【完結】ユイ君…本当にこれで良いのかね?   作:5の名のつくもの

15 / 66
原作タイトル変えようと思ったけど、上手いタイトルを思いつかなったの巻。

【感謝&告知】
この度、本小説のお気に入り登録者数が1000人を突破しました。わずか14話(本話含めず)でこれ程まで多くの方々にご拝読いただけるとは思っておりませんでした。本当にありがとうございます。
そこで、皆様よりリクエストをお受けしたいと思います。感謝のリクエスト募集ですので可能な限り、皆様のリクエストをお受けしたいと思います。特に制約はありません。何でも構いません。ただ、他の作者様のSSの内容をそのママ持ってくるのはやめてください。
詳細などは新規活動報告に掲載します。そちらをご参照ください。


新劇場版:破
アスカ来日


「どうだった?久しぶりにお父さんと過ごして」

 

「別に特にありませんでしたよ。ただ、母さんのお墓に花を手向けただけです」

 

「そう。でも、よかったじゃない。お父さんと少しでも過ごせて」

 

「まぁ。そうかもしれないですね」

 

シンジはミサトの運転する車で移動していた。移動と言うか帰路についていた。彼は休みにお墓参りに行っていた。それもNERVの総司令で実の父の碇ゲンドウと。花を手向けたのは母碇ユイの墓だった。お墓と言っても、骨などは一切埋まっていない。ただ墓標が立っているだけだ。それでも、無いのとあるのとでは大違い。

 

「お母さんのことを少しは聞けた?」

 

「いえ、聞いたところで父は答えてくれませんから」

 

「そう…ね」

 

母である碇ユイのことをシンジは全く知らない。残したモノは全て父が処分してしまっていたからだ。それに記憶も消されている。それでは覚えているわけがない。なんというか、悲劇だ。ここまでされては絶対に母のことを知ることは出来ないかもしれない?

 

そんな悲劇を許さない者が一人いるだろうに。

 

「母のことは…知りたいですね」

(そうだ冬月先生に聞いてみよう。先生は何か知ってそうだ)

 

「子供にとっては親のことは知りたくて堪らない。私もそうだったから」

 

そうして安全運転を続けて帰路についていた二人であったが、状況が一変する。車につけていた携帯電話が緊急通報を告げた。同時に電話が入る。ハンズフリー式の装置で運転しながら落ち着いて電話できる。これなら法律にも引っ掛からない。

※運転しながらの電話はハンズフリー式なら道交法で合法です。ただ、各都道府県の条例によっては禁止されているので、運転中は電話しないようにしましょう

 

「使徒!?このタイミングで!えぇ、こちらで本部にサードチルドレンを送るわ!」

 

「使徒!?こんな時に」

 

二人とも悪態を吐いてしまったが、葛城ミサトの方は顔色を一変させた。入った伝達が伝達だったからだ。

 

「不要?エヴァが出ているの?零号機はまだ準備中だろうから…まさか!シンジ君!窓を開けて空を見れる?」

 

「空ですか?空には…あれってエヴァ?赤いエヴァ?」

 

「やっぱり!!」

 

大空には大型輸送機から降ろされる一機のエヴァがいた。それは見たことが無いエヴァで色は真っ赤だ。そんなエヴァが海上から侵入してくる使徒を撃破せんとしていた。使徒は人智を超えている。なんと、海を歩いているのだ。海を凍らせているのか、足を海につける度に「ガチン」と音を立てている。海上で迎撃にあたる無人艦の攻撃には冷静にATフィールドで対処している。対処しているが、さすがに嫌気がさしたのか、時空を歪ませて無人艦を次々と轟沈させていった。

 

その間にエヴァは迫っている。無論使徒だって知らないわけがない。上空のエヴァを近づかせないために無数の槍を飛ばす。食らえばひとたまりもない一撃だ。その数えきれない槍をエヴァは軽やかな身のこなしで避けていき、持参していたボーガンで使徒の頭部を撃ち抜いた。

 

「やった!」

 

「いえ、ダミーだわ!コアは!」

 

使徒は一瞬だけ崩壊したかに見えたが、体制を整えて再び進撃を開始した。頭部はダミーでコアは違う所にあったのだ。エヴァはそれを把握してボーガンをもう一度撃つが、虚しくATフィールドに阻まれる。ボーガンは使えないので投棄し、渾身の蹴りを見舞うことにした。上空からの高速でのエヴァの蹴り。その威力はすさまじい。

 

だが、それもATフィールドに阻まれてしまう。

 

だめなのか。

 

いや、エヴァを舐めないで欲しい。

 

足の裏に備えられていたニードルが我慢比べに勝ち、ATフィールドを破りそのままコアまで直進。コアを貫かれ、コアは破裂四散した。その直後に使徒は大爆発を起こして十字架を残した。見事な空中戦であった。これには拍手喝采と行きたい。

 

「すごい…あれが」

 

「ヱヴァンゲリオン弐号機ね。ドイツからの仲間よ」

 

「エヴァ弐号機…」

 

そのまま車は港湾設備にまで急行していった。

 

~港湾設備~

 

「おや、二人も来たのかね」

 

「冬月副司令!今日は本部で待つのでは?」

 

