【完結】ユイ君…本当にこれで良いのかね?   作:5の名のつくもの

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ということで、本日二話目です。前話で申し上げた通り、前話で切るのはキリが悪いので、続きを投稿します。結合してもよかったですが、それだと文字数が多すぎるので、このようにしました。

※既に本作を最初からご拝読いただけている方は承知だと思いますが、念のため、申し上げます。本作品は原作とは大きくかけ離れた内容となっております。シン・エヴァの内容を重視して、原作内容そのままをご希望の方は、強くプラウザバックを推奨します。推奨いたしますため、感想等で異議申し立てを受け付けることは致しません。書いていただいても構いませんが、原則、私は一切反応しません。また、罵詈雑言など社会通念から見て、あまりにも酷い感想には、それ相応の処置を取らせていただきます。予めご了承ください。




アイする者

弐号機と八号機が第壱拾参号機の眠る地に不時着した時

 

少年は起きた。

 

目は覚めていたが、体は寝ていた。この作戦で自分が出る幕は無いと思っていたからだ。しかし、全くもって、本当に運命は複雑怪奇なり。どこか、不穏な空気をシンジも感じ取った。S-DATをしまい、服を整える。こんな状況でも冷静に動けるのは、覚悟を決めていたからだ。

今まで、艦内は揺れに揺れ、絶賛戦闘中ということを嫌でもわからせられた。今のところ、先までの激しい揺れは無い。一種の小康状態になったのだろうか?外の様子は一切知ることができないので、こう判断するしかない。

 

すると

 

コンコン♪

 

「遅くなったかな」

 

「そんなことはないよ。カヲル君」

 

シンジの部屋の前にはカヲルとアヤナミが立っていた。なぜだ?2人はシンジと同じく、厳重な警備と監視の下にあるはずだ。いくら戦闘中でも、なぜ外に出られているのだ?誰かが出した?そんな事があるわけない。ヴィレ職員の共通認識として、彼らは忌むべき存在である。忌むべき存在を態々外に出すなんてしない。

 

しかし、彼らは外にいる。はて?

 

答えは簡単だ。リリンの鎖と檻、目で彼らを捉えて動かせないとするのは絶対不可能である。アヤナミはともかく、カヲルの方は使徒なのだ。第一の使徒(第十三の使徒)であるから、その力は今までの使徒と多少の差異はあっても、ほぼ同等だ。あんな檻は動物園の檻よりもザルだ。上下左右を囲む強化板は紙切れに過ぎない。

 

彼は使徒の力でいとも簡単に部屋を引き裂いて、外に出た。その状況はカメラには映っていなかった。使徒はATフィールドを使える。かつて、第八の使徒がATフィールドで光をゆがませたのと同じ要領で、カメラを騙したのだ。そうして、誰にも悟られることなく部屋を出たカヲルは、道中でアヤナミ・レイを拾って、シンジの所に来た。まさかだが、アヤナミを置いて行くなんてことはしない。そんなことをすれば、シンジが悲しむ。カヲルはシンジが悲しむことは絶対にしない。

 

カヲルは手を強化板に張り付ける。シンジが少し後ろの下がったのを確認して、力を入れる。すると、強化板は音もなく崩れ散る。

 

「これでよしと。行こう…シンジ君」

 

「碇君」

 

「うん、行こう。母さんと綾波が待ってる」

 

シンジを加えた3人は、予め示し合わせていたかのように、とある場所に向かって行く。事前に打ち合わせはしていない。それなのに、3人は迷いなく進む。

 

普段いるはずの警備の兵がいない。また、非常灯が点灯していることを鑑みるに。現在は相当の状況にあることが窺える。その状況が彼らを一層、行動へと導いたのであった。

 

「シンジ君は既に感じ取っていると思うけど、何か嫌なことが起きている。僕の勝手な予想だけど、彼女(アスカ)が人を捨てようとしていると思う。少なくとも、事は悪い方向に走っているのは確実だ」

 

