【完結】ユイ君…本当にこれで良いのかね?   作:5の名のつくもの

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今回は本日投稿する予定だった話です。前話は昨日投稿する予定だったものです。本日二話目ですが、少し前の場合と同じで、特に何かがあったわけではないです。単に投稿の修正をしているだけですので、ご安心ください。


邪魔だぁぁぁぁ!!

少し時は遡り、エヴァ弐号機と八号機は滑空状態で第壱拾参号機の眠る地点まで向かっていた。ヴンダーは迫ってきているNHGの対応をしなければならないので、こちらを援護するのは不可能だ。

 

だから、2人だけでやるしかない。

 

「来たわね…雑魚同然のエヴァが」

 

「単体あたりの戦闘力は、使徒モドキ(MK-4)よりも低い。だけど、それを無に帰すぐらいの強みが数。ここまでだと、もう壮観ね」

 

エヴァMK-7はMK-4と比べると戦闘力が劣る。装甲も削られているので防御力もない。ただ、その代わりに得たのが「数」だった。MK-4でもかなりの数を用意できるのに、MK-7はMK-4の何倍と言う表現が不適応なぐらいの、圧倒的な数を誇る。既に数万機がヴンダーとの戦闘で失われていたが、なんと、まだまだ残っている。

 

「来るわよ!」

 

「任せて!」

 

射撃の腕に優れるマリの八号機は全身火薬庫となっている。エヴァで使用できる限界を突破して武器を搭載している。だから全身火薬庫なのだ。ただ、射撃兵装だけでなく、アスカの弐号機に持たせるための格闘兵装も持っている。だから正確には火薬庫より、武器庫と言った方が適切だ。

 

「一発あれば充分!」

 

両腕に展開しているガトリング砲を撃ち放ちながら降下していく。ガトリング砲の超連射によって、MK-7は次々と爆散していく。先も述べたが、エヴァMK-7は数を揃えるために装甲など防御を犠牲にしている。エヴァなのに、下手な既存兵器よりも装甲が無い。ガトリング砲の一撃でも致命傷となる。

 

大きなナギナタを持って突っ込む弐号機を援護するのだが、やっぱり数が多すぎる。ガトリング砲を二本の腕で使用してでも、叩き切れない。それでも、確実に数は減らせているので、弐号機のアスカにとっては格段に戦いやすい。

 

「雑魚がしゃしゃり出るなんて!」

 

上下という両刃を持つナギナタの特性を生かして、MK-7をぶった切る。よく切れる包丁で野菜を切るように、スパスパと気持ちよく切れていく。所詮、数だけの量産型エヴァだ。本気のエヴァである弐号機の前では、敵ではない。

 

まさに、風の前の塵に同じだ。

 

「弐号機の前に立つだけでもありがたいと思いなさい!」

 

正確には立つではなく、飛ぶであるが、どうだっていいだろう。弐号機はナギナタを回転させて、突っ込んでくるMK-7を切断する。MK-7は無人機であるから、ただ突っ込んでくるだけ。アスカとマリにとっては簡単に捌くことができる。また、MK-7はMK-4と決定的に違う点として、武器を持っていないということがある。MK-4は一部は武器を使用することができる。しかし、MK-7は全機が武器を持っていない。そのため、基本的に徒手空拳で戦うことになる。更に無人機で、芸がない。その結果として、引っ掻くのような極めてシンプルな攻撃しかできない。その程度で有人で高性能な弐号機と八号機には及ばない。

 

「邪魔!」

 

とは言っても、何を言っても、言わなくても、数が数。弱き者が強き者に対抗するために編み出しのが、数で押す戦法だった。それはエヴァになっても同じことだ。どれだけ、性能が悪くて、芸が無くて、面白みのないエヴァだとしても、数があれば何だって脅威となる。

 

「ぐっ!」

 

「姫!」

 

