ホロライブラバーズ トロフィー『最高の輝き』取得プレイ   作:keater

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どんどん他走者兄貴達に認知されるので初投稿です。


4人の相性

 突如飛来した、同期と『アンチ』である少女。ノエル自体が生き残っていることは、恭也にとって案の定と言うべきか、分かっていたと言うべきか。だが、まさか『アンチ』の先輩を連れてくるとは思うまい。

 

 彼女がこの場に現れた瞬間、雰囲気が変わった。じわじわと物体をひしゃげさせようとするような、徐々に増していく圧。纏う雰囲気からも、この場の中心が彼女であることを分からされる。

 

 チラリと横目に見たぺこらとるしあにも、緊張が走っている。

 

「む? 余としたことが。まさか吹っ飛ばした先に面白そうな人間様達がいるとはな! さすが余!」

 

 カッカッカ! と笑う先輩に、こちらの心は穏やかではない。いつ仕掛けたとしても、必ず防がれるという確信がある。余裕そうにしているというのに、隙がない。これが先輩というものなのかと、恭弥は内心で驚嘆する。

 

「本田.......どうするぺこ」

 

「ほっ、本田君........」

 

 間違いなくぺこらとるしあはこちらに指揮権を委ねている。ここは成績の部分も含めて最前の選択をしなければならない。

 

(勝てるのか........? 俺達で......?)

 

 多対一は数的有利を取れる。それに加えるしあのふぁんでっど達もいるだろう。

 

 だが、それでも。先輩に勝てるビジョンが、恭弥には見つからなかった。

 

 しかし仮にノエルを置いて逃げたとしても、おそらく捕まる。ノエルだけでは彼女を抑えられる時間も限られているし、何より彼女(ノエル)を置いて逃げるという選択は、恭弥の矜持が許さなかった。

 

「........白銀、共闘しないか?」

 

「本田君!?」

 

「本田! あんた正気ぺこか!?」

 

 とても褒められた選択ではないのは、恭弥も重々承知している。それでも、ノエルは、白銀聖騎士団の団長はここに吹っ飛ばされる前に先輩と戦ったのだ。

 

「本田君、強いよ。あの先輩は」

 

「分かってるさ。でも、逃げたって捕まるのがオチだ。そうだろ? 潤羽、兎田」

 

「そ、それは........」

 

「そうぺこだけどさ.........」

 

 戦え。戦うしかないのだ。勝つ確率が限りなくゼロに近くても。捕まって脱落させられるよりは、マシだ。

 

「まぁ団長は戦うつもりだったし、協力してくれないと団長脱落しちゃう......」

 

「っ........あーもう! 脱落したら本田! あんた恨んでやるぺこだよ!」

 

「み、皆が戦うなら.........るしあも頑張るねっ」

 

 さぁ、匙は投げられた。もはや彼らに逃げるという選択肢は存在しない。

 

「ふむ、なかなか良い緊張感だ! 余はホロライブ学園2年生、百鬼あやめ! 行くぞ、後輩達!」

 

 開戦の火蓋を切ったのはあやめだ。一蹴りで恭弥達との距離を詰めてくる。

 

「守りは私に任せて!」

 

 恭弥達との間に入ったノエルがメイスであやめの双刀を防ぐ。必然的に動きが停止したあやめに合わせて、ぺこらが真横から飛び蹴りを繰り出した。

 しかし、あやめはまるでそれを見越したように体を捻って、ぺこらの飛び蹴りを避ける。

 

「ぺこ!?」

 

「フフっ、なかなか良い連携だ。余でなければ一撃貰っていたところだろう。余でなければ、なッ!!」

 

「うわっ!?」

 

 ノエルが防いでいたメイスを足で下から蹴り上げ、空いた胴に舞うようにして繰り出された突き蹴りが刺さる。真後ろに吹っ飛ばされたノエルと入れ替わるように今度は恭弥が太刀を抜刀した。

 

「シッ!!」

 

「フハハ! 軽い軽い!!」

 

 恭弥の大上段からの振り下ろしに、あやめは双刀をクロスさせて合わせる。

 

「ふぁんでっどさん!」

 

「っ!? チィ!」

 

 隙が出来たあやめの周りにるしあがふぁんでっどを召喚して襲わせる。しかし舌打ち交じりにあやめは恭弥の太刀を逸らすと蹴りで怯ませ、そのまま回転斬りでふぁんでっど達を切り刻む。

 

「なかなか良い奇襲だったが、あたらん余!」

 

「それはどうかな?」

 

「何.......っ!?」

 

 刹那、あやめの頭上に映る影。そこに居たのは、高く跳躍したノエルだった。

 

「白亜の…鉄槌ッ!!」

 

「ぐっ.....!!?」

 

 上空からの落下と振り下ろしの加重により威力を増したノエルの一撃が、あやめを襲う。恭弥の時と同様に双刀で受け止めるが、地面に伝わった力でその場に浅いクレーターが形成された。更に、圧を加えて飛び出したピンボールのように弾き飛ばされ、あやめは近くの岩に激突する。

 

「ケホ! ケホ! ......なかなかやるではないか、人間様!」

 

