異世界帰りのヒーロー、アバンナイト   作:兵庫人

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興味があるんだったら教えようか?

 試合が終了して俺と拳藤、物間と黒色がモニタールームに行くと、予想通りというかなんというかクラスメイト達(それとオールマイト)が一斉に俺の所へやって来て質問をしてきた。

 

 質問のないようはやはり鎧の魔盾とはかいのつるぎについてで、ドラゴンクエストの異世界に転移してそこで手に入れた武具だと言うわけにもいかないので、「魔法戦士」の個性で呼び出した戦士らしい武具ということで誤魔化すことにした。

 

 すると物間が更に俺の個性に興味を持ったようで、また俺の個性を使わせてほしいと言ってきて、俺はそれに首を縦に振った。

 

 さっきの戦闘訓練で思ったのだが、物間が俺の個性をコピーして放ってきた魔法は予想よりも「軽かった」。外見はそれっぽいが肝心の威力がない見かけ倒しの魔法という印象だ。

 

 物間の魔法が見かけ倒しとなった理由は恐らく、使用に必要なMPが全く足りないのと、魔法がどの様に効果を発揮するかというイメージが出来ていないからだと思う。そこまで考えて俺は正直勿体ないと思った。

 

 もし物間のMPがもう少しあって、魔法を使うイメージが出来ていたら戦闘訓練の時にもっと強力な魔法ができていただろうし、似たような炎や氷を放つ個性をコピーした時に上手く使えるようになるはずだ。

 

 そうなった物間を見てみたいと思った俺が、いくらでも個性をコピーしてもいいし使い方のアドバイスもすると言ったら、物間は感極まったような顔になって他のクラスメイト達は「コイツ、菩薩かよ?」と言いたげな顔で俺を見てきた。

 

 そんなやり取りがあった後、他のクラスメイト達の試合も順調よく行われ、今日の戦闘訓練は終了したのだった。

 

 

 

「メラ!」

 

 日曜日。俺は雄英高校の戦闘訓練に使用されるグランドに来ており、目の前では俺の個性をコピーして魔法を使っている物間の姿があった。

 

 ここに来ている理由は、先日物間に言った俺の個性の使い方のアドバイスをするのと、自分自身の訓練のためだ。

 

「物間。魔法はただ呪文を唱えればいいわけじゃないぞ? どんな風に魔法が出て、どの様な効果を発揮するか、イメージをしっかり持って呪文を唱えるんだ。そのイメージが完璧にできたらそうだな……一見火の粉だけど触れたら火柱になるメラだって出せるさ」

 

「それって本当にメラなのかい? メラゾーマじゃなくて?」

 

 俺が異世界で戦った大魔王のメラを思い出しながらアドバイスをすると物間が戸惑った声を上げてきた。

 

「いいからイメージをしっかり持って魔法の訓練をしろよ。俺は向こうで訓練をしてるからコピーの時間が過ぎたら言ってくれ」

 

「わ、分かった」

 

 俺は物間にそう言うと、少し離れたところにある自分の背丈の倍以上ある岩の前に立ち、相棒であるはかいのつるぎを呼び出した。

 

 あのドラゴンクエストの異世界から帰ってきた日から今日まで、俺は身体を一から鍛え直すのをメインにしていたのもあるが、周りにはかいのつるぎを呼び出して振るえる場所がなかったため、剣の訓練は基本的な素振りくらいしかしていなかった。だけどこうしてはかいのつるぎを存分に振り回せる場所を得た以上、これからは本格的な剣の訓練をすることにしたのだ。

 

「まずはアバン流刀殺法……大地斬!」

 

 俺が気合いを込めてはかいのつるぎを振り下ろすと、岩はあっさりと縦に二つに斬り割かれ、続けて俺は次の技を繰り出した。

 

「海波斬!」

 

 次は横薙ぎに大地斬以上の速度ではかいのつるぎを振るうと、二つに斬り割かれた岩が今度は四つの岩石となる。

 

 いける! 久々に本気で剣を振るったけど、それほど違和感は感じない! このまま最後の技もやるか。

 

「空裂「……凄い」……えっ?」

 

 三番目の技を繰り出そうとしたちょうどその時、聞き覚えのある声が聞こえてきて思わず動きを止めてしまう。そして声が聞こえてきた方を見ると、グランドの入り口で拳藤と鉄哲、クラスメイトの女性の塩崎茨が驚いた顔となってこちらを見ていた。

 

「あっ、ごめん黒岸……。邪魔をする気はなかったんだけど……」

 

 驚いた顔から気まずそうな顔となって謝ってくる拳藤に俺は首を横に振って声をかける。

 

「いや、気にしてないよ。拳藤達も自主練?」

 

「う、うん。そうなんだけど……ねぇ、黒岸?」

 

「どうした?」

 

 俺が聞くと拳藤は今さっき俺が四つに斬り割いた岩石を一度見てからこちらへ視線を向けてくる。

 

「今の凄い技って、あれも黒岸の個性なの?」

 

「いや、あれは訓練で身につけた技、技術だよ」

 

『『………!?』』

 

 俺の言葉に拳藤、鉄哲、塩崎、そして離れた所で見ていた物間が同時に目を見開く。その目からは強い興味の光が宿っているのを感じた俺は、つい次の言葉を口にした。

 

「興味があるんだったら教えようか?」

 

 この言葉に物間以外の三人、拳藤と鉄哲、塩崎は即座に頷き、今日俺は三人の弟子を得たのだった。




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