【完結】ユイ君…本当にこれで良いのかね?   作:5の名のつくもの

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ゲンドウの仕組んだエヴァ第壱拾参号機の仕込みを読めた人はいますかね?


セントラルドグマ突入

ロボットアームによってエヴァに二本のプラグが挿入される。エヴァ第壱拾参号機は非常に珍しいエヴァで、パイロットを二名乗せるダブルエントリーシステムを採用している。エヴァ単体で戦闘などをするなら一人で事足りるが、今回はセントラルドグマ突入のためにリリスの結界を突破する。そのためには魂が二つ必要なのだ。ちなみに、模造品のアダムスの器ではだめだ。

 

プラグ内でS-DATを手に取り、覚悟を決めるシンジ。シンクロが始まり周囲の風景が見えるようになる。ふと、横を見ればカヲルがこちらを見つめている。シンジは軽く頷いて返して、正面を見て深呼吸をした。乗り慣れたエヴァ初号機でないから、ちょっと緊張する。

 

「よし…」

 

「大丈夫かい?シンジ君」

 

「うん、ありがとう。大丈夫、僕たちは希望の槍を手に入れる。いけるよ」

 

「それじゃあ」

 

二人は息を合わせて、見事に呼吸を合わせた。

 

「「エヴァンゲリオン第壱拾参号機起動!」」

 

その光景を見ていた老人。

 

「最後の執行者か。碇の奴は恐らく、無理やりにでもフォースインパクトを引き起こす気だ。セントラルドグマに入られては、私ができることはない。頑張りなさい」

 

手つかずとなっているセントラルドグマまでの大穴にエヴァ第壱拾参号機とエヴァMK-9が降下していく。エレベーターのような豪華な設備はないので、原始的にもワイヤーで降りていく。

 

「暗いな…」

 

「ここは誰も入ろうとしなかったからね。それに、元々はリリスを封印するための場所。明かりなんて必要ない」

 

暗すぎるのでエヴァ二機はライトを点けて、周囲を照らす。すると壁には赤い巨人が埋め尽くしていた。外の世界で見たようなインフィニティだ。活動はしていないようで、わかりやすく言うなら死んでいる。

 

「これって…インフィニティ」

 

「正確にはインフィニティの成り損ないだよ。どちらにしても、君には関係ないことだ。あれは無視でいい」

 

ドンドン降りていくエヴァ。深度はあっという間に最深部にあたるところまで来た。下を見れば、青い綺麗な蓋がされている。ここがセントラルドグマの中心地である。セントラルドグマの入り口を覆っているリリスの結界。これを突破するために持ってきたのが、エヴァ第壱拾参号機だ。

 

「さて、これが問題のリリスの結界だよ。この結界はサードインパクトから14年間、誰一人として、セントラルドグマへの侵入を許していないんだ。これをどうにかしないと、僕たちの槍は手に入らない」

 

「これを、二人でやるんだね」

 

「そう。僕たち二人でね。あのピアノの連弾を思い出して…あの時と同じだよ」

 

「…(空気を吸い込む)」

 

操作系統が一段階変更されて、結界を突破するために、二人は意識を集中する。しゃべることをやめて、目をつむる。

 

エヴァの足のつま先が結界に触れようとした。

 

その

 

瞬間だった。

 

甲高い音が響くのと同時に、結界が崩れ去った。意識してかは分からないが、ご丁寧に結界はブロック状に崩れていく。中々美しい情景だ。

 

「やった!」

 

「うん」

 

二人は見合って、喜びを分かち合う。セントラルドグマに本当の突入を果たした。そこは昔、シンジが見た時とは全く違った。地面だったところには頭蓋骨が敷かれている。随分と趣味が悪いカーペットだ。どれだけの人が犠牲になったのだ。

 

「ひどい…これがセントラルドグマ。そして…なんでエヴァが?」

 

シンジが見つけたのはリリスだったものと、二本の槍である。しかし、その二本の槍に貫かれている一機のエヴァが見られた。そのエヴァをシンジは知らない。知らないから要注意ではあるが、これは既に活動を停止しているので過度な警戒はいらない。

 

