黄金船の長い旅路 或いは悲劇の先を幸せにしたい少女の頑張り   作:雅媛

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テイオーとの話し合い

移籍が決まり、目に見えて落ち込んでいるテイオーを励ましつつ話を聞くため、今日もゴールドシップはテイオーを引き連れて出かけた。

マックイーンはメジロの家に用事があるらしく、今週は一週間自主練としている。

 

マックイーンの今後のスケジュールは春まで休養予定であった。

秋天の走りはやはり無理があり過ぎた。

有馬記念に出ることも検討されたが、そこで出ても調整が十分できない。

どうせならという事で、秋冬期はすべて取りやめになった。

春になれば大阪杯から春のシニア三冠を目指すというのがマックイーンの予定だった。

 

そんな状態でマックイーンは現在メジロ家の方で何かいろいろやっているらしい。

名家のお嬢様だしいろいろあるのだろう。そう思って特に気にしてはいない。

体重だけは後でちゃんと量っておこうとは思っていた。

 

 

 

そんなことよりテイオーである。

結局リギルから捨てられたと本人は思っており、ひどく沈んでいる。

それを優しくなだめながら、ゴールドシップはひとまず個室の喫茶店に連れてきていた。

 

同行しているのはサイレンススズカだけである。

ウインタードリームトロフィーも目指しながら頑張っているが、最近は手が空いている。

今回は元リギルであり、半年ほどではあったが同じチームに同時に所属していたというのもあってゴールドシップについてきたのだった。

トレーナーはタキオンたちの最終調整真っただ中である。

リギルとの調整もあり、とてもではないがこちらに関わる余裕はなさそうだった。

 

ひとまずションボリテイオーにテイオーの好きなかつ丼を食べさせ、はちみつを飲ませる。お腹がいっぱいになれば案外気持ちが落ち着くものだ。

テイオーは食欲がなさそうにしているので、あーんして一口ずつスプーンで食べさせた。

なぜかスズカが対抗意識を燃やして口を開けてきたので、熱々おでんを突っ込んだら膨れてしまった。

 

お腹いっぱいに食べさせると、少しだけ血色も良くなり落ち着いたようだった。

 

「……ゴールドシップはボクに何をさせたいの?」

「んー、まあ何でもいいですよ?」

「なんでも? レースもう出ないって言っても?」

「良いんじゃないです?」

「えっ?」

 

ゴールドシップは皇帝に啖呵を切ったが、別にテイオーが走りたくないならそれで構わないと思っている。

テイオーの実績はクラシック二冠で2着2回の完全連対である。

ここでやめてもトップクラスである。ここにいるスズカだって勝鞍は宝塚記念と大阪杯のG1の2勝である。そもそもG1を1勝でもできれば十二分に誇れる実績であった。

 

「期待してないってこと?」

「そうじゃないですよ。まあ私としてはシンボリルドルフを完膚なきまでに叩きのめしてほしいと思っていますが、テイオーがやりたくないのにやるのも違いますしね」

「……」

「テイオーがどうしたいかですね」

「……」

「ゴールドシップ」

「なんです、スズカちゃん?」

「私も口を挟んでも?」

「いいですよ」

「ではテイオー」

 

スズカも何か言いたいことがあるのだろうか。

まあ一時期同じチームにいたわけだし、きっと何かいいことを言ってくれるに違いない。

そうゴールドシップは思っていた。

 

「テイオー」

「何? スズカ」

「良いからさっさと走りなさい!!」

「ピィ!?」

「!?」

 

そんなことを期待した自分が失敗だったとゴールドシップは悟った。

 

「スズカちゃん、なんでそれでいいとおもったのかな? かな?」

「え? あの、逃げ切りシスターズで一緒に活動しているミホノブルボンさんから、励ますときにはこれがいいって……」

「スズカちゃん、あとでお話ね?」

「はい……」

 

スズカの予想以上のポンコツっぷりに気を取り直す。

テイオーの方を見ると、しかし案外覚悟の決まった顔をしていた。

 

「でもボク…… やっぱり走りたい……」

「テイオー?」

「走りたいし、かっこよくなりたい。それでやっぱり勝ちたい…… マックイーンにも、ネイチャにも勝ちたい……」

「テイオー……」

「ボク、なれるかな。マックイーンやネイチャに勝てるウマ娘に。シンボリルドルフさんを超えるウマ娘に」

「なれますよ、きっと……」

 

本当はゴールドシップはマックイーンの肩を持つのが正解なのかもしれない。だが、テイオーを見ていて見捨てられない自分がいた。

 

きっとテイオーなら、マックイーンのいいライバルになるだろう。

 

頭をなでると、テイオーは大人しくなった。少し決意を話して落ち着いたのだろう。

そのまま少しずつ、今後について決める話し合いをしていくのであった。

 

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