ホロライブラバーズ トロフィー『最高の輝き』取得プレイ   作:keater

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思いついてしまったものは仕方ないので初投稿です。


没案その1〜不知火と雪花と刀鍛冶〜

  

 ───焼ける

 

 ───焼ける

 

 ───焼ける

 

 

 草木の焼ける匂い、肉や動物達の焼ける匂い。アタシの視界が、一面真っ赤に染まっている。動物達の鳴き声、同族(エルフ)の叫び声。阿鼻叫喚とは、恐らくこういうことを言うんだろう。

 

「逃げろフレア! お前だけでも早........ぐわァァァ!!」

 

「おじさん!! ........っウ」

 

 また1人、死体が増えた。アタシを避けて倒れ、そのまま動かぬ骸となった親戚の叔父。人体を焼く強烈な匂いが、私の胃の中を逆流させた。

 

 ───逃げなければ。

 

 胃酸が残る気持ち悪さに耐えながら、アタシはすぐさま踵を返して走った。まだ火の手が回っていない方へ、まだ仲間がいるかもしれない方へ。

 

「おやおやぁ? どこへ行こうと言うんですかぁ?」

 

 刹那、どす黒い業火がアタシの眼前を焼いた。まるで悪意の塊かのような火が目の前を埋めつくしていく。

 

 振り向いて、魔法が放たれた方を睨みつけた。夜に溶け込むかのような真っ黒なローブは、周囲の草木を焼く炎の明るさでよく見える。そしてその下の顔が、勝利を確信している歪んだ笑みであることも。

 

「ふむ、顔も身体も悪くない。上物ですね」

 

「お前誰だよ! なんでアタシ達を.......!」

 

「今から『奴隷』になるあなたには関係の無いことでしょう。まぁ、ほぼ本筋はたった今回答しましたが」

 

 お母さんから聞かされたことがあった。長命種のエルフは歳を取っても老いることが少ないから奴隷として他貴族の所に置かれたりすると。もちろん、奴隷と言っても愛玩用の。

 

「こんな事をしたら、人とエルフで戦争が起きる!」

 

「エルフに戦争を起こすような戦力は残っていないでしょう? そもそも───ッ!?」

 

 瞬間、雪の華が咲いた。男は話す途中でその場から飛び退いて避けたが、アタシと少しよ距離が空いた。

 

「フレア先輩! 大丈夫ですか!?」

 

「ラミィ!?」

 

 姿を現したのは、アタシの後輩に当たる雪花ラミィ。傍に居るだいふくが男を威嚇するように見張っている中で彼女はアタシに回復魔法を施す。

 

「逃げましょう、早く!」

 

「でもどこに!?」

 

「付いてきてください、みんなそこに..........ッ!? だいふく!!」

 

 黒炎がアタシ達に迫る。一瞬だけ早く反応したラミィがだいふくに防御させるが、魔法同士のぶつかり合いで発生した衝撃でだいふくは近くの燃えていない木に叩きつけられた。

 

「ああっ!? だいふく!! しっかりして!」

 

「あなたは.........なんと雪の一族の令嬢様ではありませんか。そこのエルフの少女とセットで売れば、なかなかの高値が付きそうですねぇ」

 

 状況は絶体絶命。同じ炎同士で相性が悪いアタシに、だいふくが戦えなくなったラミィ。彼女の氷魔法もまた、あいつが使う炎魔法とは相性が悪い。

 

 どうする。考えろ、考えろ! 

 

 どうすれば2人とも助かる? どうすればこいつを倒すことが出来る? 

 

 思考の海に沈んだ私に、男の声は聞こえなかった。だから男の次の行動に反応できなかった。

 

「カハッ!?」

 

「うっ!?」

 

 突如、腹部に強烈な衝撃が走り、慣性のままにアタシとラミィは吹っ飛ばされた。地面を数回跳ねて、様々な箇所を打ち付けながら地面を転がる。腹部の痛みと体の痛みで起き上がるのもやっとだ。

 

「これは先程、少し手こずらせた礼です。安心してください、これ以上手荒な真似はしません。抵抗しなければ、ですが」

 

「.......だい、じょうぶ? ラミィ............」

 

「は、はい...........なん、とか」

 

 さっきの一撃で、アタシとラミィの状況も変わった。逃げ切る事は最早できないだろう。どうする、どうすればいい? そう考えていたアタシに、ラミィが近寄ってきて耳打ちした。

