黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り 作:雅媛
運命のホープフルステークスの日。
ジュニアクラス最速を決めるこのレースで注目されるのは二人であった。
一人はメジロマックイーン
メジロ家の最高傑作
スピカの次期エース
といわれる彼女。
入学時は線の細い、まさに深窓の令嬢と言った外見であったが、現在かなり成長し大柄な美女になっていた彼女は、その外見でも人気があった。
もう一人はトウカイテイオーである
絶対を継ぐ者
無敗の八冠を得る者
そんな風に言われる彼女。
マックイーンと比べると身長差約20cm だがその中性的で整った外見と小柄ながらすさまじいスピードはやはり人気が高かった。
この二人の勝負を見るために多くの観客が集まっていた。
実質この世代のトップの二人の勝負である。
人気も二分し、伯仲していた。
パドックに先に現れたメジロマックイーンのオーラはすさまじいものだった。
今から人を殺します、と言わんばかりの威圧感。
若干イレ込みが心配になるほどの闘志であった。
特に、後から現れたトウカイテイオーを殺さんばかりの殺気でにらみつけている。
きっとマックイーンは、テイオーをライバルとして見ており、勝とうとしているとスピカの上層部以外誰もが思った。
ゴールドシップは知っていた。
あれは単に、スイーツが食べられなくて不機嫌になっているだけである。
なんせレース直前、景気づけとしてパフェを三杯も食べようとしていたのを止めたのだ。
別に一杯ぐらいなら食べてもいいが、三杯は明らかに食べ過ぎである。
「レースで体が重くて走れなくなるぞ」
と冷静なツッコミをするゴールドシップに
「レース前に3000mぐらい走れば大丈夫ですわ」
と華麗に答えたマックイーン。
当然パフェは全部没収となった。
それで不機嫌になっているだけである。
テイオーをライバルとして見ているのは確かであるが、睨んでいるのはおそらく彼女から甘い匂いがしているだけだろう。
「勝ったら祝勝会でスぺ特製ショートケーキをホールで食べてもいいが、負けたら没収」
と伝えてあるので、きっとやる気は十分だろうし、これ以上は放置することにしたゴールドシップであった。
パドックに現れたトウカイテイオーもまた、マックイーンを見ていた。
普段は誰を見ることもなく、眼中にないと言ったクールな、ある種傲慢な態度をとるトウカイテイオーだが、今回はマックイーンをずっと見ている。
きっと自分のライバルとして、マックイーンを見ているのだろうと誰もが感じていた。
試合前の追いはちみーをキめたテイオーは、パドックに入るとマックイーンばかりを見ていた。
なんせ初めての生マックイーンである。
モニター越しの写真はスマホに穴が開くぐらいという比喩どころか、現に開くまで見ていたが、実物は初めてであった。
パドックを華麗に決めるマックイーンさんもきれいだな、と思いながら、本人的にはチラ見、周りから見ればガン見していた。
目があっている気もしたが、マックイーンさんがボクなんか見ているわけないよね、自意識過剰だよね、と思っているので何も気にしていなかった。
レース出走前、ゲートインまで重苦しい空気が流れていた。
あいかわらずマックイーンは『お前ら全員ぶっ殺す!』みたいな雰囲気を醸し出しているし、テイオーはテイオーでマックイーンのことしか見ていない。
そんなおかしな空気の中で、何かできるウマ娘は一人もいなかった。
ゲートインも素直に行われていく。
そうして、何らトラブルもなく、ホープフルステークスはスタートした。
二部で有馬記念が行われる予定ですが、その勝者は(なお、結果が反映されるとは限りません
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