黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
マックイーンが発破をかけてチームは回り始めた。
ひとまずマックイーンはへこんでいるゴールドシップと、どうしていいかわからずにいたダイワスカーレットとウオッカを捕まえると、タキオン研究所の高圧水流プールに投げ込んで十二分に洗濯した。
そうして洗濯しきって気合を入れさせた後、スカーレットをタキオンへ派遣して生活改善をするようにお願いしながら、マックイーンは残りの二人を連れてトレーナーのところへと向かった。
チームの部室には、既に退院し、3日後の菊花賞に参加すると表明したスペシャルウィークがいたので、彼女の追切りを手伝うことになった。
「スぺ先輩、大丈夫なんですか?」
ウオッカが心配そうに聞く。
スペシャルウィークの怪我は軽くはなかった。
骨折などはしていないが、右手の肌は全部擦り剝け、また、スズカをかばって外ラチにぶつけた背中には大きな打撲傷があった。
脚など直接走るのに影響がある部分に怪我はなかったし、骨折などもなかったが、安静にするべき状態だっただろう。
しかし……
「これくらい、根性でどうにかしますよ! スズカさんに、不可能なんてないって見せるんです!」
胸を張ってそういうスペシャルウィークを止められるものはいなかった。
左脚足根骨粉砕骨折
これがスズカの傷名だった。
過酷なオーバートレーニングを行うと発症する致命的な怪我である。
スズカの場合、データ上その予兆はレース前には一切見つかっておらず、速さに足が耐えられなかったのではないか、というのが医師の予想であった。
現状、タキオンの要請にメジロ家も協力して名医を集めており、粉々になった骨の整形手術を行う予定にはなっている。
だが、それでも歩けるようになるかはわからない。走るのは不可能というのが医者の見立てだった。
そんなスズカを見て、一番諦めていないのがスぺであった。
不可能なんてないことを見せつけるため、菊花賞、ジャパンカップ、そして有馬記念の連戦と勝利をスズカに約束したのだ。
追切なのにオーバーワークになりそうなスぺをチームメンバー全員で諫めながら、どうにか完璧な仕上がりに持って行くのだった。
一度沈んで停滞したチームは、マックイーンの働きで再び動き始めていた。
マックイーンのチームでの仕事なんてこれくらいである。
自分は一番新参のメンバーだ。トレーニングプランやらレースプラン、体調管理なんかはトレーナーたちの仕事である。
あとはしなければならないことと言ったらゴールドシップのケツを蹴りあげることぐらいだろうか。
どうせ自分も彼女も公式戦には出ていないのだ。そうだ旅行に行こう。
全体的にまだうだうだしているゴールドシップの首根っこつかんで箱詰めすると、そのままマックイーンは出発するのであった。
「高知ぜよー!」
「ぜよー!」
「高知ですね」
「…… なんで高知なんだ?」
「わたくしの知り合いが高知トレセン学園の理事長でして、助力を求められたからですね」
「さすがおばあ様」
「おばあちゃん凄いね!」
「……」
ゴールドシップはマックイーンに再度箱詰めされて、気付いたら高知に来ていた。
意味が分からない。
同行者はマックイーンとハルウララ、そしてメジロのおばあ様だ。
どういう組み合わせだかも全く分からなかった。
「長期外泊をしようとおばあさまに許可を取るため連絡したら、おばあ様と一緒に高知に行くことになっただけですわ」
「意味わかんねえよ!?」
「うららー! 土佐犬の真似!」
「かわいいわねぇ、ウララちゃん」
「えっへん」
「じゃあアイスクリンでも食べましょうか」
「なにそれ? おいしいの?」
「とても甘くておいしいのよ。マックイーンも食べるでしょ」
「食べますわ!!」
そうして嬉しそうに三人は屋台へと向かう。
ゴールドシップはどうしていいかわからずにその場で立ち尽くしてしまった。
「ゴルシちゃん! はい、これゴルシちゃんの分ね!」
「ゴールドシップ、本当になんというか、ふにゃふにゃですわね。はい、これも食べて元気出しなさい」
三人はすぐに戻ってきて、ウララとマックイーンがそれぞれゴールドシップに三段重ねのアイスクリンを渡す。
二つ渡されたせいで両手がすぐにふさがってしまったため、溶けるといけないと舐め始める。
冷たくて、甘くて、優しい味だった。
ふにゃふにゃゴルシちゃん絶不調である。
話が分岐してウララ高知編とスぺ編を並行して進めていきます。
ウララ編が20時更新
スぺ編が12時更新です。
投稿順を間違ったらごめんなさい。ちゃんと設定できてるはず。
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