バカと18禁と男装女子っ! 作:てあ
代表的な最古の猿人の名前を答えよ
姫路瑞希の答え
「サヘラントロプス・チャデンシス」
教師のコメント
よくできました。
木下秀吉の答え
「ホモ・サピエンス」
教師のコメント
猿人ではありません。次は間違えないようにしましょう。
吉井明久の答え
「ホモ・雄二」
教師のコメント
本当だったらびっくりです。
東雲日和の答え
「西村先生」
教師のコメント
西村先生が職員室を飛び出していきました。逃げ切れるといいですね。
side 東雲日和
「……ちょっと雄二!どうしてそこで僕の名前を挙げるのさ!」
明久が僕のことを無視して叫ぶ。ありがとう明久!君のおかげで僕の精神力は生き残ることができた。でもちょっとは反応してくれると嬉しいな!
『……誰だそいつ』
『聞いたことがない名前だな』
「ほらぁ!皆の士気も下がったじゃないか!僕は雄二達と違って優等――――ってなんで僕を睨むの!?僕のせいじゃないよ!」
教壇の上から明久を睨む雄二の顔は、まさに獲物を狙う肉食動物。男である明久も許容範囲だったとは驚きだ。ていうか何の話してるの?
「……ふむ。お前らは知らないかもしれないがコイツはあの《観察処分者》だ」
さも明久のことを秘密兵器のように言う雄二。実情はただの問題児だけど。本当に何の話をしているのか気になるなぁ。
あ、でも観察処分者のことは聞いたことがある。
「バカの代名詞とも呼ばれてるよね」
「違うんだ!これはちょっとお茶目な生徒につけられる名誉ある称号で」
まだ言い訳をしようとする明久の往生際の悪さには呆れてしまう。
「明久……いい加減自分がバカだってことに気付こうよ」
「そ、それをいうんだったら日和だって十八禁じゃないか!」
「貴様どこでそのことを知った!?」
「え、雄二が皆に言ってたよ。『こいつは全世界の女子から嫌悪される十八禁だ』って」
「………………」
「ちょっと待て明久!俺は校内の女子としか言っていな――――――ぐああああ!?
「病原菌を発見、即座に排除します」
「落ち着け十八禁!話せば分かああああああああ!?」
「……………もはや喜劇じゃのう」
秀吉が何か言っている気がするが、今はコイツだ。地獄というものを見せてやる。
「…………話しが進まない」
僕の横に瞬間移動のような素早い動きで立ち、紙らしき物を僕の
………仕方ない。秀吉の写真に免じて退いてやるか。
「…………………この感触はっ!?(ブシャァァァァ)」
そして鼻血を噴き出して倒れるムッツリーニ。今の一瞬に何が起きたんだろう。
「いてて……ったく。少しくらいは加減しろよな」
「加減する理由がない」
首を動かしながら、雄二が立ち上がる。自業自得だと思う。それか因果応報。
「ほら、早く続きを説明してあげなきゃ。僕の紹介で止まってるよ」
「明久、後でお前を殺す」
「えぇ!?何で!?」
雄二の突然の死刑宣告に驚く明久。
自業自得だ、それか因果応報。二人ともどことなく似てるよなぁ。いや、似てきてるっていった方が正しいか。バカは引かれ合う関係にあるようだ。
「………話しを戻すが、観察処分者というものは教師の雑用を手伝わされる者のことをいう」
「まあ、そうだね」
「具体的には力仕事とかそういった類の雑用を、特例として物を触れるようになった試験召喚獣でこなすといった具合だ」
明久が度々西村先生に呼び出されたのは雑用を任されてたからだったのか。
物理干渉出来るということは知ってたけど、その使い道は知らなかった。この前その力をを見せてもらったときはサッカーゴールを持ち上げてた程だったから常人の百倍の力があるんじゃないだろうか。………学校に来ても勉強はしないで、先生の手伝いに駆り出されてるのを想像すると、明久は生徒から用務員に職変更した方がいいと思う。
「そういえば……召喚獣のダメージは本人にも通るんじゃなかったっけ」
『痛みがフィードバックするって……おいおい、それっておいそれと召喚できないってことじゃないか?』
『召喚獣の戦闘にあんまり出せないってことだよな』