 

「フレア先輩、魔法の準備をしてください。いくら強くても、油断させればきっと当たるはずです」

 

「..........分かった」

 

「タイミングは私が言います」

 

 ラミィがそうしたように、アタシも男に隠しながら魔法を準備する。幸い男は、アタシ達を拘束するためにこちらへ近付きつつある。だからアタシに出来ることは、気を引くことのみ。

 

「こんな事して、白銀聖騎士団が黙ってないよ!」

 

「あんな無能集団がやってくる頃には、あなた達は既に闇市ですよ」

 

 男との距離が10メートルを切る。その時、ラミィがカウントを始めた。

 

「それに白銀聖騎士団には虚偽の通報をいくつもしていますから」

 

「他にも協力者がいるの!?」

 

「ええ、あと数人。まだ生き残りの女エルフを探してるでしょう」

 

 かなり近くなった。あと7mくらいだろう。着実にその距離は縮まって来ている。

 

「先程も言いましたが、大人しく捕まれば手荒な真似はしません。さぁ、黙って縛られなさい」

 

 そして、時が来た。ラミィの方を横目でチラリと見れば、頷いている。やはりここが境目らしい。

 

「今です!!」

 

「なっ........ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 ラミィの氷魔法とアタシの炎魔法が男に直撃して、爆発を起こした。間近に居たアタシ達は爆風でまた吹っ飛ばされたが、2人ともなんとか受身を取って大事には至らなかった。

 

「やりました!?」

 

「分かんない、でも今のうちに────」

 

 今のうちに逃げよう、そう言おうとして言葉は阻まれた。踵を返した瞬間に、アタシとラミィの間を黒炎が駆け抜けて行った。

 

 お互いゆっくりと、壊れたブリキのような動きで後ろを振り返る。

 

「なーんて、言うと思いました? そんなバレバレな魔力漏れで黙せると思うなんて、私も安く見られたものですねぇ」

 

 そこには、先程2つの魔法を直撃させたにもかかわらず、無傷で立っている男が居た。変化したところと言えば、ローブが焼けて全貌が見える所か。

 

 その全貌を見て、アタシは目を見開いた。

 

「.......魔族!?」

 

「おや、バレてしまいました。私としたことが」

 

「なんで魔族がエルフの森にいるんです!? 結界は!?」

 

「結界.........ああ、特定の魔族がこちらへ来れないようにするための結界ですか。あれなら、簡単に穴が空きましたが?」

 

「そんな事をしたら、大量の魔族がこちらへ雪崩込んでとんでもない事になる!」

 

「知りませんよ、そんなどうでも良いこと。私はあなた達を売るまでです」

 

 魔族はまたこちらへ歩みを進める。結界は塞がなければならない。しかし塞ぐにはこの魔族を倒すしかない。でもアタシ達の魔法は魔族に効いていない。

 

 .........八方塞がりだ。ここから出せる結論は1つ。アタシ達はこいつに勝てないということ。

 

「さぁ、大人しく捕まってください」

 

 魔族の手が、アタシ達に迫り────

 

「穏やかじゃないな」

 

 ────血飛沫が舞って切断された。

 

「ッ!?」

 

 魔族は突如の出来事に思わず距離を取った。アタシの眼前には切断された手と、服には返り血、地面には何かで切り裂いたような筋が1つ。

 

 近くから地面を擦るような音が聞こえ、直ぐにその音の正体がわかった。

 

 林の中からこちらへやってきたのは、刀を携えた少年。見る限り、アタシ達とそう変わらない。

 

「男が1人に、ボロボロの女が2人。しかもお前さんは魔族と来た」

 

「何者です!? 私の手を切断したのはあなたですか!」

 

「ん? ああ、すまねぇ。あまりにも醜いもんでぇ、つい斬っちまった」

 

 すると少年はアタシ達に向かって何かを投げた。何とか地面に落とさず受け取り、その正体を知る。

 

「飲みな。んで逃げろ。後で()も追い付く」

 

 アタシの眼前に背を向けて立ち、魔族と対面する少年。何が起こったのか分からなかったが、ラミィもアタシも、現状でやるべきことはわかった。

 

「フレア先輩、あの人って........」

 

「分からない。でも今は少し離れたところで様子を見よう」

 

「でもあの人が逃げろって」

 

「ごめん、アタシが見たいんだ」

 

