイバーがお送りします
しかも救援要請さえ出せないんだとか…マジくそだわ
145:名無しのダイバーがお送りします
俺の知り合い、DDツール使いにやられかけたんだが、フランシスの姐さんに助けられたんよ
146:名無しのダイバーがお送りします
マジで?
147:名無しのダイバーがお送りします
紳士海賊団ジェントルズの女船長か…あの人、初心者狩りには一切容赦しないので有名だからなぁ…
148:名無しのダイバーがお送りします
今まで彼女に助けられたダイバーは何れ程いるんだろうか…
149:名無しのダイバーがお送りします
148,聞きたいかね?今までで99,822人だ
150:名無しのダイバーがお送りします
149,閣下じゃねーか
151:名無しのダイバーがお送りします
エレガンツ!
152:名無しのダイバーがお送りします
名前どころか助けたダイバーの機体すら記憶してそうですね……
153:名無しのダイバーがお送りします
初心者狩りを狩るのが姐さんだからな…彼女の姿勢に憧れて、ジェントルズに入団を希望するダイバーも、結構多いらしいし
154:名無しのダイバーがお送りします
マギーさんも初心者さんや新規さんに優しいが、フランシスの姐さんは初心者狩り連中絶許滅殺だもんな
155:名無しのダイバーがお送りします
まさに戦皇なのだわ
156:名無しのダイバーがお送りします
女で戦皇とはこれいかに
157:名無しのダイバーがお送りします
156,女王いるんだから何の問題もない。イイネ?
158:名無しのダイバーがお送りします
アッハイ
159:名無しのダイバーがお送りします
王と言えば…
160:名無しのダイバーがお送りします
剣に見いられたダイバーが集った『ソード・ブリンカー・レヴ』、超大火力大好き野郎共の『グレイトバスターズ』か
161:名無しのダイバーがお送りします
どっちもフォースランキング100位以内の強豪ジャマイカ…
162:名無しのダイバーがお送りします
グレイトバスターズの殲滅能力の高さはヤバいからな。フォース戦始まった瞬間に、プラフスキーパワーゲートでバフ掛かった、5発のツインサテライトキャノンの融合で蒸発させられた
163:名無しのダイバーがお送りします
何そのバ火力
164:名無しのダイバーがお送りします
骨どころかビルドコイン1つ残りませんね……
165:名無しのダイバーがお送りします
こんな所に居られるか!俺は逃げる!(ジュツ)
166:名無しのダイバーがお送りします
消し飛びましたな…
167:名無しのダイバーがお送りします
なー
168:名無しのダイバーがお送りします
天剣の女王に細切れにされながら逝きたい
169:名無しのダイバーがお送りします
逝くな逝くなwwwwww
170:名無しのダイバーがお送りします
業が深いですね…
171:名無しのダイバーがお送りします
でも実際、格下は彼女の前にはあっという間に細切れよ
172:名無しのダイバーがお送りします
デスヨネー
173:名無しのダイバーがお送りします
その心臓貰い受ける!(ズババババババ)
174:名無しのダイバーがお送りします
DDツール使いが居ても、彼等彼女等が阻んでくれるだろう……
それは、弱きを虐げる力
用語解説
DDツール:2ヶ月前からGBNに流通し始めた違法ツールの略名で、正式名称を『
特殊な妨害電波による救援・救済システムへの障害と、攻撃を加えるか撃墜に成功した相手機体に対し、自身にしか見えず、GBNのシステムに引っ掛からないマーキングを設置。
対峙する相手機体へステータスダウンを付与し、自身の機体が持つ武装全てに、高速追尾機能と特効効果が追加。ビームサーベルやコンバットナイフの投擲、巨大なビーム砲、遠隔武装のフィンファンネルやファングが凶悪な誘導を以て襲い掛かる特徴を持つ。
ツール使用機体が複数居れば、効果は更に重ね掛けされる上、マーキングを施した機体を撃墜すると、得られるダイバーポイントが、通常より多くなる特徴があり、撃墜する度にポイントも段々と上がっていく。
解除するには別の機体に乗り換えるか、マーキングを受けた機体で与えた機体を倒す以外に存在せず、現在GBN運営や開発陣、チャンピオン達が全力で調査を行っているが、黒幕と其の動機等は未だ判明していない。