黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
ファンファーレの鳴った後、ゲートインは特にトラブルもなく終わる。
そうして一瞬の沈黙の後、ゲートが開き、レースは始まった。
グランプリレース、有馬記念に出場するのは一流のウマ娘ばかりである。
この時の出場するウマ娘もまた、皆一流ばかりであった。
特に目立って出遅れるウマ娘もおらず、並んでスタートする。
いつものようにハナを切るために全力で飛ばすツインターボ
爆逃げするためにセーブしない逃げをするダイタクヘリオス
そしてそれをいつもの頭が高い走り方で追いかけるメジロパーマー
三人が一気に飛び出し、先頭争いを始める。
単純な瞬発力ならヘリオスが
最高速度ならターボが
スタミナとパワーならパーマーが
それぞれ優れる状況での先頭争いである。
一番最初に先頭に立ったヘリオスに最高速度で勝るターボが追い抜こうとし
その二人に駆け引きで迫り追い抜こうとするパーマー
激しい先頭争いが始まっていた。
その後ろ、先行集団にはダイワスカーレットとトウカイテイオー、そしてイクノディクタスがつけていた。
こちらもこちらで激しいポジション争いが起きていた。
年末の冬の有馬記念の芝はかなり荒れている。
どうしても冬場は芝の生育が遅い上、レースを繰り返して芝の生育が間に合っていないのだ。芝のコースにもかかわらず、砂ぼこりが舞うぐらい芝が荒れて、バ場が重かった。
そのためより良い芝の部分を走ってスタミナ消費を抑えたいのだが、そのコースをテイオーとスカーレットが争っていた。
今のところテイオーの方が優勢である。
駆け引きという面については、強力なライバルがいてレース経験の多いテイオーの方がスカーレットより勝っていた。
だが、特にパワーについてはスカーレットの方が分があり、どうなるかわからない状況である。
そんな二人のポジション争いから一歩引いて、良さそうな場所を走り続けているのがイクノディクタスだった。
タキオンは、今回は後ろ気味に控えていた。
タキオンの得意戦法は先行である。しかし先行策で行くと確実にスカーレットと競合し、またテイオーと競合する可能性も高い。
休養明けで勝負勘が鈍っている。
そんな中でポジション争いは分が悪いと考えていた。
それなら後ろからの勝負の方がいいだろうと思って後ろにつけたのだ。
だが、そんなタキオンをマークし続けているのがナイスネイチャだった。
ネイチャがタキオンをマーク相手にした理由は、ある種の消去法だった。
テイオーを相手にマークするのは少し厳しい。
テイオーも対マークやらマークやらの練習をしているし、お互いそれなりに研究している。
テイオーだけならギリギリ勝てる可能性があるが、おそらく潰しあいになったら二人して沈むだけだとネイチャは判断していた。
ならばという事でマークしたのがタキオンだった。タキオンの実力はネイチャもよく知っている。おそらく単純な走りというだけならばテイオー以上の才能を持つウマ娘だ。しかし休養明けで勝負勘が鈍っているだろうからここがねらい目だと思っていた。
そんな風にタキオンとそれをマークするネイチャ、そしてウオッカをはじめ他のウマ娘達は後方で一団となって走っていくのであった。