異世界帰りのヒーロー、アバンナイト   作:兵庫人

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ソイツらは何だ?

「な、何でキラーマシンがこんな所に……あべしっ!?」

 

 ヴィランAをキラーマシンとなった機械島が右手の剣で薙ぎ払う。

 

「俺達、いつからゲームの世界に……ひでぶっ!?」

 

 ヴィランBを機械島が左手で掴んで投げ飛ばす。

 

「俺、キラーマシンにはトラウマが……たわばっ!?」

 

 ヴィランCを機械島が四本ある足の一本で踏み潰す。

 

「機械島無敵じゃん。もうアイツ一人だけでいいんじゃね?」

 

「全くあの馬鹿が……!」

 

 ヴィラン達相手に無双をする機械島の姿にA組の生徒の一人がそんな事を言い、相澤先生が頭痛を堪えるように額に手を当てる。……気のせいかもしれないが今、相澤先生の髪が三本くらい白髪になった気がする。

 

「マキの奴、一人で勝手に……!」

 

「やっぱりまきちゃんは凄い!」

 

 A組の金髪の男子生徒が悔しそうに、緑谷が感動するように呟くのが聞こえた。

 

「緑谷? マ……アイツの事を知っているのか?」

 

「え? うん。まきちゃんは僕とかっちゃんの幼馴染みで、昔からケンカも個性も凄く強かったんだ」

 

「アイツと幼馴染み……。何だか大変そうだな。緑谷もかっちゃんとやらも」

 

「かっちゃんじゃねよ、クソが! 俺は爆豪だ、覚えとけ!」

 

 俺がしみじみと呟くとそれが聞こえていた金髪の男子生徒、爆豪が声を荒らげてこちらを睨んできた。

 

「そうか。それはすまなかっ……!?」

 

「おい! 黒岸!?」

 

 爆豪に謝ろうとした俺はヴィラン側の動きを察知すると、考えるよりも先に相澤先生の声を振り切ってヴィラン達に向かって走り出した。

 

 動き出そうとしているのは最初に現れ、大勢のヴィランをこのUSJに連れてきたと思われる黒い霧を体に纏っているヴィラン。あの黒い霧のヴィランを放っておいたらマズいと俺の直感が告げている!

 

「元気なお嬢さんですね。しかしこれ以上味方の数を減らされては困るので貴女にはここで退場を「空裂斬!」……何!?」

 

 黒い霧のヴィランがマキナに向けて黒い霧を広げて包もうとした時、俺ははかいのつるぎを呼び出して空裂斬を放ち黒い霧を晴らした。本来実体の無いものを斬るのは海波斬の方が向いているのだが、あの黒い霧は普通の霧ではない気がして空裂斬を放った俺の判断は正しかったようだ。

 

「私の霧を……!? 小僧、何をした!」

 

 自分の霧が晴らされたことがよほど意外だったのか、黒い霧のヴィランは声を荒らげて俺を睨み、その横に立つ顔と両腕に人間の手の装飾をつけた不気味な男が面白そうに話しかけてきた。

 

「へぇ……。黒霧の霧を消すなんて面白い手品だな。それにキラーマシンと……はかいのつるぎかぁ。ドラクエのファンか、二人共?」

 

 手の男は俺とマキナに親し気に話しかけてくるが、彼の内から感じる殺意が徐々に強くなっていくのが分かる。それはマキナも同様で、彼女も他のヴィランを無視して手の男と黒い霧のヴィランに向けて剣を構えた。

 

「俺もドラクエは好きだぜ? 初代ドラクエから最新のまで全てクリアしたからな。……でもお前達もドラクエのファンなら分かるだろ? こういう戦闘では強力なモンスターが追加で出てくるって。おい、黒霧。『脳無』を……そうだな『三体』程出せ」

 

 手の男が黒い霧のヴィランに指示を出すが脳無? 何のことだ?

 

「よろしいのですか、弔?」

 

「いいんだよ。まだ『二体』いるし。それにドラクエで強いと評判のキラーマシンとはかいのつるぎの持ち主、俺達の脳無とどっちが強いか確かめてみようじゃないか?」

 

「……分かりました」

 

 黒い霧のヴィランは手の男に頷くと黒い霧を広げ、そこから三つの大きな影が出てきた。

 

 それは脳が外に剥き出しになっている三人の大男。これが脳無か?

 

 脳無と呼ばれた三人の大男の目からは意思の光が感じられなかったが、それ以上に気になったのは脳無達の気配だ。

 

 まるで複数の人間が無理矢理一人の人間の体に押し込まれているような気配。これは何だ? 本当に人間なのか?

 

「ソイツらは何だ?」

 

「コイツらか? コイツらは脳無。オールマイトと戦わせるために特別に用意したヴィランだよ。何だか最近、オールマイトが急に強く……いや、『回復』したのかな? まあ、とにかく元気になったって話を聞いて頑張って脳無を複数作って持ってきたってわけ」

 

 俺が質問をすると手の男はまるで自慢の玩具を自慢するかのような口調で話しだしたが……この手の男、今オールマイトが回復したって言ったか? オールマイトの怪我の事を知っているってことか?

 

「だけど肝心のオールマイトがいない訳だからさぁ……。平和の象徴が来るまで遊んでくれよ……!」

 

 俺の疑問をよそに手の男は、顔の手の装飾で素顔が分からないのにも関わらず、笑っていると分かる声を俺とマキナに向けてきた。

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