ウマ娘と腐り目トレーナー   作:限界オタク

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予備校生なもんで遅筆で候う


練習というのは何時でもめんどくさいしキツいものだ

スぺ「ら、来週ですか」

 

入部早々突然のデビュー戦への参加を告げられ、驚きを隠しきれていない。それもそうだ。スぺは周りにウマ娘もコースもない田舎育ちでレース初心者だ。レースに参戦するのに早すぎるというのが当たり前の感想だ。

 

八幡「ああ」

 

ウオッカ「いくらなんでも早すぎんだろ」

 

スカーレット「そうよ、今日が転校初日なのよ」

 

八幡「なんとかなるだろ。ほら、ライオンはわが子を千尋の谷に落とすっていうだろあれだ」

 

確かに早すぎるというのが普通の感想だ。しかし彼女の日本一のウマ娘になるという夢を達成するには多くのレースに出ることが必須だ。クラシックには今年しか参加の機会のないものがいくつかある、基礎を固めてから実践というにはいささか時間が足りない。

 

ウオッカ「なんとかなるって適当すぎんだろ」

 

スカーレット「ちょっとは真面目にやんなさいよ」

 

そういって二人は八幡を蹴飛ばし、続けざまに尻を蹴っ飛ばした。

 

八幡「いてぇ、いてぇって俺に年下の女子から蹴られて興奮する趣味はないけど」

 

スカーレット「うっさいわね、あんたがいつもみたく適当なこと言ってるからやってんでしょ!」

 

八幡「俺がレースに関して適当なことをいうときはねえよ。ちゃんと勝機はある」

蹴りがおさまり、八幡が起き上がる。

 

スぺ「え?」

 

八幡「上がり3ハロン33秒8はかなり優秀だ。それに走った後の息の入りも早い。今のところ一週間後のデビュー戦にここまでの速さのウマ娘はいない」

 

スぺ「見てたんですか?私の走り」

 

八幡「ああ、日本一のウマ娘になりたいって言ってたな」

 

スぺ「聞いてたんですか、恥ずかしいな」

 

日本一のウマ娘になる、スペの亡き母と育ての母との約束だ。日本一のなりたい、とてつもなく大きな夢だ。

 

八幡「はあ?なんで恥ずかしがる必要があるんだ」

 

スぺ「だって、みんなに笑われちゃいましたし、あはは・・・」

 

八幡「なぜお前の夢に他人からの評価が必要ある。他人は所詮他人でしかない、お前の夢に介在する余地なんかねえよ。お前が叶えたいならお前が納得できればいいじゃねぇか」

 

そう、彼女の夢が笑われる筋合いはないのだ。確かに眼高手低の夢をもつものは沢山いる。しかし、彼女を笑ったもの達は気づいていないのだ、上を見ないと高いものには手が届かないを。

 

スぺ「トレーナーさん・・・」

 

八幡「よって俺の専業主夫になるという夢も笑われる筋合いはないということだ」

 

専業主夫、一家の大黒柱としてじゃなくサポート役として家庭を支えるとても良い職業だ。なのに十中八九いや、十中十否定される。絶対あれだよ。専業主夫否定するやつはRPGでヒーラーバカにするやつだよ。いいじゃねぇか男がヒーラー選んでも。まぁ、ぼっちだから回復してあげる人がいないんですけど。

 

スぺ「あはは・・・」

 

ゴルシ「たまにはいいこというじゃねえか、トレーナー」

 

スカーレット「最後で台無しだけどね」

 

八幡「スペシャルウィーク、一週間後のデビュー戦に向けて明日から練習だ」

 

スぺ「はい!!」

 

翌日、学園レース場にスペ、スズカを加えたスピカの面々が集められた。いつも練習を遠くからボーッと眺めてるだけの八幡がターフに姿を見せているので、アップをしながら、ウオッカ、スカーレット、ゴルシは嫌な予感がしていた。

 

八幡「アップは終わったな」

 

ウオッカ「今日は何やらされるんだよ」

 

スカーレット「また変なトレーニングでしょ」

変なって言うな、変なって。

 

八幡「喜べ、今日のトレーニング一本目はただ突っ立ってるだけだ」

 

スカーレット、ウオッカ「「やっぱり」」

 

