異世界帰りのヒーロー、アバンナイト   作:兵庫人

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正直もう二度としたくない

 しばらくバスに乗って着いたのは、雄英高校の教師であり災害救助のスペシャリストでもあるスペースヒーロー、13号先生が設計と管理をしている様々な災害現場が体験できる施設、USJ(ウソの 災害や 事故ルーム)であった。

 

 今日のヒーロー基礎学ではこのUSJで災害救助の訓練を行う。13号先生と相澤先生、そしてオールマイトがその監督をするはずだったのだが、オールマイトの姿だけはどこにもなかった。何でも「最近急に元気になった」オールマイトは、通勤前や学校の終了後にいくつもの事件を解決する様になり、今日も通勤前に他県のも含めて九件の事件を解決して、そのせいで授業に遅れてしまったそうだ。

 

 ……これって俺がベホマでオールマイトの傷を治したからじゃないよね? 何やら相澤先生が不満気な視線をこちらに向けている気がするけど違うよね?

 

 仕方がないので相澤先生と13号だけで授業を始めようとしたその時、「奴ら」は現れた。

 

 USJの中央に出現した黒い霧、その中から次々と出てくる武装した大人達、ヴィランが。

 

 

「全員動くな! ……あれはヴィランだ」

 

「ヴィランンンっ!? な、何でヴィランがここに!?」

 

 突然現れた大勢のヴィランを見て相澤先生が緊張を含めた声で言うと、A組の生徒の一人が悲鳴のような声を上げる。

 

 確かに何でヴィランが雄英高校の施設に現れたのかは謎だけど今は行動するのが先! 見たところヴィラン達は油断しているみたいだし、今ならはかいのつるぎと鎧の魔盾を使った呪わしき波動で動きを封じることができるはず!

 

「こ……えっ?」

 

 俺がはかいのつるぎと鎧の魔盾を呼び出そうとした時、俺よりも先に行動した人物がいた。それはバスの中でずっと俺を見つめていた、あのメタリックブルーの戦闘服(コスチューム)を着ていた女生徒だった。

 

 女生徒はヴィラン達に向かって走っていき、それを見た相澤先生が大声で彼女の名前を呼んで止めようとする。

 

「待て、機械島! 戻ってこい!」

 

 しかし機械島と呼ばれた女生徒は相澤先生の声を無視して走り続け、その途中で自らの個性を発動させた。

 

 機械島の背中を見て初めて気づいたのだが、彼女の背中は大きく肌を露出していて、そこから大量の金属らしきものが作り出された。その金属らしきものは巨大な鎧のような形になると機械島を内部に取り込み、最初は一人で向かってくる彼女を笑っていたヴィラン達、そして俺は機械島が作り出した巨大な鎧のようなものを見て思わず揃って驚きの声を上げた。

 

 

『『き、キラーマシン!?』』

 

 

 そう、機械島が作り出したのは、ドラゴンクエストに登場する四本足で両手に剣とクロスボウを装備した特徴的な姿をした機械系モンスター、キラーマシンだった。

 

 俺はキラーマシンとなった機械島の姿を見て、ドラゴンクエストの異世界で戦ったある敵のことを思い出した。

 

「あいつ……『マキナ』か?」

 

 ドラゴンクエストの異世界を征服しようとした大魔王の軍隊は大きく六つに分かれており、マキナはそのうちの一つ、魔影軍団に所属する団員(?)であった。

 

 とある魔王が勇者を抹殺するために作り出した兵器、キラーマシン。魔王が一度倒されて活動を停止したキラーマシンに、魔影軍団の軍団長が暗黒闘気というエネルギーを与えて再び活動をするようにしたのがマキナだ。

 

 俺が初めてマキナと出会ったのは弟弟子の知り合いである王国の姫様を助けに行った時だ。

 

 その姫様は一度は魔王軍に敗れ、少数の家臣達とある孤島に避難していた。そこに氷炎将軍と名乗る魔王軍の軍団長が現れて、島全体に敵を弱体化させる結界を張って、姫様ごと救援に来た俺や弟弟子達をまとめて抹殺しようとしてきた。

 

 幸い俺は「超健康体質」のお陰で結界の効果は無く、弟弟子や姫様達が逃げる時間稼ぎをしようとしたのだが、その時に現れたのがマキナだ。何とか弟弟子達を逃すことはできたものの、その後俺は孤島で一人マキナや氷炎将軍の部下達から逃げ回るベリーハードなサバイバル生活を、弟弟子達が結界を何とかする手段を整えるまでの数日間送るはめになったのだ。

 

 それからもマキナは何度も俺達の前に立ち塞がり、その度に相手をするのが俺だった。

 

 倒して復活する度にマキナは身体を新造して来て、最後の大魔王の宮殿での戦いではキラーマジンガの姿となり、しかもキラーマシン2を四体も引き連れて現れ、俺一人でそれらと戦ったのは嫌な思い出だ。正直もう二度としたくない。

 

 だがマキナは復活する度に身体を新造するだけでなく自分の意思を持ち始めていて、最後にマキナを倒した時「マタ……戦、イ……マショウ……」と言ったのを俺は覚えていた。

 

「………」

 

 俺がマキナの事を思い出していたら、機械島が中に入っているキラーマシンの顔がこちらに向いて、一つしかない目が赤く輝いた。

 

『ようやく思い出しましたか?』

 

 赤く輝いたキラーマシンの目を見た俺は、キラーマシンの中で機械島がそう呟いたような気がした。

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