黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
チームスピカのチームルームの場所は、昔と変わっておらずそしてぼろくなっていた。
月日の経過を感じるところだ。
だが看板がまだ出ている以上、チームとしては存在しているのだろう。
「たーのもー」
沖野トレーナーは今70ぐらいだろうか。普通ならとっくに辞めている年齢だが、それでも彼ならきっと元気にトレーナー業をやっているだろうと思いつつ、ゴールドシップは扉を開けたのだが……
「あら、どなた?」
そこにいたのは初老に差し掛かった栗毛のウマ娘だった。
「……お姉さま?」
「ポニーちゃん?」
思わず口に出してしまったゴールドシップは自分の失敗を悟った。
サイレンススズカ。
最速の機能美といわれた有名ウマ娘だ。
トゥインクルシリーズではGⅠは2勝、重賞9勝という成績を持つ彼女だが、彼女を一番有名にしたのはドリームトロフィーシリーズ2000mで、58秒フラットで前半1000mを走り、58秒フラットで後半1000mを走り切るというレースをしたことだ。
当時最強を争っていたシンボリルドルフやトウカイテイオーすら影を踏ませなかった、大逃げで差すの究極形を行ったパーフェクトレースは、今でも有名、らしい。ジャスが説明してくれた。
一般的に広く知られている話らしいが、現在のレースしか見てなかったゴールドシップはそういう過去の偉業にはまったく無知であった。
ジャスの解説を聞いていたスズカは照れていた。
そんなサイレンススズカが、今はスピカを継承し、トレーナーをしているらしい。
「おね…… ゴールドシップさんも、もう学園生ですか」
「ふっふっふ、今度は三冠とってやるぜ!!」
そんなことを言いながらゴールドシップは部屋を見回す。
あのころと変わらない、というか年月が経った分ずいぶん古臭くなったチームルームだ。
「というかさ、チームメンバー少なくね?」
ロッカーの状況から言ってチームメンバーがほとんどいなさそうだ。
一人、二人? それくらいだろう。
名門チームスピカがこんなにさびれていていいのだろうか。
「それは…… そう、少数精鋭なのよ」
「母さんが人見知り発揮してスカウトしないからでしょ」
そういいながら外から帰ってきたウマ娘がいた。
「お、あたしはゴールドシップだ。スズカとは…… まあ、いろいろある仲だ」
ゴールドシップがそんな自己紹介をすると、彼女はとても妙な顔をした。
「え、この、スぺ母さん以外とコミュニケーションとれるか怪しいスズカ母さんといろいろある仲って何? すごい怖いんだけど……」
スズカの評価がさんざんすぎる。でも、母さんとか言ってるから二人の娘なのだろうか。
「私はジャスタウェイ。先輩のお名前窺っても?」
「ああ、ごめんね。ブエナビスタ。チームスピカの唯一のメンバーよ。そこのスズカ母さんの娘ね」
ジャスタウェイが話の脱線を察し、強引に話を戻すべく自己紹介をした。彼女もそれに応じて自己紹介をした。
ブエナビスタのことは、ゴールドシップも知っていた。
去年桜花賞とオークスに勝ち、有馬記念ではドリジャのアネキに迫って2着だった有名なウマ娘だ。
それがスぺの娘だと知らなかったが、さすがの血統といったところだろうか。
「で、キミたち二人はスピカの希望者? こんなマイナーチーム良く見つけたわね」
「ちょっと先代のトレーナーに縁があってね」
「ああ、沖野さん? まあそれならいいけど。で、どうするのさ母さん。二人のこと、入れるの?」
「ん~」
スズカが悩み始める。
「わかった、じゃあ入部テストしましょ」
「え、今のスズカの反応から何を理解したのブエナ先輩」
「母さんは嫌だったら嫌っていうから、悩んだってことはOKの意味合いだからね」
「何そのスズカ語」
「だから今日から頑張ろうでもいいけど、どうせだから入部テストしたいなって」
「何がどうせなんだ……」
ジャスタウェイは困惑した。
ゴールドシップはやる気満々だった。
「つまり、ブエナ先輩をぶっ潰せばあたしがチームリーダーだな」
「お、いいねいいね。その無鉄砲ぶりは。私に勝てると思うなよ」
「あ、レースする流れになってる」
飛び出すゴールドシップ。
追いかけるブエナビスタ。
困惑を覚えながらついていくジャスタウェイ。
「あ、みんなまってぇ」
3人が飛び出していくのに気づいたスズカトレーナーは慌てて追いかけてチームルームを飛び出すのであった。
次のゴルシちゃんネルの相方は
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ブリちゃんを次は照り焼きにしよう
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ジェンティルお嬢にお願いしよう
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ジャスタウェイさんに決まってるだろ
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復活のマックイーン
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サトイモがキタちゃん連れて復活