「あ、あ、あ~! A組が憎い! オノレオノレオノレ~~~!」
緑谷とマキナを加えて訓練をするようになってから更に二日後。いつものように早朝の訓練をするために訓練室に行くと、何やらテンションの高い物間が叫んでいた。
「おい、物間? 落ち着けよ。一体どうしたんだ?」
「これが落ち着けるわけないだろう! 最近学校の周りにいるあのマスコミ達のことだよ!」
そう叫ぶ物間の声を聞いて俺は大体のことを察した。
最近雄英高校の周りには、四日前にUSJがヴィラン達に襲撃された事件を聞きつけたマスコミが集まり、手当たり次第に学生にインタビューをしているのだ。しかしマスコミ達がインタビューしたいのはその事件の現場にいた者達、つまり一年A組で、物間はその事に腹を立てているというわけだ。
「親友からの話でUSJでは大変だったことは知っているよ! でも何でそれだけで僕達B組がA組のオマケ扱いされないといけないんだい!?」
「あ、その……。ごめんなさい」
「……いや、緑谷は悪くないから気にしないでくれ。僕が怒っているのはマスコミの態度だから」
物間の怒声に緑谷が居心地が悪そうな顔で謝ると、少しだけ怒りが治まった物間がそう声をかける。最近になって少しずつ分かってきたけど、物間って身内と認めた相手には優しいんだよな。
「A組のオマケ扱いが嫌だったら、俺達の実力を見せることでそうじゃないって証明すればいい。……来週には雄英体育祭があるからな」
雄英体育祭。
それは雄英高校の生徒が学年ごとに様々な競技を行い、最後にはトーナメントで最も優秀な生徒を決めるという大会。この大会はかつてのオリンピックに代わる日本だけでなく世界からも注目されるイベントで、ヒーロー科の生徒にとっては、プロヒーローに自分を売り込む最大のチャンスと言える。
ここでB組の生徒である俺達が優秀な成績を出せば、マスコミを初めとする世間も、俺達をA組のオマケだなんて思わなくなるだろう。
「そうだね、親友。ここにいる皆は親友のお陰で随分と強くなれたからね」
俺の言葉に物間は機嫌が治ったようで自慢気に胸を張って言う。
物間の言う通り、ここにいる全員はこの数日間の訓練で大分強くなったと思う。
物間は俺の個性をコピーして魔法の訓練を繰り返したことで攻撃魔法の威力が上がって、俺以外の炎を放出するような個性をコピーしても十分に使いこなせるだろう。
拳藤、鉄哲、塩崎の三人は、ドラゴンクエストの異世界で俺が先生から受けたトレーニングメニューを参考にした特別メニューをやらせて、体力だけでなく格闘能力も大きく上がっている。
緑谷は元々普段から考えるタイプだったのか、俺が個性の使い方をアドバイスをした次の日にはまだぎこちないが全身の強化を出来るようになり、今は拳藤達三人にやらせている特別メニューのトレーニングをやらせている。
そして俺はマキナとただひたすら模擬戦。お互いドラゴンクエストの異世界での実力を知っているので、良い刺激となり実戦の勘を徐々に取り戻せている気がする。
自分で言うのもどうかと思うが、ここにいるメンバーなら他の競技はともかくトーナメントではそう簡単に負けることはないと思う。……雄英体育祭が今から楽しみだ。