黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
春の風吹くシニア戦線
マックイーンは春のシニア三冠の初戦大阪杯を目指し調整を続けていた。
マックイーンが春のシニア三冠を目指すのに、一番の難関はこの大阪杯だと思っていた。
ゴールドシップも同じ分析をしている。
「マックイーンの強みはパワーとスタミナだ。一方でスピードも一流だが、テイオーの抜けだし速度なんかには劣るところがあるな」
「そうですわね」
「天皇賞春は何と言っても3200m。距離で言っても圧倒的に有利だ。宝塚記念は阪神レース場で再三レースが開催された最終日だ。毎年芝が非常に荒れていてかなりのパワーが必要なレースだ。内回りのコースで直線も短いしな」
「そうですわね……」
「でも大阪杯は3月開催の最終日だからまだ芝はそこまで荒れてない。内回りの2000mだから早めに前に行くのが有利なスピードレースになる可能性が高い」
「テイオーに一番向いたレースですわね」
今年のシニア戦線はそう目立った相手はいない。
自分とテイオーを除けばイクノディクタスか、テイオーがクラシックで競っていたブレスオウンダンスぐらいだろうか。
言いたくはないがあまり脅威になる相手ではない。
ナイスネイチャは有馬記念までで無理をし過ぎたらしく休養中で、現在はキンイロリョテイのドバイクラシック挑戦に付き添っている。春の戦線に出てくる可能性は低かった。
油断するわけでもないし、ほかの参加者もゴールドシップが調べてくれているが、やはり一番のライバルはトウカイテイオーだった。
おそらく無茶をしてでも勝ちに来るだろうテイオーをどうやって抑え込むか、どうやって出し抜くか。
天皇賞秋の時のような無茶はできない。大阪杯の次の天皇賞春までは1月もないのだ。
あれをやったら天皇賞春は碌に走れない。
「ひとまずあれを使って、あとは力勝負で十分だと思うぜ。早めの勝負をしていけば、スタミナで勝ってるんだから負けることはないだろう」
「そうですわね」
ネコだましからヒントを得たあれは、おそらく一回限りだ。確かにそれなら、一番不利な条件のここで使うべきだろう。
効果があるかないかはわからないが、なければ単なる力比べだ。全力で勝ちに行くのをマックイーンは誓うのであった。
一方トウカイテイオーはスぺとスズカと一緒に会議をしていた。
最初はゴールドシップが作戦会議をする予定だったが、さすがにマックイーンと兼任でいいのかという事で、スズカが引き受けたのだ。
一時期同じチームにいたのも気になった理由の一つだった。
スぺもさすがに慣れて来たのか、生徒会の仕事を多少抜けても大丈夫なようになってきているようである。
「スぺちゃんもスズカ先輩も、大阪杯勝ってるよね?」
「そうね。私の場合、とにかく逃げてるからどこまで参考になるかわからないけど……」
「私も大逃げで勝ちましたし、あまり参考にならないかもしれないです。でも、大阪杯なら先に行った方が有利なレースですよね」
「阪神の内回りは直線も短いから前に残る方が有利だし、大阪杯の季節なら内のバ場が荒れてないから大外からマクるのも難しいわ」
「なるほど……」
コースによって有利不利はかなりあるのだ。
こういう分析を聞くと、逃げてしまった方が有利なようにも思えてくる。
テイオーはどの戦術も使えるので、逃げるのも検討し始めた。
「でも逃げるのも結構大変なんですよね、あそこ」
「そうかしら?」
「スズカさんは最初から速いから気にしないかもしれないですけど、2000mだとスタートしてからすぐ登り坂なんですよ。2200mの宝塚記念以上に先に行く場合はパワーが要りますよ」
登り坂が苦手なスぺは愚痴る。
中山の坂ほどではないが、阪神の坂も非常に急だ。
「じゃあマックイーンはかなり前に行くかな?」
「その可能性も高いかもしれませんね」
大逃げ、とまではいわないまでも先頭に立って進む必要があるかもしれない。
テイオーもまた、勝つためにどうするか考え始めるのであった。
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