【完結】ユイ君…本当にこれで良いのかね?   作:5の名のつくもの

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え~はい。ごめんなさい。昨日は二話更新すると申し上げたんですが、一話しか更新しておりませんでした。本当に申し訳ございません。私の悪い癖なのですが、新しいことを思いつくとそっちを優先してしまいます。新しいことを優先してしまって、本小説の更新を疎かにしておりました。
読者の皆様に改めてお詫び申し上げます。

※本話執筆中にランキング10位にランクインしました。皆様、ありがとうございます。

追記
UAが5万を突破しました。ありがとうございます。


奇跡の価値は誰が知っている?いや、誰も知らない

月の周りをグルグルと回ろうとする宇宙船が一隻いた。

 

「急に月への着陸許可を取り消して、一転して禁じるとはな。ゼーレも人が悪い」

 

「月は我々人間が入ってはならない神聖なる場所だからだ。やむ得ないだろう」

 

「人類が立ち入ることを許さない場所か。ここ(船)からでは視察も碌にできないというのに」

 

冬月と碇ゲンドウは二人して船の中から月を覗いていた。月ではゼーレによって色々なことが行われている。色々の詳しい内容は説明が非常に困難で、しても(私の文章力では)理解できないので、色々と表現させていただく。

 

「エヴァンゲリオンMark6か。何ともまあ、奇怪なエヴァだ」

 

「エヴァMark6の建造方法は初号機や零号機などとは違う。あのエヴァはゼーレの酔狂にすぎん」

 

「酔狂か。その酔狂を利用するお前は本当に悪い男だな」

 

「…」

 

二人は視察をしつつ食事もとっていた。食事と言ってもここは宇宙空間であるので大したものを口にすることはできない。時間も惜しいのでドロドロの液体状の栄養食を胃に流し込む。とまぁ、それが普通なのだが、冬月だけはちょっとだけ違った。それを口にして、冬月は真横にいる碇ゲンドウに全く聞こえない小さな声で呟いた。

 

「さすがはシンジ君だな。宇宙対応の豆スープとはな」

 

碇シンジお手製の宇宙食対応豆スープを持参して、それを飲んでいた。流動性がないといけないので豆は超ドロドロになっている。聞くと美味しくなさそうだが、そんなことはない。あのシェフ碇シンジお手製だ。

 

そんな美味しい体に優しいスープを飲んでいると、ふと視線を感じた。

 

「まさか…ここは宇宙で無酸素だぞ。生身の人間が」

 

「あぁ」

 

ゲンドウも気づいたらしい。月にある建造中のエヴァの手の指に一人の人間らしき姿がいた。それはこちらに視線を向けている。まるで…そう、自分たちに挨拶でもするかのようにだ。それだけなら何にも怪しくはない。しかし、なんとその人間らしき姿は生身であるのだ。ここは宇宙で無酸素である。そんなことをしていては一瞬で死だ。しかし、その姿は間違いなくこちらを見ている。ちゃんと生きた目で。

 

「ほう…なるほどな。君ということか。やれやれ、シンジ君のことを救いたい者は私以外にも多いということか」

 

「えぇ。そうですよ。冬月副司令…いえ、冬月コウゾウさん」

 

目線と目線がぶつかりあう。

 

月近郊域である意味で初対面を果たした二人。

 

その頃、NERV本部では。

 

 

~NERV本部~

 

「使徒衛星軌道より降下中!」

 

「攻撃衛星からのNN爆雷の攻撃が行われていますが、全くのスカです」

 

メインモニターでは観測衛星が使徒と使徒に攻撃する人工衛星を捉えていた。衛星軌道には通常の人工衛星だけでなく、使徒攻撃用の衛星も置かれている。ただし攻撃は衛星にできる範囲に限られるため、NN爆雷の投射程度だ。もちろん、NERVで改造されているNN兵器だから威力はお墨付きである。でも。使徒のATフィールドは絶対防御。意味はない。

 

「光すらゆがませるATフィールドね。使徒の進化も恐ろしいわ」

 

「それも禍々しさ満点です。見た目も進化させてくるとは思いませんでしたよ」

 

「やるしかないわね。月の碇司令と冬月副司令の両司令に通信繋げられる?」

 

「無理です。ATフィールドが強すぎて、一種の電波妨害がされています」

 

「となると…ここで判断するしかないわけね。色々と便宜を図ってくれた冬月副司令には感謝するわ」

 

と、メインモニターから光が消えた。モニターが壊れたわけではない。観測衛星からの映像データが途切れたのである。結構な遠距離から見ていたのだが、使徒のATフィールドの干渉によってデータ通信もできなくなった。

 

「よし、総員第一種戦闘配置!作戦室に主要な各員を集めて。エヴァ初号機、零号機、弐号機の発進準備とパイロットの招集を。やるわよ」

 

「そうね」

 

「それと、可能な限り使徒の侵攻(降下)を遅延させる。射程に入り次第、使徒へ各砲台は攻撃を開始。NN迎撃ミサイルの使用を許可します」

 

