黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
大阪杯は例年より参加者が少なく8人しか出走していない。
2番人気に押されたのは2枠2番のトウカイテイオーであった。
中性的なカッコよさで人気を集める彼女だが、今回のパドックは少し雰囲気が違った。
終始笑顔で、観客に手を振るシーンもあったりした。
いままでよく言えば冷静、悪く言えば冷徹な部分があったテイオーだったが、年をまたいでそういった角がなくなっていてファン一同驚きを隠せなかった。
三冠の菊花賞敗北後、精神的ショックを受け復活も難しいなどというニュースも流れていたが、今回のこの愛想のいい姿を見ると皆驚いていた。
テイオーとしてはとても楽しかった。
今までは周りを全く見ていなかったが、周りのみんなは多く応援をしてくれていた。
キタちゃんも一生懸命手を振ってくれていたので振りかえしたらとてもうれしそうだった。
こんな体が軽いのは初めてだった。
応援してくれているみんなのためにも、勝ちたいとテイオーは思った。
1番人気はメジロマックイーンであった。
いつものように華麗にファンサービスを行うパドックである。
丁寧に手を振りながら、見つけたサトノダイヤモンドにも笑顔を送る。
サトノダイヤモンドはキャーキャーと叫んでいた。
メジロマックイーンは武者震いをしていた。
今回のレースも負けるわけにはいかない。
しかし、今までと違い、絶対に勝つだけの何かを準備できたわけではなかった。
そういう意味では小倉記念の時とも似ているが、あのときと違い負けてはいけないという状況であった。
こんな極限状態は久しぶりだった。
そしてこれこそがレースだった。
マックイーンは思い出した。
押し殺されそうなぐらいのプレッシャーにマックイーンは、逆に闘志を燃やした。
こういう時に一番重要なのは精神力である。
ウマ娘の場合、単なる生物学的な要素では説明しきれない、不思議な力がある。そして基本的にそれはすべて精神力が影響するのは経験則上わかっていた。
負けたくないという気持ち。
誰よりも速く走ろうという気持ち。
それを自分の中でマックイーンは高めていく。
それはメジロの家を背負うという自負でもある。
それはゴールドシップを助けたいという恩でもある。
しかしそれらを含めてなお、一番強いのはただただ勝ちたいというウマ娘の、そしてメジロマックイーンの本能だった。
(トウカイテイオー、あなたは強くなりました。私のライバルとして認めましょう。それでなお聞きましょう。私に勝てると、そう思っていますか?)
心の中でそう尋ねるマックイーン。当然返事は返ってこない。
しかしその答えは、レースでわかる事であった。
イクノディクタスは何かいやな予感をほんの少しだけ感じていた。
何かは全く分からない。
すぐに何か起きそうな直感でもない。
今回8枠8番と大外になってしまった。先行する予定であったイクノにとってこれは非常に不利である。
テイオーもマックイーンも前に行くレースをしてくるはずだ。2番のテイオーと4番のマックイーンに並ぶのも大変だと予想された。
まあそれは大きな問題ではない。
自分が二人に走力で劣るのは疑いようもない事実だ。
南坂トレーナーも勝てば御の字ぐらいの、入着を目指すレベルのレースしか指示しなかった。
勝ち目があるなら貪欲に勝利を目指す一方、勝ち目がないレースも積極的に出るのがカノープスの方針だ。
それ自体は特に問題なかった。
ほんのちょっとだけ引っかかる、この感覚。
そのうち大変なことになるのではないかという、前兆の前兆のような予感。
今はレースに集中しようと、イクノは首を振るのであった。
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