スぺ「これが皆さんのおっしゃる変なトレーニングなんですね」

 

ゴルシ「でこのトレーニングは何の意味があるんだ?」

 

八幡「やってりゃ分かる。コースの外に一列に並べ、足は1メートル以上開けろよ」

 

文句をたれつつも、素直に全員がコースのすぐ外で一列になり棒立ちになる。こういう時に素直に言うことを聞いてくれるのが彼女たちの良いところだ。

 

モブウマ娘「見て、スピカがまた何かやってるよ~」

 

モブウマ娘「ほんとだおっかしー」

 

八幡「やらせといてなんだが、なんかめっちゃシュールだな」

大股を開いて1列に並ぶ美少女たち、ウマスタあげたらバズっちゃいそう。

 

スカーレット「すごい恥ずかしんですけど」

 

ゴルシ「わけわかんねぇよ」

 

八幡「黙って雲でも数えてろ、直に分かる」

 

そう言って、五人の近くに腰を下ろし、八幡はパソコンで何やらし始めた。

 

スぺ「スズカさん、スズカさんはこの練習の意味って分かります?」

 

スズカ「ごめんなさい。私にも分からないわ」

~10分後~

ウオッカ「足が」

 

スカーレット「きつい」

 

ゴルシ「うおぉ」

 

スぺ「くぅぅ」

 

スズカ「っ・・・」

 

八幡「やっと効いてきたか」

 

スカーレット「ちょっと何なのよ、これ!」

 

ウオッカ「ただ立ってるだけなのに・・・足がきつい」

 

八幡「お手本通りのリアクションだな。さあ、もうそろそろ何の練習か分かってきただろ」

 

スズカ「トレーナー、これって」

 

スぺ「スズカさん分かるんですか!」

 

スズカ「ええ、筋持久力トレーニングですか?」

 

ゴルシ「筋持久力⁉」

 

八幡「正解だ。お前らがやってんのは通称大文字焼きって言う、筋持久力のトレーニングだ。人もウマ娘も日常生活において立ってる時必ず片方の足を休まている、だが今のお前らの足には均等に体重がかかってる。キツいのはそれが原因だ。」

 

ウオッカ「キツいぃぃぃ」

 

八幡「それに、左右の筋力のバランスが悪いと体の軸がぶれて走りにも影響する。このトレーニングは体のバランスを整えるのにも適してる。俺がいいって言うまで止めんなよ。これはメンタルのトレーニングでもあるからな。あと1時間20分だな」

 

スぺ、ゴルシ、スカーレット、ウオッカ「あとそんなにやるのかよ(やるんですか)!」

 

~1時間20分後~

八幡「よし、終わりだ」

 

一同「ふわぁぁ、、終わった~」

 

ゴルシ「足ガックガクだ」

 

スぺ「私もです~」

1時間半もの間直立不動だった一同は終わった途端に地面に倒れこんだ。まるでフルマラソンを走り切った後かのような疲れようで、ただ一列になって直立していたカルト集団には到底思えない。

 

スカーレット「私も~」

 

ウオッカ「なんだあの程度で疲れのか?」

 

スカーレット「なによあんた、途中でもう無理~とか情けない声出してたじゃない!」

 

ウオッカ「だしてねえよ!耳おかしいんじゃないか。スカーレットだってもう限界~とか弱音吐いてたくせに!」

 

スカーレット「耳がおかしいのはあんたよ!私はそんなこと言ってないわ!」

 

八幡「お前らよく喧嘩する元気あんな。あと、二時間くらいやってくか?」

 

スカーレット「あんたねぇ!自分がやってないからって・・・」

 

ウオッカ「好き勝手いいやがって・・・」

二人は肩をワナワナと震わせ、俺に飛びかかろうとするが、トレーニングによって小鹿のように震える足がそれを阻む。

 

八幡「残念、その間合いじゃ、拳半分届かないよ」

いつもはここで何かしらの技をかけられるが今日はそうは

 

ゴルシ「ゴルシちゃんキーック!!」

八幡「ぐへぇっ!」

いかないわけがなかった。ゴルシのドロップキックが俺の腹を襲う。

 

