黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り   作:雅媛

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最終章 すべてのウマ娘を幸せに
ドリームトロフィーシリーズ


ドリームトロフィーシリーズは、いわばプロリーグである。

賞金もきちんと出るそのリーグ戦は、年に2回、総決算としてのドリームトロフィーレースが行われる。

トゥインクルシリーズでの成績は一切不問で予選から競っていくレースだが、結局トゥインクルシリーズで強かったウマ娘がそのまま強いというのが基本だ。

なので総決算のサマードリームトロフィーとウィンタードリームトロフィーでは、トゥインクルシリーズで有名だったウマ娘が揃うことが非常に多い。

だが、有名だったウマ娘がすべて出てくるわけではない。トゥインクルシリーズから移籍後、勉学や仕事などによりトレーニング量を減らすウマ娘も少なくないのだ。

そう言う子たちも気分転換を兼ねてレースに参加するが、大体本戦には上がれず、本戦に上がれたとしても実力は今一つということになってしまうことが多かった。

例えば生徒会長になったスぺなんかはもうボロボロである。トレーニングしていない上に体重が増えてしまい、予選でズタボロに負けていた。

グラスワンダーやセイウンスカイといった他の生徒会メンバーもトレーニングがほとんどできておらず予選で負けている。

スぺの同世代では、キングも家業の手伝いに忙しくとてもではないがトレーニングができていないため、やはり予選敗退。

唯一エルコンドルパサーが頑張っているといった状況だった。

 

そんな中、今年度のサマードリームトロフィーに勝利し、二連覇を狙うのが絶対皇帝シンボリルドルフだった。

生徒会長だったときは業務が忙しかったため、トレーニングもあまりできておらず成績はそれなりぐらいだったが、生徒会長を辞めてからの強さは絶対的だった。

強すぎてつまらない、などといわれるぐらいに圧倒的に強かった。

 

 

 

ウインタードリームトロフィーレース自体は、距離ごとに短距離1000m マイル1600m 中距離2400m 長距離3000mの四種類がある。

それぞれのウマ娘が得意な距離に参加しているが、一番注目が集まるのはクラシックディスタンスである2400mの中距離レースであった。

シンボリルドルフが参加するレースもこれであり、トウカイテイオーがシンボリルドルフに挑むのもこのレースだった。

 

今回のレース、スピカから出ているのはトウカイテイオー以外にはサイレンススズカだけである。トレーナーになる勉強の傍ら、トレーニングを欠かさなかったスズカは全盛期ほど走れる自信があった。

しかしそれでも皇帝には一度負けている。

距離の問題もある。マイルから中距離適性が高いスズカにとって2400mは少し長すぎた。だが、それ以上に皇帝が強すぎた。

1800mぐらいの短いレースならかろうじて勝負になりそうに思ったが、2400m のクラシックディスタンスでは勝てる気がしなかった。

それでもスズカはこの距離に出場している。距離適性だけであきらめたくない負けん気もあり、テイオーのために少しでも多く情報を取るためでもあった。

 

一方リギルからはかなりの数が出ている。

マルゼンスキーを筆頭に、現生徒会副会長のエアグルーヴ、フジキセキやヒシアマゾンといった面々も出場している。

シンボリルドルフと同じチームの彼女らだが目的はただ一つ、シンボリルドルフに勝つことだった。

 

多くの夢と希望、意地と絶望の入り交じるウインタードリームトロフィー

その日は刻々と迫っていた。


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