【完結】ユイ君…本当にこれで良いのかね?   作:5の名のつくもの

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土日までに終わるか、それとも木か金で終わるか。どちらかです。

※最初はアスカ視点です


アスカ…僕がいるから

使徒の力を開放すべく、眼帯をちぎり捨てた。もう、ここまで来て止まれない。愛する少年を、もう二度と苦しませない。もう、彼に助けられるのはたくさんだ。今度は、今回は、アタシが助ける。

 

アイツを

 

シンジを

 

でも、嫌だ。

 

会えない…なんて

 

使徒の力を解放すれば、自分は人を捨てることになってしまう

 

既に人間としての力は失っているが、それでも、完全に捨ててしまいたくはない

 

完全に捨ててしまったら、会えないじゃない

 

そんなの嫌よ

 

嫌なのよ!

 

でも…シンジを助けるためなら

 

いいの…シンジのためなら

 

人なんて捨てよう

 

どうせ、アタシはシキナミシリーズの一体なんだから

 

オリジナルでもなんでもないんだから、今更自分を大事にしたって

 

どうにもならないじゃない

 

さぁ、私

 

もう、時間は無い

 

さようなら

 

シンジ

 

「アスカ…そんなことはしないでいいんだよ」

 

え?

 

なんで…

 

なんでいるの?

 

「なんでって、誰が僕のことを閉じ込められると思う?誰も僕を抑えられないよ。特に、自分が愛する人の所に行きたいって願う時はね」

 

言ったじゃない…

 

「確かに君は言ったけど、僕は"必ず"言うことを聞くとは答えてないよ」

 

バカ

 

「バカでいいよ。じゃなきゃ、こうして来ないからね」

 

ほんとに…ほんとに

 

「バカシンジっ!」

 

何も事情を知らない人から見れば、ただの夫婦漫才だと思うしかないだろう。しかし、実際は青春を失った少年と少女のアイである。

 

「そろそろいいかな?2人とも。槍が腐っちゃうよ」

 

「碇君の目的は、ラブラブすることじゃない」

 

「ちょっと!レイもいるの!?」

 

「そうだよ」

 

「先に言いなさいよ!まったく」

 

「ごめんごめん。悪いけど、彼に道を開けてあげて」

 

第壱拾参号機の上に立っていた弐号機は、少しスペースを開ける。第壱拾参号機への道が開かれたので、浮いていたカヲルが第壱拾参号機の上に立つ。そのカヲルも頭上には天使の輪が浮いている。彼は覚醒状態ではなく、ただ単に使徒としての本来の力を解放しているだけだ。

 

「元はと言えば、エヴァンゲリオン第壱拾参号機は僕とシンジ君の希望のエヴァだ。シンジ君は初号機に乗っているから、このエヴァには僕が乗る。それに、せっかく、冬月先生が用意してくれたんだ。その厚意を無駄にはしない」

 

カヲルは先のアヤナミ(黒波)のように溶けて、第壱拾参号機に消えていった。

 

「僕と綾波にはこの希望(ガイウス)の槍があるから、カヲル君はロンギヌスとカシウスの槍をお願い」

 

「もちろん、任されたよ」

 

「あんた達…何をする気なの?」

 

この状況を飲み込み切れていないアスカだ。シンジ、レイ、カヲルの3人はやることを十分に理解している。とんとん拍子で事が進んでいくので、アスカは遅れて、置いて行かれていた。

 

「僕たちで…世界を変えるんだ。3本の槍があれば、世界は変えられる。2本の槍じゃ足りなかったんだ。あの時は足りなったんだ」

 

「碇君の望みのままに、世界を作り上げる。みんなで」

 

「そう…簡単に言えば、新たなる世界の創造。『NEON GENESIS』とでも言うかな」

 

「なるほどねぇ…なんか、話が飛躍し過ぎていて、よくわからないわ。でも、あのシンジのことなんでしょ?なら、大丈夫ね。それに、これは冬月先生が仕組んだんでしょ?」

 

アスカは「なんのこっちゃわからない」という感じだったが、シンジが来たのなら怖いもの無し。さらに、恩師でもあり、彼女にとって祖父でもある冬月コウゾウが仕組んだことだと感づいていた。元々、マリを通して冬月から情報は伝えられていたから、そう考えて当然。

いつも自分のことを見ていてくれた。優しくしてくれただけでなく、しっかりと叱ってくれた。自分を真正面から捉えてくれた人なんだ。安心する要素しかない。

 