「あれはエヴァンゲリオンMK-6。自律行動が可能になるように改造され、リリスに利用されたエヴァさ。あれも君が気にすることはない。ただ、リリスに利用されるだけ利用された、哀れなエヴァだから」

 

「そうなんだ…行こうか」

 

地上に降り立った二機のエヴァは一歩ずつリリスだったものへと向かっていく。床が頭蓋骨で埋め尽くされているので、非常に足場が悪い。転んだりしたくないので

ゆっくりと、一歩ずつ、踏みしめて歩く。

 

リリスだったものに近づくにつれて、槍がよく見えるようになった。モニターに拡大して視認すると。カヲルが違和感を覚えた。

 

「ちょっと待って…なにか変だな」

 

「どうかしたの?カヲル君?何か気になるの?」

 

カヲルが訝しみ始めたので、シンジは動きを止めた。エヴァ第壱拾参号機はダブルエントリーシステムを採用こそしているが、操縦はパイロット一人で行えるようになっている。

 

「ロンギヌスとカシウスの槍の二本が対になっている…おかしい。本来なら、二本の槍は対にはならない。なのに、あの槍は対になっている」

 

「やっぱり、あの二本の槍がおかしいの?」

 

察しの良いシンジはカヲルが引っかかっていることを理解した。出撃前にカヲル言っていた。二本の槍が二人にとっての希望の槍となる。しかし、それはあくまで、机上の話だ。本当は希望でも何でもない、全く違う可能性があることが否めないということを。どうやら、その可能性が、ここで現実として出てきたようだ。

 

「う~ん…とりa、うわっ!!」

 

どうしようかということを聞こうとした瞬間に爆発がエヴァを襲った。何かしらの攻撃を受けたのだが、体勢を崩しただけでエヴァにダメージはない。第壱拾参号機は装甲が恐ろしく硬い。生半可な攻撃ではビクともしない。

 

「なっ何?」

 

「シンジッ!痛い目に合わせたくないから、お願いだから!おとなしくしてっ!」

 

「ア、アスカっ!?」

 

第壱拾参号機の眼前のところに赤いエヴァが降り立った。共に戦ったことのある、エヴァ弐号機だ。

 

「あんた…ね。お願い。話を聞いて」

 

「ダメ…これは作戦」

 

シンジが返答する前に、一機のエヴァが躍り出た。

 

「アダムスの器が!邪魔よ!コネメガネ、援護!」

 

「悪いけど…姫とワンコ君のやり直しは邪魔させないにゃっ!」

 

空からの狙撃が直撃してMK-9は地面に打ちつけられる。ダメージこそないが、物理的に行動ができなくなる。二人の前に出てきたMK-9は消えたので、二機は位置を変えて向き合う。二号機は右手に上下に刃がある独特の武器を持っている。あれは怖い。

第壱拾参号機に目立つ武器はない。

 

「どうしたのアスカ?僕たちは希望の槍を手に入れようと思っていたけど…ちょっと、あの二本の槍は違うらしいから考えていたんだけど」

 

「そこで何とか思いとどまったのね…どうりで動きが鈍いわけ。シンジ、お願いがあるの。その、あの時はごめん。湧き上がる感情を抑えきれなくて…殴っちゃった。あたしからいうことではないけど、許してほしいの。そして、言うことを聞いて」

 

「いや、君が怒るのも当たり前だよ。ニアサーとサードは僕の責任だ。僕が道を作ってしまった…冬月先生が教えてくれた。だから、僕が悪いんだ」

 

シンジはあの時のことを思い出しつつ、自分の責任だと言い放った。シンジに「拒絶されてもおかしくない」と思っていたアスカは面食らった。いくら、温厚で、呆れる程のお人よしの、優しいの権化であるシンジが、あっさりと自分を許すなんて。

 

奥の方では障害物に隠れるMK-9、狙撃する謎の存在の戦いが続ている。それを背景に対話する二人(一人は思案中)だ。ちょっとカオスだ。

 

「そんなに…簡単にアタシを許すの?何で?あたしは…あたしは、シンジを殴ってしまったのに…どうして?」

 

「もう、いいんだ。後ろばかり見ていては先に進めないよ。後ろを見て歩いていたら、前を向いていたら避けられる電柱にぶつかっちゃうからね。いいんだ。本当に。全部知ったから」