「そうするはずだったが、仕事を早めに片づけてね。それに、新しいエヴァとパイロットなのだから出迎えをしないなんて無礼なことはしない。私とて礼儀はわきまえている」

 

港湾設備には冬月がいた。本当ならNERV本部でお留守番の予定だったが、ここにいた。どうやら二人と同じく新しき仲間を出迎えに来たようだ。一応NERVの副司令官だから出迎えをしても不思議ではない。大型トレーラーで運ばれる新型エヴァに皆が目を奪われる。

 

「冬月先生、これが例の」

 

「あぁ。最新型のエヴァだ。その名も」

 

「エヴァンゲリオン弐号機よ!最新型で、性能は既存機を圧倒するわ!もう、この弐号機の前に初号機も零号機も過去の産物ね」

 

その弐号機には少女が立っていた。プラグスーツに身を包んでいることから間違いなくセカンドチルドレンと考えられる。その初対面の第一声は癖がありすぎるのだが。

 

そんなことはどうだっていいとして、トントンと手際よくトレーラーの荷台のエヴァから降りてきた。

 

「久しぶり、ミサト」

 

「えぇ、久しぶりね。アスカ。紹介するわね。彼女はドイツ空軍のエース、式波・アスカ・ラングレー。エヴァンゲリオン弐号機のパイロットよ。まったく、さすがの操縦技術ね」

 

「でしょ?ファーストやサードとは違うのよ、あたしは。んで、どっちがファーストで、サードなの?」

 

そう聞いたのだが、話題のファーストとサードは見事にがっちりとくっついていた。シンジの気が付かぬ間に待機中だったレイは零号機から降りて、シンジの傍に立っていた。目の前でいちゃついている二人を見てアスカは眉をひそめた。

 

「えっと、そこで白いプラグスーツを着ているのがファーストチルドレンの綾波レイ。彼女にへばり付かれている少年がサードチルドレンの碇シンジ君よ」

 

「あんたがエコヒイキで、あんたが親の七光りね。二人の出番はないわ!このあたしが全部倒しちゃうから。旧型のエヴァの出番もね」

 

「ちょっとアスカ」

 

余りの物言いにミサトが苦言を呈そうとした。だが、ミサトの前に反撃をした人がいた。

 

「随分と自信があるようだが、その程度では使徒に勝てんな」

 

「なに!!」

 

見下すような発言をしている少女に冷や水を浴びせた者がいた。

 

「冬月先生。あまり触れない方が」

 

「副司令…」

 

「副司令?このお爺さんが?」

 

「いかにも、この爺がね。私は名を冬月コウゾウと言う。この日本のNERVの副司令を務めている。君の操縦技術は確かに目を見張るものがあるが、所詮だ。付け焼刃の訓練で培ったものにすぎんよ。この二人は使徒との実戦を経験してきた歴戦のパイロットだ。彼らを下に見るのは、この私が許さんよ」

 

アスカは老人の一言に反発しようとしたのだが、冬月から発せられるオーラに負けた。あの冬月が珍しく冷えた感じを出している。それに、目先は鋭く有無を言わさんとしている。傍から見ればただの華奢な老人であるが、その発する空気は冷えに冷えている。これには若きエースも動くことができなかった。

 

「まぁ、実際に戦えばわかる。君だけではどうにもできないのが使徒という存在だよ。さて、二人ともせっかくの休日を無駄にして悪かったね。私のできる範囲だがサービスをさせてもらうよ。葛城君、彼女とここは任せる。君の古き友も来ているからな」

 

「はっ!」

 

そう言って冬月はシンジとレイを連れてどこかへ行ってしまった。残されたアスカとミサト。アスカはミサトにけしかけた。

 

「何なのよ、あの老人。いくら二人を持つ副司令でも、私を認めないの」

 

「認めてはいるわよ。でも、あなたの事を考えて、敢えてね。あぁ言ったのよ」

 

「感じ悪い」

 

そう言いつつも、自分を真正面から捉えてくれた人を不思議に思った。自分のことを変に見ないで、一人の人間として捉えて、叱ってくれた。感じは悪いと思ったが、同時に嬉しくも思ったアスカだった。

 

 

~冬月サイド~

 

「いいんですか?初対面なのに、あんなこと言って」

 

「構わんよ。二人の事を下に見るのは許さないということは私の本心だ。いくら実力があろうとも、協調性に欠けては戦場に出せん。それより、どうだね?ほんの数分でも会ってみて」

 

「碇君の敵。碇君を悪く言うのは絶対に許せない」

 

「まぁまぁ、綾波。彼女もなにかあるんだよ。僕は…なんというか、彼女は頼もしいと思えました。あれだけエヴァを動かせるんですから」

 

「そうか。相変わらず優しいなシンジ君は。私から言っておくが、決して二人は負けていない。エヴァも両機体ともに現役で戦える。何を言われても心の中では反抗しなさい。君たち二人の強さは私が保障するから。さて、気分転換に近くの喫茶店でも行こう」

 

「「はい」」

 

新たな仲間が来日したが、これは…前途多難だ。

 

続く




ということで新劇場版:破に入ります。
リクエストお待ちしております。遠慮なくお申し付けください。

それでは次のお話でお会いしましょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。