黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り   作:雅媛

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トレーニング前の分析

「すげープールだ!!」

 

ウオッカは興奮の声を上げた。

タキオン研究所地下にあったプールの空間はとても広かった。

そしていろいろなプールが存在していた。

50m競泳用のプールから、流れるプールに波の出るプール。

他にもぱっと見ではよくわからない用途のプールがいくつもあった。

なんか秘密基地っぽくてそういうのが好きなウオッカはテンションが上がった。

 

みんなに先んじてさっさと出てきたウオッカ

体重は増減なし

もともと均整の取れたモデル体型の彼女は水着になってもそのスマートさは変わらなかった。

 

「わー、本当にすごいですね!」

 

そういって続いて出てきたのはスペシャルウィークだった。

体重は大幅増である。

ただ、ウオッカが見た限り体形が崩れているわけではないように思えた。

夏合宿の時、田舎から出て来たばかりのスペシャルウィークはガリガリだった。

食べさせてもらってなかったとか言うわけではなく、単純に牧場での仕事の負担が大きかったようであった。

それが食べて肥えて、すごくむっちりしていた。

一方、お腹がそんな出ているようには見えない。童顔だが体はかなり大人で、なんとなくウオッカは恥ずかしくなった。

 

「さすがタキオン先輩の研究所ね!」

 

続いて出てきたのはダイワスカーレット。

体重は増である。

もともとスタイルがいいスカーレットだが、最近ちょっと肉がつきすぎているようにウオッカは思っていた。

特に寝ぼけて抱き着いてくるときの柔らかさが増している気がする。

ちょっと絞るべきだな、とウオッカは思った。

 

「そう褒めてもらえると光栄だね」

 

一緒に出てきたのはアグネスタキオン。

体重は大幅増である。

だが、増えたといってもスタイルもいいし、何か問題があるようには見えなかった。

スピカに加入した頃は顔色も悪く髪も尻尾もぼさぼさで、なんというかマッドサイエンティストという感じだったが、今は髪も尻尾もつやつやだし肌もつやつやで、普通に理系の美女な雰囲気である。

スカーレットの努力のたまものではなかろうか。

増えたからと言って絞る必要があるのだろうかと疑問に思う。

 

「うう、はずかしいですわ……」

 

こそこそと出てきたのはメジロマックイーン。

体重は増である。

マックイーンの水着姿を見たのはウオッカは初めてだが、そう太っているようには見えなかった。

マックイーンもスぺと一緒でもともと痩せすぎていたのでは? という疑問が浮かぶ。

まあその辺りは本人の判断だろう。

 

その後ろから出てきたゴールドシップは、なんというか、見た目はとても美しかった。

体重は測定不能

なんだ測定不能って、と思う部分と、まあゴールドシップだから、と納得できる結果である。

ただ、黙っていれば見た目だけは美人だった。

 

「ごめんなさい、少し遅くなったわ」

 

最後に出てきたのはサイレンススズカ。

体重は大幅増

しかし、その姿に皆息を呑んだ。

最速の機能美。まさにそれを体現した体だった。

もともと見目麗しいウマ娘の中でも美少女だったスズカだが、今の彼女の体は研ぎ澄まされた日本刀のようだった。

多くもなく、少なくもなく、まさに走るために最適な筋肉がついた手足。

そして、女性らしさを失わない丸みと脂肪。

体重が増えたといっていたがなんてことはない、筋肉が増えて、研ぎ澄まされただけであった。

 

その美しさに皆息を呑み……

 

「タキオン先輩! 俺、スズカ先輩みたいになりたい!」

「ウオッカずるい! 私もなりたい!!」

「スカーレットには無理だろ! いろいろつきすぎなんだよお前!」

「はぁ? うるさいわね貧相ウオッカ!!」

「なんだとデブスカーレット!!」

 

スズカの様になりたいと言いながら、いつものように喧嘩する二人。

それを見て苦笑するタキオン。

 

「私はスぺちゃんみたいになりたいけどなぁ」

「スズカさん!?」

 

スぺのお腹に頬ずりを始めるスズカ。

 

「これ、どうしますの……?」

「ひとまず二人でなんかすっべか」

「案外まともですのね、ゴールドシップ」

「ぷにぷにマックイーンも嫌いじゃないけどな」

「ぷにぷにじゃありません!!」

「ステイヤーならば絞っておいた方が有利なんだぜ。筋肉はスピード出すのに必須だが、余計にスタミナ使うからな」

「へぇ、珍しくまともなこと言うではありませんか」

「ゴルシちゃんだってたまには真面目になるんだぜ!」

 

そんなことを言いながら、マックイーンとゴールドシップはプールのうちの一つに向かうのであった。


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