「えぇ!? 今のであの程度!?」

 

 実際、あやめは多少なりとダメージを受けているものの、まだまだピンピンしている。鬼人故の頑丈さか、それともノエルの火力が足りないのか。

 

「化け物ぺこだよ......あれ」

 

「ハッハッハ! 伊達に最強は名乗って居ない故な!」

 

「おいおい先輩、隙だらけですよ」

 

「ふぁんでっどさん!」

 

 あやめに喋らせる余裕など与えないとばかりにるしあがふぁんでっどを召喚してあやめを襲う。完全に不意を突かれたあやめはふぁんでっど達に埋もれる、が。

 

「ええい! むさ苦しいであろう!!」

 

 有り得ないほどの怪力で、一気にふぁんでっど達を押しのけた後、双刀で切り裂いた。そして今度はそのままの勢いでるしあに接近する。

 

「さっきの奇襲といい、今のといい、見事だ! ネクロマンサーの後輩! だからまずはお主から脱落させる!」

 

「ぴやっ!? こ、来ないでぇー!」

 

 しかし、あやめが接近するより先にノエルが2人との間に割って入ってあやめの双刀を再び防御する。

 

「大丈夫、私が守るから!」

 

「しっ、白銀さん........!」

 

「またか、聖騎士! お主も良い硬さをしている!」

 

「ふふん! 団長だって伊達に団長じゃないもんねっ!!」

 

 また動きが止まったあやめ。ノエルとスイッチするように今度は恭弥が肉薄する。

 

「シィッ!」

 

「くっ!」

 

 太刀とは思えぬ速さで繰り出された斬撃。1つ目は右袈裟、2つ目は左袈裟、そして3つ目はその両方を合わせた上での振り下ろし。これら全て気刃斬り、合わせ斬撃である。

 

「ぺこ!」

 

「ッ!?」

 

 そこに合わせた、完全に死角からのぺこらの蹴り上げ。超人的速度で反応したあやめは蹴り上げを防御するが、その反動で空中に打ち上げられる。

 その先に待っていたのは、またしてもいつの間にか跳躍していたノエル。

 

「白亜の鉄槌ッ!」

 

「がっ!!」

 

 ぺこらの攻撃に続き、あやめはノエルの攻撃も防御する。上空で打ち返すだけの攻撃のため威力は落ちるものの、ノエルの一撃はあやめを地上へ叩き落とすには十分な威力だった。

 

 恭弥が3つの気刃斬りを繰り出してから、ぺこらが打ち上げ、ノエルが叩き落としたこの間、0.8秒。

 

 ───故に、この攻撃は完成している。

 

「はァァッ!!」

 

「ぐっ.......ううッ!!!」

 

 1周回った回転の勢いを乗せて放つ、気刃斬りの最終攻撃、気刃大回転切り。本来は3つの気刃斬りの後に放つ型や、見切り斬りの後に放つ型ではあるが、ある程度相手の動きに合わせて放つことも可能なこの攻撃。

 

 空中故に踏ん張りが効かず、ただ攻撃を受けるだけだったあやめはそのまま吹っ飛ばされたものの、空中で見事に身を翻して地面に着地する。

 

「ッ!?」

 

 しかしそれに追いつくように、ノエルが肉薄していた。

 

「白亜の鉄槌!!」

 

 それは完全に予想していなかった一撃。ノエルの一振が、無防備だったあやめの胴体に炸裂する。再び慣性に従って吹き飛び、壁に背中から叩きつけられた。

 

「かはっ!! ..........クク、ハハハ!」

 

 確実に手痛い一撃を貰ったはずなのに、フラフラと、まるで幽鬼のように立ち上がって、なお笑っている。そんな光景に、恭弥達4人は戦慄した。状況的に自分達が有利だと言うのに、まるでそうは思えない。

 

 ───そう、彼女は、本気を出していない。

 

「こんなに痛いのは久しい! 先程の聖騎士の見事な一撃! 痛烈だったぞ!」

 

「褒められてるのに、こんなに嬉しくないのは初めてだよ......」

 

「後輩達も同じだ! 良い連携だった!」

 

 響也達も、ノエルと同じ感想を抱く。先輩に褒められた、それは喜ぶべきことなのだろうが、この状況で喜べるほどの実力が備わっている訳でもない。

 

「........故に」

 

 あやめが双刀を地面に突き刺す。そして、彼女の瞳に狂気が宿った。

 

「滾った礼だ。本気で行くぞ、後輩!!」

 

「「っ!!?」」

 

 瞬間、雰囲気が一変する。まるで本当に押し付けられているかのように、重厚な圧がその場を支配する。

 

(........体が重い! 足が動かない!?)