「やっぱり…アスカは無茶をしているんだ。僕が行かないと」

 

カヲルの報告でシンジは確信を持った。彼はアスカとの今生の別れで、嫌な予感、第六感が働いた。それが杞憂で終わればよかったが、終わらないのが運命というもの。それに相手はリリンの王たる碇ゲンドウ。どんな手を使ってくるかわからない。多分だが、アスカは罠に嵌ろうとしているのかもしれない。

 

艦内を迷うことなく、脳内にヴンダー内部の詳細な地図があり、それを見て進んでいるかのようだ。彼らは艦内の詳細はおろか、ざっくりとした構造も知らない。では、当てずっぽうで動いているかと聞かれると、答えは「違う」だ。

 

じゃあ、どうやって?

 

彼らは呼ばれているのだ。呼ばれる方に向かって、動いている。

 

呼んでいるのは声ではない。

 

心が呼んで、それに心が応えている。

 

奇跡的な快進撃を続けていたのだが、壁にぶち当たった。物理的な障壁としての壁や障害物の類ではない。それらより、もっともっと小さくて、弱そうに見える。しかし、実情では、如何なる障害物より面倒な者だった。

 

「シンジ君!」

 

「…」

 

パン!と乾いた音が鳴り響き、続いて甲高い音が場を支配した。

 

シンジの前にはATフィールドが張られていた。そのATフィールドはカヲルが展開したものであった。先の乾いた音は銃声で、その銃弾をカヲルが防いだのである。一応、狙いは大外れだったが、跳弾を考えての処置だろう

 

誰がシンジを撃ったのか?

 

「碇さん!この先へは…行かせませんよ」

 

「カヲル君、ここは」

 

シンジの前に立ち、彼の壁となろうとカヲルが動いたが、シンジがカヲルを制した。そして、自分が2歩ほど前に出る。一応、カヲルは万が一に備えて、ATフィールドを即座に張れるように神経をとがらせている。

 

「来ないでください!碇さん!私は…私は撃ちたくありません!碇さんはエヴァに乗ってはいけないんです。もう、乗っちゃいけないんです!」

 

「鈴原さん。お気持ちはありがたいです。でも、僕は、僕がやるべきことするんです。それが、どれだけ苦しいことでもです。僕はやります。だから、道を開けてください。お願いします」

 

「嫌です!碇さんは…私のヒーローなんです。これまで使徒を倒してきて、兄や私達家族を助けて、守ってくれていたんです。そんな碇さんは、自分の願いのために戦ったのに、ニアサーを引き起こしてしまいました。さらにサードやフォースにも関わってしまった。全部、碇さんは悪くないです…それはわかっています。碇さんは!碇さんは、エヴァに乗る度に不幸になるんです。エヴァが悪いんです、あのエヴァが。だから、世界がどうなっても、碇さんだけは不幸にならないで欲しいです。碇さんの事を思っているんです!」

 

「それは、君の勝手な希望だよ。エゴだ。もし、本当に彼を思っているなら、君は道を開けるべきだ。君の勝手な希望、願望を押し付けるのはお門違い甚だしいことだよ?」

 

「部外者が黙っといてください。私は碇さんだけにしか慣れ合いません」

 

これほどの、「アウトオブ眼中」があるだろうか?

 

いや、無い。

 

「鈴原さん。あなたの気持ちは非常に嬉しいですが、僕は何度でも言います。僕のするべきことがあるんです。『曲げないと決めたことは、絶対に曲げてはならない。誰に何と言われても、揺らがずに貫け。笑われても、殴られても、泣かれても。』僕の恩師の教えです。ごめんない、鈴原さん。だから、僕は行きますね」

 

シンジは臆せずに歩き始めた。

 

「だm」

 

「撃ってもらって、構いません。血だらけになっても、僕は行きます。さぁ、どうぞ。撃ってください」

 

鈴原サクラは拳銃の銃口を狂いなくシンジに向けた。その銃口は今度こそ、シンジの体を狙っている。外すことは無い。

 

