黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り   作:雅媛

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第二章 黄金船のチーム探し
トレーナー探しって難しい


入学してしばらくの間、ウマ娘達は教官とトレーニングを重ねながら自分のトレーナーを探し続ける。

そのためのイベントは各種あり、典型的なのは選抜レースであるが、体験入部や合同説明会といったイベントも存在している。

そういうのにも出てみたが……

 

「なんかぴんとこねーな」

 

ゴールドシップの正直な感想だった。

 

 

 

選抜レースで圧倒的なロングスパートを見せたゴールドシップは、トレーナーたちのスカウトに囲まれた。

やれ三冠も確実だの、世界も狙えるだの、そんな誘い文句を皆口々にしていた。

だが、どれも正直ピンとこなかった。

 

おそらくゴールドシップ自身が走る目的がちゃんと見つけられていないからだろう。

また、声をかけてきた連中が、皆まじめすぎるのもあった。

ネコをかぶったゴルシちゃんはマックイーン以上のお嬢様だが、その本質は目を離すと1秒後に何になっているかわからないような気性難ウマ娘である。

現に、ゴールドシップを取り囲んでいたトレーナーたちが一瞬みなゴルシちゃんから目を離した瞬間、変わり身の術でにゃーさん(1mの高さのゴールデン招き猫)と入れ替わってみたりしている。

そんなゴールドシップについていけるトレーナーはあの囲んでいるトレーナーにはいなさそうだった。

 

「そんなこと言っていると永久に決まらないんじゃないの?」

 

早々にトレーナーを決めたお嬢が呆れたように言った。

お嬢は選抜レース後、あっさりトレーナーを決めた。

腕はあり、熱血指導だが、レース指導の内容が荒っぽく、評判が分かれるトレーナーだ。

お嬢のことだからもっとさわやか系なトレーナーを選ぶと思っていたのでちょっと意外だったが、ビビッと来たらしいのでそんなものである。

 

「いい人いっぱいいたと思いますけど」

 

ブリもブリで、お嬢と同じチームに入った。

ブリのほうはもっとおとなしいトレーナーを選ぶと思ったのでこれも意外であった。

ただ、お嬢に流されたり、トレーナーに流されたわけではなく、自分で選んだトレーナーのようであり、トレーニングを頑張っている。

 

「そう? 私も全然ピンとくるのがいないなー」

 

ジャスは全くトレーナーが決まっていない。選抜レースの成績もよかったから、トレーナーに囲まれていたが、誰もピンとこなかったようだ。

今は勝手に食後の休憩といってゴルシちゃんの膝を枕にしてる。

 

「でもどうするの? 二人とも、めぼしいトレーナーの勧誘断っちゃったじゃない」

 

大体のトレーナーは選抜レースを見に来るし、それで勧誘を全部断ってしまったから、今後選抜レースでいいトレーナーを見つけるのは難しそうだ。

もちろん二回三回と、三顧の礼のように勧誘に来るトレーナーはいるが、あまり期待はできないだろう。

 

「こうなったら選抜レースを見に来なかったトレーナーを探すしかねーな」

「いるの? そんな人」

「案外いるぜ」

 

例えば過去の頃のスピカなんかだと、全く選抜レースを見に行かなかった。なんとなく誘拐したりして集めていただけだ。

後、リギルなんかは自分のところで選抜レースをしていた。規模が大きいからできる方法であるが、今でもそういうことをしているかもしれない。

そこまで考えて、一つ思い当たるところがあった。

過去にかかわりのあったチーム、スピカやリギル、カノープスはどうなっているのだろうか。

 

「なーなー、お嬢、スピカとか、リギルとか、カノープスっていうチーム知らねーか?」

「リギルはシンボリルドルフがいた最強チームよね。トレーナーが高齢で閉めちゃったって聞いたけど」

「ふむ、他のチームは?」

「聞き覚えがないわね」

「私少しは知ってますよ」

「そうなのかブリ」

「カノープスはゴールドシップさんのおばあさまのイクノ教官が所属していたチームですよね。トレーナーさんも年だからやっぱりもう終わらせちゃったとか、イクノ教官が話してました」

「そうなのか」

「というかなんでゴールドシップがイクノ教官で聞いてないのよ。そういう話題出るでしょ普通」

「いや、なんと言うか、イクノばあちゃんとはちょっと話が合わないというか」

 

なんだかんだでおばあちゃんっ子のゴールドシップは現在イクノディクタス教官に指導を受けている。

だが、普段走り方の話や、家族の話ばかりで、カノープスの話は聞いていなかった。近すぎるせいだろう。案外そんなものである。

 

「スピカはゴールドシップさんのおばあさまのメジロマックイーンさんもいたチームですよね。閉めたとか、誰かが引き継いだとかいう話は聞いていませんが」

「マジか、沖野トレーナー、じいちゃんになっても頑張ってるのかな」

 

ブリの情報が正確でない可能性があるが、ゴールドシップの知っている沖野トレーナーは確かにゴキブリのようにしぶといので、もしかしたら今でも残っているかもしれない。

里帰りということで、一度見に行ってみようか。

 

「ということで思い立ったが吉日! スピカに行ってみるぜ!」

「私も一緒に行くー」

 

ジャスタウェイと二人、ゴールドシップはスピカの部室へ向かうのであった。

次のゴルシちゃんネルの相方は

  • ブリちゃんを次は照り焼きにしよう
  • ジェンティルお嬢にお願いしよう
  • ジャスタウェイさんに決まってるだろ
  • 復活のマックイーン
  • サトイモがキタちゃん連れて復活

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