黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り   作:雅媛

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第二章 超光速の貴公子と運命の分岐点
それは光速を超える運命の出会いで


チームスピカのメンバーを増やすため、ゴールドシップは校内を彷徨い歩いていた。

残念ながらゴールドシップ加入時にいた二人はやめてしまったが、トレーナーはやる気を出しており、チラシを配りまくったことで新規メンバー二人が加わった。

ダイワスカーレットとウオッカだ。

ゴルシちゃんのセンスあふれる、まるでデザイナーに発注したかのようなチラシには反応せず、トレーナーのクソださチラシで二人釣れたのはゴールドシップにとって心外だったが、まあそれはそれでいいだろう。

ちなみにマックイーンはまだメンバーではない。

泣き落としにパフェにケーキと、手を変え品を変え誘ったのだが、いろいろ見比べてから入るチームを決めると断られてしまったのだ。

隙を見てまた勧誘するつもりだが、今はまだメンバーではなかった。

 

なんにしろいま重要なのは、入った二人は逃がさないようにすることだ。

そのためトレーニング方法の変更も行った。

内容自体は変えていない。増えたのは、トレーニング内容の説明だ。

いちいちすべて、何を目的として、何を鍛えて、どうなれば成功か、を教えるようにトレーナーに言うようにきつく指導したのだ。

リギルのように管理調教ゴリゴリならば、そんなことする必要はない。

教えている時間分無駄だし、アレンジが加わってトレーニング効果が落ちる可能性があるのを考えるとマイナスしかない。

だが、スピカは自主性を重んじているのだ。

だから自分が何をしているか、何が必要か、それを納得の上でやらなければ意味が無いのだ。

 

この管理主義全盛期のご時世だから、トレーナーもそこのところが分かっていなかった。

ゴールドシップが実質的なサブトレーナーとしてトレーニングを見ることによって、足りないところを補って、チームは回り始めていた。

 

ここで必要なのは更なるメンバーである。

ワンコ娘のサイレンススズカと、マックイーンの加入はゴールドシップの中では決まっているが、二人ともいつ入ってくれるかわからない。

それに、もう少しメンバーは増えてもいい。そう思って校内をうろつき、新メンバーを探していた。

 

 

 

「タキオン、退学するって本当なの?」

「ああ、この前の選抜レース、申し込んでもいないのに強制参加させられたあれが最後通告だったらしい」

 

そんな風にふらふらしているところに、何やら物騒な話が飛び込んできた。

退学か……

何をやらかしたのか。サボタージュだろうか。

未来の学園でも、選抜レースをサボタージュする奴はしばしばいた。

理由はいろいろだが、大体は自信がなくなってしまい、そのせいで走る気力がなくなってしまう場合が多かった。

そんな状態になってしまったウマ娘達をフォローするのはイクノディクタス教官だった。

 

自信がなくなったわけではなく、やる気がなくなってよく授業をバックレたゴールドシップも、教官にはよくお世話になっていた。

教官はやる気を出させるために、辛抱強く話を聞いたり、甘いものや小物といったプレゼントをあげたり、どこかに連れだしたり、本当に親身になって対応していた。

教官のああいうところを、ゴールドシップは尊敬していた。

だから、教官ほどの腕が無くても、ゴールドシップは教官の真似をしたいと思った。

 

ひとまず目の前の二人に視線を向ける。

一人は真っ黒な髪と綺麗な金色の目が特徴的なウマ娘だ。

そしてもう一人は栗毛に真っ赤な目、白衣を羽織っているのが特徴的なウマ娘だった。タキオンと呼ばれたのはこちらの子である。

見た瞬間、何かが引っ掛かった。あの特徴的な外見、そしてタキオン……

未来で見たような…… しかしここで折れてしまうような子が、未来まで名前を残すだろうか。

少し考えをめぐらして…… ゴールドシップは気づいた。

 

「あー! アグネスタキオン博士だ!!」

 

叫ぶように声を上げて、思いっきり指をさしてしまった。

向こうもこちらに気づいたようで、こちらを振り向いた。

 

 

 

アグネスタキオン

未来では流浪の天才といわれたウマ娘である。

海外を巡りながら、ウマ娘の研究に生涯を費やした彼女は、ウマ娘生理学を確立した研究者である。

彼女の確立した生理学、スポーツ医学はウマ娘の治療に多大な影響を与え、彼女の研究成果反映後、トレセン学園で発生する故障は半分以下に、ケガによる引退者は数分の一になったというウマ娘の偉人である。

そんな彼女がトレセン学園に居た、という事実をゴールドシップは知らなかった。

どうしてその事実が広く知られていないか、まあおそらく答えは目の前の状況だろう。

彼女は退学処分になってしまったのだろう。だからこそ、記録としても大々的に公開されていなかったのだ。

 

なんにしろいまするべきことは一つだ。

ゴールドシップはおもむろにアグネスタキオンに近づく。

アグネスタキオンは面白そうにこちらを見ており、マンハッタンカフェはタキオンの後ろに隠れた。

 

「アグネスタキオン博士!」

「博士ではないが、なんだい?」

「サインをください! ここに、大きく!」

「へ?」

 

ゴールドシップはアグネスタキオンにペンをわたし、制服のど真ん中にアグネスタキオンにサインを求めた。

 




アグネスタキオン編
始まります
タキオンのストーリーはいいぞ(黄緑色に輝くモルモットの顔)

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今後スピカに加わってもらいたいメンバーは?(補足は活動報告へ)

  • 蹴りたいトセジョさん&きれいなシチーさん
  • 不屈の帝王 トーカイテイオー
  • 不撓の王・高貴な雑草魂 キングヘイロー
  • うーららーん! ハルウララ
  • 朝はパン派 ライスシャワー
  • イマジナリフレンドならアドマイアベガ
  • ウマ娘最小ニシノフラワー
  • やっぱりメジロマックイーン
  • メジロはメジロでもライアン
  • 私服のセンスが光るメジロドーベル
  • パーマーのこと忘れてない?トレーナー?
  • その他ー活動報告へ
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