俺が保健委員になった後、B組のクラス委員は投票で拳藤に決まり、俺はいい人選だと思った。拳藤はなんというかリーダー気質というか姉御肌なところがあるからクラス委員に適任だろう。
そしてその日、オールマイトが雄英の教師になった話を聞きつけやって来た大勢の記者達が学園内に入り込みパニックになるという事態があったが、それもすぐに収まって三日後。俺は保健委員としてA組のヒーロー基礎学に参加することになった。
ブラドキング先生が言っていたように、今日のヒーロー基礎学は大がかりな訓練になるので専用の施設で行うらしく、その施設にはバスで向かうようだ。俺が自分の
突然現れた俺に気づいてA組の生徒達がざわめき、相澤先生がマイペースに生徒達に話しかける。
「来たか。……おい、お前ら。彼は一年B組の黒岸健人。非常に珍しい個性による治療能力が使えて、保健委員として今日の訓練に参加することになった。……黒岸」
「はい、相澤先生。初めまして、一年B組の黒岸健人です。未来のヒーロー名はアバンナイト。どうかよろしくお願いします」
相澤先生に言われて自己紹介をしてA組の生徒達を見ると、そこには一人だけ学校のジャージ姿の緑谷の姿があった。
よかった。やっぱりお前も受かっていたんだな、緑谷。
「……ねぇ、黒岸君?」
それからバスに乗って訓練を行う施設に向かう途中、俺の向かい側の席に座っている緑谷が話しかけてきた。
「どうした、緑谷?」
「いや、その……。入試試験の時に僕の腕を治してくれたよね。そのお礼を言いたいなと思って……ありがとう」
ああ、入試の実技演習試験で巨大な敵ロボットを倒して右腕が折れた時のことか。
「別に気にしなくてもいいって。大したことじゃないから」
「いやいや! 十分大したことだったって!」
俺が緑谷にそう返事をすると突然、明るそうな雰囲気の女生徒が横から話に入ってきた。
「君は?」
「私? 私は麗日お茶子。私も入試の時、同じ場所にいたんだけど、あの時の黒岸君って空を飛んで地面に落ちてるデク君を助けてくれたよね? その後でデク君の腕を治したって凄くない?」
「そうだな。ぼ……俺も同じくあの場にいたのだが、黒岸君は何もないところから剣を取り出して、かなりのスピードで敵ロボットを次々と斬り倒しているのを見た。……ああ、失礼。俺は飯田天哉。一年A組のクラス委員長だ」
緑谷に続いて麗日と飯田の言葉により、バスの中の視線が俺に集中する。
「そういえば……黒岸君の個性って何なの?」
緑谷の質問は恐らく、今A組の生徒達が全員思っていることだろう。別に隠すことでもないので俺は質問に答えた。
「俺の個性は『魔法戦士』。戦士のように頑丈で健康な肉体を持ち、戦士の武具を召喚して、魔法を操る。そんな個性だ。だけど魔法を使うにはドラゴンクエストの呪文を唱える必要があるけどな」
『『超!
俺が自分の個性の説明をするとバスの中にいるA組の生徒ほとんどが一斉に叫びだした。ノリがいいな、コイツら?
ちなみに叫ばなかった生徒のうちの二人。顔の左側に火傷の痕がある男子生徒と、何やら気品がある女生徒が「ロープレ? ドラゴンクエスト?」とか言って首を傾げていたが、マジかあの二人?
そして……。
「……………」
同じく叫ばなかった生徒の一人、ボディースーツとプロテクターを合わせたようなメタリックブルーの戦闘服を着て右目を眼帯で隠している女生徒。彼女はバス乗り場で挨拶をした時からずっと俺の事を見つめていた。
俺は彼女の顔を知らなくて、完全に初対面の筈だ。しかし何故か何処かで会っているような気がした。
一体何者なんだ、彼女は?
最後の女生徒は作者のオリキャラです。