黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
テイオーはウィンタードリームトロフィーレースの前の期間、休養で過ごした。
もちろん全く動かないわけではなく、軽いランニングはもちろん、準備体操などをして最低限のトレーニングはしている。
だが、強度の高いトレーニングは一切していなかった。
単純にG1の三連戦で体も仕上がり切っており、これ以上やるとオーバーワークで持たない可能性があった。
そのため調子を維持するための軽めの調整のみが行われていた。
といってもテイオーは本質的にナメクジなのである。
トレーニングを禁止されてやれることは本当に少なかった。
「テイオー、昨日何してたの」
「一人カラオケ」
有馬記念から二日後の教室。
同級生のネイチャがテイオーに昨日何してたかを聞いたときの回答がすべてを物語っていた。
「いやさすがにやばいっしょ」
テイオーがトレーニングしている間、ネイチャはゴールドシップに直談判に来ていた。
このままだと2週間連続一人カラオケとかし始めかねない。
しかも理由はライブのための練習だ。本人は大丈夫かもしれないが、主にネイチャの精神がやられかねないのもある。
それもありネイチャはわざわざおせっかいを焼いてスピカの部室に乗り込んだのだ。
「じゃあ私が一緒に「却下だ」なんでですの!?」
マックイーンが閃いたかのように自分が遊びに行くのを誘うのを提案しようとしたが、ゴールドシップに即時却下された。
「マックイーンが連れていくと甘いもの食べ歩きになるだろ。食べるなとは言わないがマックイーンと同じペースで食べたら明らかに太め残りになる。絶対ダメ」
そもそもマックイーンとテイオーで体格が違い、基礎代謝もかなり違うのだ。
そしてマックイーンは本当においしそうに食べる。絶対体重調整ミスする。
なので却下せざるを得なかった。
「さ、最近はイクノさんと一緒ならもうちょっと文化的なところも……」
「おまえ、自分とイクノのデートにテイオーを連れていくつもりかよ……」
イクノは確かにこういう時にとても健全なデートコースを準備しているようだが、それだと二人のデートにテイオーを交ぜるという鬼畜の所業をすることになる。
きっと三人全員にきつい地獄のような光景になる。いや、イクノは気にしないかもしれないが。
だが、そうすると同行者がスピカ内で思いつかない。
スぺは生徒会が忙しいから難しいし、スズカは現状最終調整中だ。すでに移籍して1年経っているスズカはここめがけて調整しているので、現状余裕がない。
タキオンはスカーレットやウオッカを引き連れて何か裏で暗躍しているようで、年末年始は完全に休みにしていて学園にすらいない。
ゴールドシップが適当に声をかけて何度か遊びに行くのもありうるが……
テイオーの顔見知りならリギルのメンバーだが、誰もかれもドリームトロフィーレースに向けて絶賛調整中だ。特に現状リギルはドリームトロフィーレースメインになっているから、この時期に手が空いている者はいないだろう。
「うーん、私も手は尽くすけど、ネイチャたちもテイオーのこと誘ってやってくれね?」
「まあ、構いませんが……」
カノープスのメンバーはネイチャもターボもマチタンも、年末を越えたのでみんな手は空いている。
ひとまず動かせるメンツで、テイオーの年末年始をどうするか、予定を組み立て始めるのであった。