八幡「いってぇ」

超痛い。ウマ娘の人間離れした脚力で蹴られて痛くないわけがない。しかし大文字焼きの後に蹴りを喰らわせられる余力が残っているとはさすが驚異的な末脚をもつゴールドシップだと思わず感心してしまう。

 

ゴルシ「・・・」

へんじがないただのしかばねのようだ。前言撤回。こいつ俺にドロップキック入れるためだけに余力を振り絞りやがっただけのようだ。根性の使いどころが違うだろ、レースでその根性を発揮しろよ。

 

スぺ「トレーナーさん、次のトレーニングは?」

大文字焼きの後で相当疲れているはずなのにもう次のメニューを聞いてくるなんてなんて真面目な子なんだ。遂にスピカにもまともなのが来たのかと感動を覚えてしまう。

 

八幡「あとは基礎トレ、そのあとお前はデビュー戦に向けて実践形式の練習だ」

 

スぺ「はいっ!」

 

ゴルシ「気合入ってんな、スぺ」

 

スカーレット「私たちも負けてられないわ」

 

ウオッカ「ああ」

彼女のやる気は周りにもいい刺激になっているようだ。やっとチームスピカ本格始動だ。

 

スペ(お母ちゃん、デビュー戦頑張ります!)

 

~レース前日~

八幡「ここからスタートしてぐるっと周ってここがゴールだ」

レース本番が迫ると練習だけでなく、担当ウマ娘とのミーティングが重要になってくる。レース素人であるスペの場合、重要度はもっと高い。

 

スペ「あ、はい」

 

ウオッカ「で、スぺ先輩の作戦は?」

 

スカーレット「そんなの逃げに決まってるじゃない」

 

ゴルシ「内から強引に突っ込んでいくべきだな」

作戦というのはレースで勝つためには非常に重要だ。ウマ娘のこだわりや脚質の相性、走るレースの距離などによって様々だ。どんなにトレーニングを積んでも自分にあった作戦でレースに挑まなくては勝てないが

 

八幡「いや、作戦はなしだ」

 

ウオッカ「はぁー!?ねーのかよー!」

そう叫んだあとウオッカは俺の首に腕を回して引き寄せる。

 

八幡(あ、柔らかい)

女の子特有の甘い匂いと彼女で慎ましやかではあるが確かにある柔らかな感触を感じて年甲斐もなく高揚してしまう。がその喜びもつかの間。

 

八幡「ぐぇぇぇ」

Head Rock。こいつらから技をかけられるのが慣習化してきてしまった。ぼっちはパーソナルスペースが広いんだ。どうにかして欲しい。そういう無邪気な行動がですね・・・多くの男子を勘違いさせ、結果死地へと送り込む事になるんですよ。。。分かったら今後、『ボディタッチはしない。』『休み時間や放課後男子の席に座らない。』『忘れ物をしても男子から借りない』徹底して下さいね。

 

スズカ「ないのが作戦・・・」

スズカのフォローが入る。

 

八幡「そうそれ・・・」

全員が俺を疑心暗鬼の目で見つめる。いや、適当なこと言ってないからトレーナーさんちゃんと考えてるから。

ウオッカのヘッドロックも止み、こう続ける。

 

八幡「スペシャルウィーク、お前俺が練習で言ったことの半分も理解してないだろ」

 

スペ「す、すみません・・・」

一瞬ギョッとした顔をした後申し訳なさそうな表情とともに耳も垂れ下がる。

 

八幡「別に責めてる訳じゃねぇよ。今、分からないことは今後分かっていけばいい。今回のレースに関しては小難しいことを言うつもりはない。駆け引きしようなんて思うなよ。好きなように走れ。」

 

スペ「好きなように・・・」

 

八幡「前方だろうが後方だろうが、どこだっていい。自分がここだって思う気持ちのいいタイミングでスパートをかけろ。俺から言えることはそんだけだ。」

 

スペ「ここだって分かるかな」

そう不安そうに呟く。我ながらかなりむちゃを言っていることは自覚している。

 

八幡「さあな。そればかりは経験や生まれ持った才能に左右される。どうなるかはレースにならんと分からん」

 

スペ「・・・」

彼女は黙ったままだった。レースは明日、彼女を待ち構える最初の壁だ。

 




俺もプロレス技かけられたい
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