黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
事の発端
ある日のスピカのチームルーム。
ゴールドシップがおもむろに口を開いた。
「なあ、マックイーン、丸くなってね?」
パンドラの箱が開いた。
「そ、そんなことっ!?」
「目算(ぴー)キロぐらい増えてるとゴルシちゃんは思うな」
「ほっぺた揉まないでくださいませ!?」
マックイーンのほっぺをぷにぷにしながら、ゴールドシップは言う。
他のスピカメンバーも最近のマックイーンを見ていて、体重は増えていそうだなと思っていた。
もっとも、もともとマックイーンはかなり華奢で小柄な体格であったし、女性的な丸みが成長で増えただけだろうと思っていた。
増えた体重を聞いてそれは少しやばくないかとメンバーは思った。
「そういえば、スぺちゃん」
「な、なんですかスズカさん?」
「いよーぉ」
すぺんっ!
そんなゴールドシップとマックイーンのやり取りを背景に、スズカがいきなりスぺに話を振る。
体重について心当たりがあり過ぎたスぺは動揺するが、スズカがしたことは想像の斜め上に言っていた。
スズカがスぺのお腹をたたいたのだ。
まさに腹鼓である。
なんというか、女の子のお腹からしてはいけない音がした。
スぺも明らかにむっちりしていた。
最初学園に来たときはかなり細かったので、食べさせた方がいいと周りが食べさせ続けた結果だ。
「すずかさぁぁん」
あまりの仕打ちにスぺは涙目になった。
「かわいい……」
スズカは満足げにしていた。
「なん、だと……」
ゴールドシップは驚愕していた。
太ったことを指摘するのに、そんな手があったかとゴールドシップは衝撃を受けた。
弥生賞の時といい、今回といい、スズカは天才エンターテイナーゴルシの想像を上回る方法を編み出してきた。
ゴールドシップの中でスズカはワンコで愛しいポニーちゃんだけでなく、芸の師匠になった。
なんにしろ、スぺの体重もやばそうである。
「話は聞かせてもらった!!」
「タキオン博士!!」
そんな話をしていると、なぜか窓から入ってくるアグネスタキオン。
普通に窓を開けて、よっこいしょと窓枠を乗り越えてきた。
そうして窓枠に足を引っかけて「ふげぇ」と地面に落ちた。
扉から入るべきでは? とその場の全員が思った。
「さて、マックイーン君も、スペ君も太ったという事だね!」
「あの、タキオン先輩、まず起き上がった方がいいのではないですか?」
ウオッカが心配そうに倒れたままのタキオンに声をかけるがタキオンは一切気にせず倒れたまま話を進める。
「奇遇だね! 私も(ぴー)キロ太ったよ!」
「タキオン先輩!?」
「スカーレット君が食べさせるからもう太ってしょうがないんだよ! ちなみにスカーレット君も私が残した分まで食べるから(ぴー)キロ太った」
「スカーレット!?」
「タキオン、私も実はスぺちゃんに釣られて(ぴー)キロ太ったわ」
「スズカ先輩!?」
「今度はエアグルーヴに負けない……」
「スズカ先輩! 太ってつくのはお腹の肉だけです!」
みんな完全に太っていた。乙女としてどうなのかと思う重量増加だ。
一人だけ適正体重を守り続けているウオッカは頭を抱えた。