「はっ!」

 

衛星軌道に出現して降下してくる使徒という見たことも聞いたこともないタイプに困惑するしかなかったNERVだが、司令代理の葛城ミサトが引き締めた。使徒を撃破せねば未来はない。

 

さて、NERVの主要メンバーは作戦室に集められ、使徒撃破のための方策を練っていた。使徒の侵攻ルートなどはMAGIで超高速演算しているので結果は瞬で出てくる。作戦室ではホワイトボードや机にその計算された大量のデータが紙で置かれている。

 

「使徒は自らの身体を超質量爆弾として第三新東京市どころか、NERVごと吹き飛ばす気よ。質量に加えて運動エネルギー、ATフィールドまで加わると…ここら一帯には大穴が開くわ。これではセントラルドグマが丸見えね」

 

「ここに直下ということね。既存兵器で迎撃したいけど、あれ程のATフィールドを常時張られていたら手が出せない」

 

「両手あげて降参でもしますか?」

 

「冗談言わないで。こんなぐらいで諦めることはないわよ」

 

しかし、そうは言ってもだ。一体どうするのか?あの使徒は地上ではなく空から降ってくる。地上戦は無理。それに常時ATフィールドを張っているので射撃で迎撃するにも無効化されてしまう。エヴァの携行兵器でも無理だ。

 

「こうなったら…馬鹿するしかないわよ。マヤ悪いけど、MAGIでシミュレーション頼める?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「何をする気?あなたのことだから、とんでもなくリスキーなことだと思うけど」

 

「虎穴に入らずんば虎子を得ずよ。リスクを冒さずして勝利は拾えない。せっかく、エヴァが三機そろっているのよ。使わない手はない。作戦なんだけど」

 

この後葛城ミサトの口から「おいおい冗談だろ」と言いたくなるような作戦が伝えられた。実際に各員が反発したし、MAGIのシミュレーションでも成功率は限りなく低い。成功率10%みたいな生易しい数字ではない。一の位は0である。

 

だが、ミサトは言い切った。

 

「じゃあ、他に案があるわけ?私はこうするしかないと思うけど」

 

と。

 

確かにその通りだった。各員は一様に黙り込んで、誰も答えることができなかった。使徒と言う超常的な敵を撃破するには馬鹿をするしかない。常識に囚われていてはダメだ。結局、葛城ミサトの作戦案が通されて作戦準備がスタートした。その準備をする余裕は全くないが、すべての職員が粉骨砕身で働いた。時間が足りない。でも、やる。

 

それが幸いしたのかは不明だが、使徒の侵攻が遅延し始めた。第三新東京市にハリネズミの針のように巡り張らされた砲台からの攻撃が功を奏したのだ。冬月は地上からではなく、宇宙から使徒が来ることを予測してNN迎撃ミサイルの大量配備を指示して、実行させていた。世界最強の威力を誇るNN兵器であるからいくら使徒の絶対防御でも、油断はできない。使徒だって学習しているのだから、慎重に降りらざるを得なかったのだ。

 

さて、そうこうしている内にエヴァのパイロットは全員集められて、作戦をミサトから聞かされていた。

 

「はぁ~!?使徒をエヴァで受け止めるぅ!?」

 

「そうよ。落下してくる使徒をエヴァのATフィールドを以てして受け止める。そして、その間にコアを破壊する。これが作戦よ」

 

「そんなの作戦と言わないわよ!」

 

「成功率は?」

 

「はっきり言って、ほぼ0ね」

 

ミサトから語られた作戦はパイロットにとっても受け入れがたいハチャメチャなものだった。しかし、正式に発動された以上受けざるを得ない。だから、ミサトはゴリ押しすることができる。しかし、ゴリ押しをしなかった。パイロットたちが、彼らが受け入れてくれることを選んだ。

 

「でも、やらなかったら人類が滅んでしまいますよね」

 

「そうね。MAGIの計算だと、使徒の直撃でここらは全部消えてなくなるわ」

 

「やります。僕がやります」

 

「ちょっと!しゃしゃり出るんじゃないわよ!あたし一人で十分よ!」

 

「そうはいかないのよ。アスカ。相手は使徒。だから計算通りに来てくれるとは限らない。予測落下地点が急変する可能性だってある。そうなるとエヴァが一機では絶対に足りない。三機でなければできない」

 

「3人で戦う…と」

 

「そう言うこと。レイはわかってくれたようね。二人はどうする?」

 

「やります。ミサトさんの作戦には何度も付き合ってきましたから。もう慣れました」

 

「シンジ君…ごめんなさいね。そんで、アスカは?」

 

「あぁ、もう!わかったわ!行くわよ!」

 

「よし、決まりね。こんな無茶な作戦で3人を…死へと向かわせるのは謝っても謝り切れないわ。でも、頼むわ。3人とも!」

 

「はい!」

 

「もちろん!」

 

「はい」

 

かくして奇想天外な使徒迎撃作戦がスタートした。

 

続く




次話は使徒戦です。

それでは次のお話でお会いしましょう。

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