「先生が私たちのために動いてくれていた」

 

シンジの代わりにレイが答えた。その直後に、第壱拾参号機が再起動される。カヲルが乗って操縦しているせいか、第壱拾参号機も覚醒状態に入っている。いや、これは覚醒じゃない。カヲルの使徒の力が影響していると見る方が適当だ。

 

「ちょっと、どいてくれるかな。槍が刺さると危ないからね」

 

第壱拾参号機を磔にしている2本の槍を引き抜くために、2人(2機)には離れてもらう。万が一、抜けた槍が刺さってしまっては大変だ。ここは慎重に、万全を期すのが一番だと思われる。

 

第壱拾参号機はフォースの時と同じように左右4本の腕を器用に使って、ロンギヌスとカシウスの槍を同時に引き抜いた。これで動けるようになったので、むくりと起き上がる。

 

流れるような一連の動きは、流石は渚カヲル。

 

「これで槍が揃った…あとは」

 

既にロンギヌス、カシウス、ガイウスの3本の槍が揃った。また、4隻のNHG、黒き月等々と儀式ためのカギは全部が揃っている。後は、儀式を実行するだけ。しかし、シンジは、まだ動かなかった。とある人を待っている。誰か、一人を忘れていないだろうか。

 

「ちょっとぉ!待ってぇ!」

 

「コネm…マリのことを待っていたのね」

 

「だって、置いて行くのは良くないでしょ?」

 

1機のエヴァが上からふわふわと降下してきた。落下ではなく、ふんわりとした降下だ。そのエヴァもまた、皆に例外ではなく、頭上に天使の輪を浮かべている。全てのエヴァがほぼ同じ状態にある。これなら、皆が同じで、仲良しだ。

 

「到着!めんごめんごぉ。ありゃ、意外と待った?」

 

「ううん。ちょうど良いタイミングだよ。ね?アスカ」

 

「そうね。それより、あんた…何か変なものでも食べた?」

 

「ギクッ!そ、そんなことはないにゃね~」

 

マリの八号機はどう見ても変だ。エヴァを知る者なら、一目瞭然のこと。

 

(食べたんだな…)

 

この状況で余裕綽々の会話ができるとは、もはや一種の才能だろう。そして、それに合わせられるシンジもまた、素晴らしい力を持っている。だが、それもここまでだ。なぜなら、ここから先は大仕事が待っている。

 

真面目にやらないといけない。

 

「全員揃ったことだし。さぁ、始めようか。僕たちの希望のアディショナルインパクトを」

 

「えぇ」

 

「やるわよ」

 

「なんか来て早々だけど、やろやろ」

 

「全てはシンジ君の意のままに」

 

シンジは上を向く。そこにあるのは赤い空。真っ赤に染まった空。そんな空を睨むと、空間が歪み、扉が開かれる。ガフの扉ではない。あれは、アディショナルインパクトを発生させる「マイナス宇宙」へアクセスするための「ゴルゴダオブジェクト」だ。あれを介して、マイナス宇宙へと向かう手筈になっている。そして、そこにある「エヴァンゲリオンイマジナリー」を使うことで、やっとこさで、アディショナルインパクトを起こすことができる。

 

「僕たちの…希望を」

 

『 NEON GENESIS 』

 

その様子は地上からも、よく確認できた。インパクト程の規模になれば、肉眼で確認できる。

 

それを見ていたのはヴィレだけではない。

 

一人の人(?)と一人の老人が。

 

 

「なぜだ…なぜ、ユイは私を…選ばなかった」

 

「今更だな、碇」

 

地上と言うか、NHG二番艦Erlösungの甲板の上で2人は見ていた。

 

途中までは多少の差異や誤差、イレギュラーはあっても、大筋は碇ゲンドウのシナリオ通りに進んでいた。弐号機が第壱拾参号機に取り付いて、第九の使徒の力を解放しようとするところまでは。

 

しかし、そこから狂い始めた。エヴァMK-10,11,12を以てして、ヴンダーからエヴァ初号機を回収しようとしたが、アダムスの器こと、アヤナミシリーズは命令を無視し、独断専行をした。さらに、初号機は、なんということだろうか。自らヴンダーから出てきたのだ。回収しようとも呼んでもいないのに。自分から出てきた。

 

我が子を乗せて。

 

それは、ゲンドウにとって、当然許容できなかった。あれほど会おうと懇願していた、愛する妻。碇ユイは、ゲンドウではなく、シンジを選んだ。

 

自分より、シンジを選んだ。

 

シンジを…選んだ

 

それが、ゲンドウに強く圧し掛かった。まさか、ユイが自分を選ばないなんて。これほどまでの努力をして、ユイを取り戻そうとしているのに。

 

どうしてだ!