 

 それは、恭弥だけが抱いた感想ではなく。

 彼女の感情に殺気は混ざっていない、それだけは幸いだろうか。しかしその場を支配する圧が、誰も先へ歩を進ませようとしない。

 

「は〜い、そこまでだよ〜」

 

 しかし、そんな雰囲気は意外な人物によって壊される。

 

「あやめさんダメだよ〜本気出しちゃ」

 

「なっ!? おかゆ!?」

 

 まるで現状の雰囲気にミスマッチなゆるっとした猫耳の少女。おかゆと呼ばれた彼女はどこからやってきたのか、あやめが放出する圧さえも気にせんとばかりに彼女へ近寄っていく。

 

「あやめさんはやりすぎるだろうから〜ってボクが先生に様子を見てくるように言われたんだぁ」

 

「いや、余はやりすぎてない余!」

 

「でもこれからそうなる予定だったでしょ〜?」

 

「うぐっ........それは.............」

 

 ジトっとしたおかゆの視線にバツが悪そうに顔を逸らすあやめ。完全におかゆにペースを握らているようだった。

 

「ん〜、肋も折れてるね〜。きっとあの聖騎士の子にやられたんだね〜痛い痛い」

 

「この程度の怪我、直ぐに.........」

 

「どっちみちこのまま放置したらあやめさんはやり過ぎちゃうから、ここで終わりね〜」

 

「そんな!!」

 

 するとおかゆは傍に置いてあった双刀をあやめの腹に躊躇いもなく突き刺した。

 

「かっ!?」

 

「あ、ごめんねぇ後輩君達、邪魔しちゃって〜。僕の名前は猫又おかゆ。2年生だよ〜。じゃあ、頑張ってねぇ〜」

 

 最後にこちらへ手を振って、あやめとおかゆは消えてしまった。

 やることは最後まで過激だったが、終始ゆるゆるなその雰囲気に恭弥達はキョトンとする他ない。

 

「お、終わった.........んだよね?」

 

「あ、ああ.........多分」

 

 なんとも言えぬまま、るしあの一言で現実に戻された恭也達。いざ我に返って見ると、あのままおかゆが割って入らなかったらどうなっていただろうか。もし圧に立ち向かって戦っていたら........想像したくもない。

 

「ていうか、この後どうするぺこ? ぺこーら達でこのままやり合う?」

 

「や、やっぱりそうなっちゃうよね.........」

 

「団長は一緒に戦ったからって容赦しないよ?」

 

「いや、待ってくれ」

 

 いかにもな雰囲気だったところを、恭弥が待ったをかける。全員の視線が彼に集まった。

 

「恐らく、他の『アンチ』の先輩もどこかにいるはずだ。それを倒してからでも遅くはないんじゃないか?」

 

「えぇ? 今からこのメンツで移動するぺこか?」

 

「だ、誰かが後ろから........襲うかも」

 

「とりあえずなんで? 本田君」

 

「今回は百鬼先輩を猫又先輩が連れ去ったから、きっとノーカンになってるはずだ。そんな状態で俺達がやり合って脱落して、他のやつが『アンチ』の先輩を倒してたらなんか嫌じゃないか? やっぱり自分で倒した方が得だろ?」

 

 恭弥の言い分に、3人は反論してこない。それを見て、彼はさらに続けた。

 

「ここで俺達がやりあって、最後の一人になってから先輩を探してたらきっと成績は良くない。だって先輩はあと二人しかいないからな。言っとくが俺はしぶといぞ? いくらでも延長してやる。...........それに、さっき力を合わせて戦った時、妙に連携が上手くいっただろ? 知り合いでもなければお互い戦ったこともない。そんな俺達が、だ」

 

「それは確かにそうぺこね........」

 

「う........うん。私も戦いやすかった、よ!」

 

「団長も思いっきり暴れられたよ」

 

 恭弥の言い分に、三者三葉で先程の戦いを振り返る。

 

「ホロライブ学園の先輩達があんな強い人達ばっかりかは分からないが、それでも、俺達なら少しはやれるんじゃないか? それに他の所にも協力してくれる奴がいるかもしれないしな」

 

 そのまま恭弥は、3人に頭を下げた。

 

「他の『アンチ』の先輩を倒すまででいい。終わったら1番に俺を狙ってくれても構わない。だから、他の先輩を倒すまでは、俺に協力してくれないか。俺には、3人の力が必要だ」

 

 まさか頭を下げてまで願い出てくるとは思わず、3人は少し驚く。しかし、お願いされる前から3人の心のどこかでは、答えが決まっていた。

 

「頭あげるペコだよ、本田」

 

「兎田.......」

 

「団長は本田君を信じてみるよ。本田君の動きに合わせてたら戦いやすかったし!」

 

「わ、私も!」

 

「奇遇ぺこ。ぺこーらも本田の動きに合わせてたぺこ」

 

 ぺこらが右手を差し出す。それに合わせてノエル、るしあとその上に手を重ね合わせていった。

 

「ほら、最後はあんたぺこだよ、本田」

 

「ありがとう。皆」

 

 そして最後、恭弥が静かに1番上に手を重ねた。

 

「俺達で先輩を倒そう!」

 

「「おー!」」

 

 この瞬間、どこか信頼出来ると、4人が共通してそんな思いを抱いた。彼らの結託は、強い絆となることだろう。

 

 ........しかしここで気づく。

 

「そういえば俺達、正式な自己紹介もまだだったよな」

 

「「あ........」」

 

 どこか抜けたチームの完成である。




一般通過おかゆんが書けて(多分)満足したので失踪します。
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