 あの少年が気になる。だからアタシは危険を承知で近くの茂みに隠れてその様子を見ることにした。ラミィも何とか付き合ってくれるらしい。

 

「なんてことをしてくれるんですか。慰謝料と賠償金は高くつきますよ!」

 

「ハ、守銭奴魔族なんざ初めて見るが、情報通りだな。悪いが、あとがつっかえてんだ。..............一撃で終わらせてもらうぞ」

 

 その瞬間、少年の雰囲気が変わった。殺気も、怒りも、何も無い“無”の表情。およそ少年とは思えないほどの、達観した物言いがそれを助長させる。

 

「元来、手前の刀は斬るために鍛ったもんじゃねぇ。だがまぁ、余っちまうもんは使わないと減らねぇ」

 

「何をごちゃごちゃと!!」

 

 魔族から黒い業火が放たれる。避けなければ確実に当たるだろう。

 

 だがしかし。

 

「まぁ聞きな」

 

 一言と共に一閃。

 

 刀閃が業火の中を過ぎ去り、次の瞬間には魔法ごと霧散した。その一芸だけで、少年が只者じゃないと分かる。

 

「なっ!? 魔法を斬ったですって!?」

 

「お前にゃ儂の一振は合わねぇよ。預ける価値すらねぇ」

 

 そう言った少年の刀は、粒子となり消えた。魔法で作った剣が消えるのは見たことがあったが、刀はアタシにとって物珍しかった。

 

「おっと、ついつい長話しちまうのは年寄りの悪い所かねぇ。悪ぃが、話はもう終いだ。もう語ることは無ぇ」

 

 そして、ぶるりとアタシの背筋が震えた。先程まで全く何も感じなかったと言うのに、一瞬で今までに感じたことがないくらいの殺気を少年は放出していた。

 

「魔術回路、励起。........其に至るは数多の研鑽。 千の刀、万の刀を象り、築きに築いた刀塚。 此処に辿るはあらゆる収斂。 此処に示すはあらゆる宿願。 此処に積もるはあらゆる非業。 我が人生の全ては、この一振りに至るために。 剣の鼓動、此処にあり────! 受けやがれ、これがオレの

 

 

 

都牟刈、村正だ────!!!

 

 少年の抜き身になった刀は、何処までも赤く、煌々と燃え盛る。その炎を、アタシはどこか美しいとまで思った。

 

 そして一閃。戦いは静かに幕を閉じる。

 

 ずるりと魔族の体が真っ二つに割れ、地面に倒れた。そこまでならば、とても強い少年という認識だったろう。

 

「森の........火が」

 

 ラミィがポツリと零したように、()()()()()()()()()。魔族が倒れる前までは確かにエルフの森を焼いていた火が、今は焦げ臭い匂いを残して鎮火しているのだ。考えられる点は、1つしかない。

 

 にわかには信じ難いが、この少年が、火を()()()と。

 

「ったく、逃げろって言ったのになんでお前さんらは近くにいるかねぇ?」

 

「......あ、ご、ごめんなさい。あの! 私、雪花ラミィって言います! 助けてくれてありがとうございました!」

 

「アタシは不知火フレア。アンタが助けてくれなかったらアタシらは奴隷になってた。本当にありがとう」

 

「仕事だから気にすんな。......来な、聖騎士団にお前らを引き渡さにゃなんねぇからな」

 

 そう言っておいて、少年は1歩だけ歩いた瞬間に立ち止まってこちらを振り返った。

 

「そういや、まだ名乗ってすらなかったな。儂の名前は────」

 

 それが、アタシとラミィと────との初めての出会いだ。これは後に聞いた話だが、あの日、森の火が鎮火されたのはやはり────が切ったからだった。因果とか空間とか難しい話をしていたが、全部を説明できるほど覚えていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在。

 

「────、学園行くよ!」

 

「なんで儂が行かにゃならねぇんだ。儂は家で刀をだな.........」

 

「黙って学園に行く! ほら早く!」

 

「ふふ、────君は相変わらずですね。あ、もうすぐ始業ですよ!」

 

 アタシ達は、上手くやってる。あの日、────に助けられて本当に良かったと思えるくらいには、ね。




これ、オーディションでも十分に通用する火力出てるんですよね実は。

流石に村正おじいちゃんでヒロイン攻略は想像できなかったので没案となりました(全ての理由)
あと、隠してる部分の名前は実際に千子村正ではありません。

というわけで失踪します。
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