僕の呟きに皆が騒ぎ出す。
「気にするな。どうせ、いてもいなくても同じような雑魚だ」
「雄二、そこは僕をフォローする台詞を言うべきところだよね?」
真実を伝えた雄二を明久は信じられないものを見たかのような声で声を上げる。僕も信じられない、その事実に気付いていない人がいるなんて思ってもいなかった。
悲しむ明久に優しく声をかける。
「大丈夫だよ明久。君は雑魚じゃない、いつかは誰かに必要にされるときが来るさ。たぶん」
「なんでそこでたぶんを付けるのかな」
「そりゃあ………ねぇ?」
「ねぇって何!?すごく気になるんだけど」
じゃあ言わせてもらおう。
「ボールは友達。友達はボール。そして明久はボール以下の石ころさ」
「ひ、ひどい!」
「良かったなじゃないか。来世は石ころらしいぞ」
「嫌だ!せめて生き物にしてほしい!」
「じゃあ須川はどうかな」
「石ころでお願いします」
真剣な顔で答える明久。確かに僕も須川くんは生理的に無理かなぁ……。
side 吉井明久
その後一悶着あったが、演説で雄二が皆の士気を上げることで無事終了。そして今は、誰がDクラスの宣戦布告の使者になるかの話しになっていた。
「明久でしょ」
「………明久以外いない」
「明久頼む。無事大役を果たせ!」
「なんで満場一致で僕なのさ!?」
皆が僕を指名する。そんなに僕って信頼されてたっけ。
「ていうか下位戦力の宣戦布告の使者ってたいてい酷い目に遭うよね?」
「ははは、そういうのは映画や小説の中だけだよ」
「大事な使者に怪我なんかをさせるわけがないだろう」
「………むしろ歓迎される」
笑顔で答える日和。信じられないものを見るような眼で見てくる雄二。首を横に振って否定の意を示すムッツリーニ。三者三様な反応だけど皆酷い目に遭うとは思っていないようだ
「そ、そうだよね。分かった行ってく――――――」
「待って明久!」
行こうとしたところで日和に呼び止められる。
「え、どうしたの日和」
「実は……どうしても……皆に伝えたいことがあるんだ……」
「なんだ急に」
「……様子がおかしい」
腰は震えていて、首筋には汗が流れている。それほど重大なことなのか。
「忘れもしない………この焦燥感……」
「おいおい大丈夫か日和」
「顔色悪いよ?保健室に行く?」
「………応急手当」
「皆……ごめん……僕……―――――」
ゴクリと唾を呑み込む音が聞こえる。
日和はゆっくりと顔を上げ僕らに向けて口を開く。
「トイレ行ってくるわ」
「「「地獄に行ってこい」」」
雄二が日和を蹴飛ばして教室から追い出す。今刺激したら漏れちゃうと喚いていたが別にかまわない。十八禁の伝説にお漏らしが加わるだけだ。
「はあ……、日和の奇行にはいつも驚かされるな……」
「そうだね……一年経っても慣れないや……。ていうか雄二って本人がいないとちゃんと名前で呼ぶんだね」
これが日和がよく言っているツンデレなのだろうか。雄二がツンデレしても需要はないと思うけど。
「秀吉、念のためお前が追いかけて見張っててくれないか」
「うむ?それはいいが何故ワシなのじゃ?」
「恐らく日和は女子トイレで用を足そうとするだろう。だからこその秀吉だ」
「確かに、秀吉が女子トイレに入っていても違和感がないよね」
「日和が男子トイレで用を足すという考えはないのかのう……」
そんなこと、地球は丸いなんて同じレベルで常識なのに秀吉は知らないのだろうか。
「それじゃあ行ってくるのじゃ」
「ああ、頼んだぞ」
秀吉を雄二が送り出す。秀吉も大変だなぁ、日和のお守りをしなきゃならないなんて。
雄二が僕の方を向いて口を開く。
「話しを戻すが、明久、使者としてDクラスに行ってくれるか?」
「分かった。それじゃあ行ってくるね」
「ああ、頑張れよ」
「………さらば友よ」
ムッツリーニが何か言っていたようだけど、その時の僕には聞こえていなかった。
「怪我じゃすまないかもしれないからな。救急箱を用意しておくか」
もちろん、雄二のこの声も。僕の耳には入っていなかった。
今回は少なめです。