なぎ倒しつつ進むのだが、撃破しきれなかったMK-7に取り付かれて攻撃される。いくら雑魚でも、攻撃は貰いたくない。この時のためのエヴァ八号機で、マリに助けてもらう。ただ、この攻撃でナギナタを失った。

 

ご心配なく。この日のために八号機は調整をしてきた。背部に持っている武器庫を馬鹿にしないでいただきたい。大きな複合格闘兵装を取り出す。片方には鈍器になる硬い物があり、逆には木材を切断するような大きな丸鋸がついている。これは痛そうだ。

 

「サンキュ!」

 

ガトリング砲の弾薬を再装填しつつ、武器を放り投げた八号機。やはり有人機だと芸がある。新しい格闘兵装を得た弐号機は進撃を続ける。永遠わんこそばのように出てくるMK-7にひるむことなく、後ろを振り返ることもなく突き進む。母艦であるヴンダーが心配に思えるかもしれないが、そんなことを考えている暇があれば進めだ。きっと、あの葛城ミサトの率いるヴンダーなら大丈夫だ。

 

きっと。

 

「あいつら…学習したのね」

 

「いくら量産機でも、馬鹿ではないってことだね」

 

ただ弐号機と八号機に近づいて肉弾戦をするだけのエヴァMK-7だったが、ここにきて行動を変えて来た。量産型で数を揃える事しか考えていないと思われていたが、どうやら違ったようだ。案外、ずる賢いようだ。ただただ接近するのはやめて、距離を取った。距離を取るが、各個撃破されないように群衆となっている。これでは八号機の射撃でも全部を撃破できない。間違いなく無駄弾を使って、弾薬が足りなくなる。

 

「やばっ!ちゃんと来るじゃん!」

 

「マリ!」

 

そう思っていたら、隙を突かれた。目の前にいたのが全部だと思っていたが、別働隊がいたようだ。それは少数だったが、油断していたので取り付かれた。今の八号機に近接戦闘は難しい。あくまで中距離での射撃を想定していたからだ。振り払おうとするも、相手は腐ってもエヴァだった。弐号機がHELPに入って、引っぺがす。

 

その間に、さらにの別働隊が迫る。どうやら、これまでのMK-7の攻撃は相手を知り、学習するための犠牲だったらしい。なるほど、いくらでも捨て駒にできるMK-7らしいやり方だ。MK-7は多大な犠牲を払うことで、大きく学習した。津波のように一度にドワッと襲い掛かるのではなく、さざ波のように弱めを高頻度で襲い掛かる攻撃にシフトした。

 

引っぺがした後にさざ波が来る。それに対応している間に、真正面のMK-7は固まり始める。このさざ波は時間稼ぎのようだ。

 

「キリがないから!面倒ね!」

 

「まったくだにゃ!」

 

2人は素晴らしいコンビネーションでさざ波に抗うのだが、頻度が高すぎる。二対数万の構図だ。さすがにこれは分が悪すぎる。近距離での射撃と多目的格闘兵装のブン回しで何とか対応しているが、射撃では弾薬を格闘では格闘兵装が疲弊する。

 

ついには、あれだけの、たっぷりの弾薬は底を尽き、格闘兵装はひしゃげてしまった。全ての場面に対応できるように入念に準備した来たが、残念ながら足りなかった。

 

「こちらを疲れさせて、一気に沈めるのが奴らの作戦だったのね」

 

「見事に術中に嵌ったけど、どうする?」

 

「武器がない?冗談じゃないわよ。私たちのエヴァが武器よ」

 

「そうねん」

 

いくら武器を失おうと、2人の戦意は消えず。2人は戦うのだ。己の体(エヴァ)を武器として。

 

MK-7の超群衆はさざ波攻撃をやめて、一つに固まろうとしている。ゾワ~っと虫が固まるようだ。固まって、固まって行くことで、一つの大きな槍になる。槍にして非常に太いし大きい。あれを貰えば、正規のエヴァンゲリオンでも、耐えられない。弐号機と八号機は武器を失っていて、ちゃんと疲弊している。このタイミングで一発攻撃に出てきたのは、「見事」の二文字に尽きる。