 

独特の言い回しで「過去のことは水に流そう」とシンジは伝えた。シンジはあの時は酷くショックを受けはしたものの、真実を知って、アスカが怒ったり、周りの大人たちが自分を蔑む理由が分かった。自分がしてしまったことを考えれば、当然の反応だろう。現実はちょっと異なるのだが、そんなことは彼ら(ヴィレ)にとってすれば、知ったこっちゃないことも理解していた。

 

アスカもシンジがしてしまったことに怒って当然。仮に、殴ってしまうような気持ちが無かったとしても、彼女の周りの環境も考えれば、怒らざるを得なかった。あんな環境でシンジの味方をしたり、彼の肩を持ったりすれば、冷ややかどころか、反乱軍として見られてしまう。それも含めて、シンジはアスカを理解していた。

 

物事は客観で見ろと言われるが、「人間関係は客観だけでなく、相手の主観も考える」という教えが冬月の教えがここで生きていた。

 

「それより、あの槍は僕たちの槍じゃないんだね?カヲル君」

 

「あぁ…ずっと考えていたけど、あれは僕たちの槍じゃない。確かにロンギヌスとカシウスの槍なんだけど、どうやら、あれはリリンの王がすり替えた槍のようだよ」

 

「やっぱり、シンジの隣にSEELEの本命がいるのね。悪いことは言わないわ。こっちに来なさい。NERVなんておいてね」

 

右手の武器を地面に突き刺して、アスカは戦闘の意思はないことをハッキリさせる。まさか、こんなにとんとん拍子で平和な感じに行くとは思わなかった。

 

シンジは相変わらず一人で第壱拾参号機を動かして、弐号機の方へ向かおうとした。

 

しかし

 

リリンの王たる者は

 

それを

 

許さなかった

 

フォースインパクト

 

を起こすのだ

 

突如として第壱拾参号機はガクンと項垂れて、行動を止めてしまった。限界活動時間が来た?そんなわけがない。戦闘も何もしていないのだ。エネルギー切れなんて、あり得るわけがない。

 

その様子はアスカから見ても異常だった。

 

「シンジ…?」

 

プラグ内のシンジは、この感じに覚えがあった。大昔に、パイロットである自分を差し置かれた時のことを。あの時、参号機と戦うことを渋っていた時に、使われようとしたシステムの存在を感じ取った。

 

「まさか…これは!」

 

「そういうことか…リリン。さすが、碇シンジ君の父親にして、リリンの王。碇ゲンドウ司令!」

 

「シンジ!何があったの!!」

 

「離れるんだ!アスカ!」

 

シンジは最後の抵抗と言わんばかりに、弐号機を突き飛ばした。飛ばされたアスカは驚いたが、シンジの声は本当に切羽詰まっていた。これを鑑みるに、向こうでは余程の緊急事態が生じたと見るのが正解だ。

 

プラグ内の二人が慌てていると、足元の装置がロックされた。同時に二人は引き離された。これは、シンクロが断絶されたことを意味する。断絶されたということは、二人は操縦することができなくなることを意味する。

 

いったい、二人を襲ったものとは。

 

「操作系統が!まさか、こんなもので僕がはめられるとは。ダミーシステム…ゲンドウ司令の切り札はこれか!」

 

続く




GWは頑張って投稿します。

次回予告

ついにセントラルドグマへと突入を果たしたシンジたち。

目標物である二本の槍を見つけたが、あの槍はどこか違う。そんな時、ヴィレのエヴァ、弐号機が現れた。

自分を許して欲しいと頼むアスカを、シンジは簡単に許した。その時、カヲルはロンギヌスとカシウスの槍の二本の槍が二人の希望の槍ではないことに気づく。

アスカの招きに応じようとしたとき。ダミーシステムが起動して、二人から第壱拾参号機を引き離す。ダミーシステムによって、二人の意思に関係なく動くエヴァ。ついに、第壱拾参号機は二本の槍のもとに着いてしまう。

そして、非情にも槍は抜かれてしまう。

次回 新世紀エヴァンゲリオン 「フォースインパクト」

「やはり…ダミーシステムか。一応、抜け道は用意してある」
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