黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
「という事でタキオン先輩の誕生日会をはじめます」
「「「「「わーい!」」」」」
「……スカーレット君、誕生日を祝ってもらうほど私は幼くもないのだが……」
「という事でまずはタキオン先輩に送るミニライブから行きます!」
「やばい、まったく聞いてもらえてない」
アグネスタキオンの誕生日
新野外ライブ場で行われるパーティは、ダイワスカーレットの司会で始まった。
本人は全く忘れていた誕生日だが、ゴールドシップとダイワスカーレットは完全に覚えていた。
引きこもるタキオンを引きずり出して、ライブ会場のど真ん中に座らせると、イベントが始まった。
まずは誕生日祝いのライブらしい。
センターがダイワスカーレット、左右がゴールドシップとマンハッタンカフェである。
カフェだけ露骨にめんどくさそうな顔をしている。
バックダンサーは光る101匹モルモットウマ娘が埋め尽くしていた。
ダイワスカーレットが投げキッスをする。
とてもかわいい。タキオンはご機嫌になり尻尾が揺れる。調子は絶好調だ。
ゴールドシップが投げキッスをする。
何か違うな、と思ったが祝ってくれるのは嬉しいタキオンはご機嫌になり尻尾が揺れる。調子は絶好調だ。
カフェは嫌そうな顔をして投げキッスをしてくれなかった。
タキオンは悲しくなった。調子は絶不調になった。
その瞬間、カフェに無言の圧力がかかる。
スカーレットとゴールドシップ、そして後ろの101匹モルモットウマ娘に、タキオンと一緒にライブを見ている大量の光るモルモットウマ娘軍団の圧力だ。
耐えきれなくなったカフェが涙目で恥ずかしそうに投げキッスをした。
あまりのかわいらしさにタキオンの調子は絶好調になったが興奮しすぎて体力が30下がった。
それが終われば食事会だった。
そういえば今朝はスカーレット君が来てくれなかったから何も食べてないな、と思ったタキオンの前に出されたのは巨大ケーキだった。
「今回は本気を出しました」
スぺがどや顔でいう。
前回のカロリー爆弾ショートケーキはあれでもセーブされていたらしい。
本気を出したというショートケーキは輝くように美しく、狂おしいほどの甘い香りを放っていた。
実はタキオンはすさまじい甘党である。
おいしそうなショートケーキを出されて食べざるを得ない。
すごい勢いで食べていくタキオン。明日はきっと体重が大変なことになるだろうが、明日のことは明日考えようというダメな発想のもと食べ始めた。
甘さに包まれたタキオンは、とても幸せであった。
タキオンの体が弱いとはいったいどういう事か。
最近のダイワスカーレットとゴールドシップとの間のテーマだった。
心肺機能には特に問題はない。というか肺活量はウマ娘の中でもかなり高く、むしろかなり丈夫な方だ。
胃腸の能力も弱くない。ケーキを1ホール食べてもおなかを壊したりしないあたりかなり丈夫だ。
骨が弱いという事はない。むしろ丈夫な方だろう。ただ、とにかく速いので負担が大きいのは疑いようがない。
筋肉が弱いか、というとそういうこともなさそうだ。
ここまで考えて二人は結論付けた。
タキオン、単に不摂生し過ぎだと。
平気で食事を抜くし、平気で徹夜する。好き嫌いは多いし、そりゃ体に悪いことをしていればすぐに体調を崩す。さらにロクに食べないくせに運動量が多いから明らかに痩せすぎていた。速すぎて負担が大きいんだからそういった不調がすぐに体に出るのもある。
なのでひとまず適正体重まで増やすのを優先に、とにかく食べさせていた。
ケーキを食べさせたら次はニンジンのグラッセである。
とても甘いグラッセにタキオンはとてもご機嫌である。
二人のタキオン育成計画は、まだ道の途中である。
目指せ、体格スカーレットを合言葉に、二人は努力を続けていた。
料理を食べた後も様々なイベントが行われた。
最光モルモットコンテストは、前回チャンピオンのメジロマックイーンとの一騎打ちを制したタキオンが二代目王者となり
みんなでツイスターゲームではタキオンは速攻潰れてみんなにもみくちゃにされていた。
VR人生ゲームでは宇宙へ飛び立ったゴールドシップを他所にウオッカが無難に勝利していたし
ドキドキ タキオンロシアンルーレット では当たりしかなくてもみんなで虹色のものをリバースした。
「全く、今日は研究が一切進まなかったじゃないか」
終わった後に感想を聞かれたタキオンは笑顔でそう答えた。
にぎやかな彼女の誕生日は終わった。
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