「さぁ…鈴原さん」

 

無理だ。

 

撃てるはずがない。

 

「う、う、う。うわぁぁぁぁ!!!」

 

サクラは号泣し始めた。そして、廊下に崩れ落ちた。拳銃は完全に手から離れる。持ち直しても、あの状態ではとてもだが引き金を引くことはできない。まぁ、引く前にカヲルが止めると思うが。

 

「それに、トウジに言われたんです。『ワシの妹が幸せに生きられるようにしてくれ』って。鈴原さんが僕のことを撃てば、僕のことを止めれば、僕が幸せになっても、鈴原さんが不幸になってしまいます。そんなことがあったら、僕はトウジに殴られてしまうので」

 

「…」

 

完全に沈黙した鈴原サクラを置いて行くのは非情だが、彼らは行かねばならぬので、行くしかない。3人は思わぬ障害に行く手を阻まれたが、無事に抜けた。

 

そうして、彼らがたどり着いた所。

 

それは

 

ヴンダーの主機がある場所だった。

 

 

~機関部~

 

忙しく動いている主機を前にして、アヤナミが一歩前へ出る。

 

彼女は、もう長くはなかった。見える形で外に出ないことでも、感覚で分かる。シンジもカヲルも、これを察していた。何とか今日まで持たせてきた。そして、今日に、彼女は終わりを迎える。

 

一番良い終わりを迎える。

 

アヤナミ自身が選んだ、終わりを。

 

「本当なら、もっと碇君と生きたかった。あそこ(第三村)で、もっと農作業をしたかった。赤ちゃんを抱っこしたかった。ペンギンと過ごしたかった。他にも色々なことがしたかったけど、私はもう、これ以上は持たない。だから、せめて、最後は碇君のために」

 

「うん。ごめんね。僕はアヤナミに何もできなくて…」

 

「いいの、碇君は頑張った。碇君は頑張ったから、今度は私が頑張る。これぐらいしかできないけど…碇君のために。私は、こうすることを選んだ。これでいいの」

 

「そう。アヤナミ…さようなら」

 

「さようなら…また会うためのおまじない」

 

2人は別れを告げ、アヤナミは主機に向き合う。向き合ったかと思えば、主機の方にフラ~と浮遊して飛んでいく。

 

そして、主機の中に消えていった。

 

まるで溶けていくかのように、消えていった。

 

「また会う…か。そうだね、また会おうねアヤナミ」

 

余韻に浸りたかったが、とにかく余裕が無い。

 

「少しだけ下がっておこうか。彼女が興奮して出てくるかもしれないから」

 

残されたカヲルとシンジは少しどころか、目いっぱいの限界ギリギリまで下がりに下がる。そうしていると、主機は動きを止めた。あれだけ忙しかったのに。あまりの落差に驚いても無理はないが、2人は驚かなかった。むしろ真反対で、さも当然と言わんばかりである。

 

その直後

 

驚異的な、超常的な、非現実的なことが起こった。

 

主機より、投下?して抜けて出てくる物(者)があった。アヤナミが溶けていったと思えば、違う物(者)が出てくるなんて。しかし、これもまた、2人はさも当然としていた。

 

「ヴンダーの主機として取り込まれていた物(者)。汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機。14年間、君の帰りを彼女たちは待っていた。さぁ、シンジ君。ここからは、君の思うがままに」

 

2人の前に出現したのは、エヴァンゲリオン初号機だった。

 

「母さん…綾波。お願い」

 

続く




次回予告

14年の時をこえて、シンジと初号機が向き合う

初号機に乗り込んで全てを終わらせるために、シンジは動き出す

アイする者のとこへと

カルヴァリーベースに引きずられていくヴンダー

絶体絶命の絶望的な事態に指揮所は沈黙する

その沈黙を破るかのように、あるシステムが発動される

ヴンダーに隠されていた、希望のシステムが

次回 新世紀エヴァンゲリオン 「希望の少年と希望の箱舟」

「ミサトさん…行ってきます」
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