 

ユイ!

 

「お前は最初から間違っていたのだよ。人間と言うのは欲深き、エゴを持っている。しかし、それは如何なる犠牲を払ってでも、不必要な犠牲を払ってでも、自分の子を捨ててでも、エゴを果たそうとはしないだろう。まぁ、お前の気持ちはわからんでもないがね」

 

「冬月…そういえば、お前は、よくシンジに肩入れしていたな」

 

「すまんな。これも全て、ユイ君に頼まれたんだ。私とて、一人の教育者だ。教え子の頼みは、間違っていない限りだが、断ることはしない。途中でお前が息子を想って、変わればな。私だって、お前のために動いたよ」

 

ゲンドウはガクッと甲板に崩れた。

 

「そうか…冬月先生は変わりませんね。私は途中で変われたのか…変われたのに、変わらなかった。だから、ユイは…シンジを」

 

「あぁ。少なくとも、お前には息子を想う心があった。間違いなくな」

 

「私がシンジを…息子を捨てきれなかったか」

 

「間違いなく、そうだろうな」

 

ふと空を見上げると、カルヴァリーベースからエヴァ初号機、弐号機、八号機、第壱拾参号機が浮いて行く。中心に初号機を置いて、その周囲を他が囲んでいる。誰も置いて行かない。みんなで向かうのだ。

 

「シンジ君は、お前を最後まで父と思っている。だから、お前に機会を与えたんだ。その機会を無駄にするなよ。さて、私ができることはここまでだ。後は、お前とシンジ。そして、ユイ君。家族でな」

 

「シンジが…ユイが…私を」

 

「さぁ、ユイ君が、シンジ君がお前を待っている」

 

「はい…冬月先生。今まで、ありがとうございました」

 

冬月は頷いて答えた。ゲンドウは目に着けていた装置を放り捨てて、足で踏み粉々に砕いた。

 

「もうこれは必要ない」

 

碇ゲンドウは、人たる姿と力を捨てていた。その気になれば、一気にマイナス宇宙へと飛ぶことができる。シンジとユイを待たせるわけにはいかないので、本当に、一気に飛んだ。

 

具体的には量子テレポートをした。

 

残った老人は「ふぅ」と息を吐いた。

 

肩の重荷が全部降りた。

 

彼のやるべきことは終わった。

 

彼は全ての職務を全うした。

 

「疲れたな…この体には堪えたよ」

 

もう、いいだろう

 

私がするべきことはやり切った

 

碇もシンジ君とユイ君と会って、直接話すことができるだろう

 

全ては終わる

 

そして、始まる

 

新世紀が

 

私はどうせ独り身だ

 

このまま散っても、思い残すことは一切無い

 

新世紀で私が生きることないだろう

 

いくら

 

結果的に

 

人類補完計画の発動を阻止したとしてもだ

 

私は言い逃れや弁明はしない

 

私は碇のエゴに付き合った

 

多大なる犠牲を払ってしまった

 

尊い命を奪ってしまった

 

その事実は消せない

 

だから、新世紀で生きる資格も権利もない

 

甘受しようではないか

 

裁きを

 

死を

 

シンジ君…すまなかった

 

私はここで

 

君たちとは別れるとしよう

 

甘き死よ来たれ

 

「ユイ君…本当にこれで。いや。これを聞くのは野暮と言うものか。これで良い。全て…これで良い」

 

まっすぐ初号機を見つめる。

 

「シンジ君。皆によろしく伝えといてくれ…『ありがとう』と。さようならだ…碇シンジ君。私は…本当に良い孫を持ったよ」

 

満面の笑みで言い切った

 

そして

 

パシャッ!

 

 

続く




さようなら…冬月先生。また、会う日まで。

次回予告

マイナス宇宙へと旅立つシンジ達

それを追った形で来た碇ゲンドウ

電車の中で、シンジとゲンドウ、ユイは再会を果たす

アディショナルインパクトが起こった

次回 新世紀エヴァンゲリオン 「ユイ…シンジ…すまなかった」

「父さん」

「あなた」
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