 

その槍は完全体となり、まるで砂漠からの砂嵐のように迫ってくる。MK-7の物量戦法の真骨頂だ。圧倒的な物量で疲弊させ、圧倒的な物量で押しつぶす。極めてシンプルで、誰もがぐうの音も出ない。

 

「タイミング合わせなさいよ」

 

「合点承知の助よ」

 

2機のエヴァも合体して一つになる。そして、槍に向かって正々堂々と立ち向かう。お互い手を合わせて前方に突き出して、ATフィールドを展開する。ATフィールドは絶対防御として名が知れているので、防御だけと思われがちだが、違う。あくまでも、物理的に限定されるが、攻撃に転用できないことは無い。最強の盾は、時に最強の矛となるのである。

 

これこそ矛盾。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

アスカとマリ、2人の覚悟が乗った弐号機と八号機。2人は一切、臆することなくMK-7の槍に突っ込んだ。2機分のATフィールド、ダブルATフィールドと運動エネルギーの融合で槍を砕く。先端部分から全く止まることなく、ATフィールドで槍を先から先まで砕かんとする。その景色はまるで、巨大な積乱雲に突撃するジェット機のようだ。そのジェット機はMK-7という暴風に抗い続ける。止まろうとも、減速しようともしない。最高速度を維持する。首尾一貫とはこのことか。

 

そして、ジェット機はスポンと積乱雲を抜けた。2機のエヴァが完全にMK-7の槍を砕き切り、これを撃破して、抜けたのである。その背後には撃破されたMK-7が仲良く連鎖しての大爆発を起こしている。これには、全世界の芸術家が笑顔になる光景だ。

 

視点を戻して、2人が抜けた先にあるもの。それはエヴァ第壱拾参号機。

 

ヤマト作戦の目標物だ。

 

「見えた!ここで終わらせるわよ」

 

ついにたどり着いた。あのエヴァに強制停止プログラムを組み込んだ装置を突き刺せば勝ち。我々の勝利である。

 

ただ、勝利はまだ遠いようだ。

 

「敵反応!どこに!?」

 

「小型のエヴァ!?」

 

第壱拾参号機を守るものはまだある。MK-7が全滅しても、まだまだ残っている。もちろん、MK-7が主力だから、今出てきたのはMK-7程ではない。なんせ小さい。パワーも非力そうだ。しかし、これにも強みがある。それはMK-7より簡単に作れるということ。それらは、気味が悪い形をしている。なぜなら、エヴァの腕だけで構成されている。その腕を器用に使い、飛び跳ねて移動している。

 

「ここまで来ても、まだあるの…」

 

「行って、姫。ここは私が抑える。だから、姫は第壱拾参号機を」

 

「ごめん…マリ!」

 

アスカの操る弐号機は小型のエヴァを避けながら、第壱拾参号機が眠るところまで走る。それを狙う腕エヴァを八号機が撃破する。やはり量産機のパーツで作ったであろう、ただの間に合わせ品だ。造作もない。一応、八号機には最後の武器が残っていた。これは、ムチのような武器である。ムチと言う武器の特性上、先の戦いでは使い辛かった。ここでは、両足を地について戦えるので、好きに使える。多少のリーチもあるので、割と堅実に戦えるだろう。

 

「かっこつけたんだから、ちゃんと仕事しないとね。最後は決めてね、姫」

 

続く




次回予告

ついにたどり着いた、エヴァ第壱拾参号機の眠る地

邪魔をする腕エヴァと戦うマリの八号機

しかし、やはり疲弊が隠せず、苦戦を強いられる

対して、弐号機は強制停止装置を手に持って、第壱拾参号機の上に立つ

強制停止装置を突き刺さんとした時

彼女は恐れていた

次回 新世紀エヴァンゲリオン 「あたし…恐れているの?」

「姫!まさか…使徒を!?」
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