異世界帰りのヒーロー、アバンナイト   作:兵庫人

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完璧にマスターしたみたいだな

『ド、ドォォラッゴォォン!? 一年B組、黒岸建人! まさかドラゴンに変身してクラスメイトを乗せて飛翔! いや、本当にどうなってんの、アレ!?』

 

『生徒の個性くらい把握しておけ。黒岸の個性は、詳しい説明は省くがドラクエの魔法を実際に使えるんだよ。あれはドラゴンに変身する魔法ドラゴラムを使ったんだな』

 

『ワッツ!? ドラクエの魔法ってマジそれ!? じゃあもしかしてメラとかギラだけじゃなくて、ルーラやレムオルみたいな便利な魔法も使えんの!?』

 

『ああ、レムオルだったら先日俺がかけてもらった』

 

『何それ!? その話もっと詳しく!』

 

 実況のプレゼントマイク先生と相澤先生の会話を聞きながら俺は高速で空を飛ぶ。下を見れば他のクラスの生徒達は皆驚いた顔でこちらを見上げており、俺はそれを一気に彼らの先に行くと目の前に巨大な影が現れた。

 

 俺の前に現れたのは入試試験の実技演習試験で戦った巨大ロボットで、それが二体もこちらを攻撃しようと向かって来ていた。

 

「あれが最初の障害か。ここは一気に片を「ちょっとまちな」……鉄哲?」

 

 俺が口から炎を吐いて巨大ロボットを一気に焼き払おうとした時、背中から鉄哲の声が聞こえてきた。

 

「お前ばっかり目立たせないぜ、黒岸。ここは俺達に任せろ。なぁ、拳藤」

 

「ええ。訓練の成果、今見せてあげる」

 

 鉄哲と拳藤はそう言うと俺の背中から巨大ロボットに向かって大きく跳んで、それぞれ右手を手刀の形にして大きく振り上げ、そして一気に振り下ろす。

 

 

「「アバン流牙殺法……岩砕掌!」」

 

 

『『……………!?』』

 

 鉄哲と拳藤が振り下ろした手刀はそれぞれ一撃で巨大ロボットを真っ二つにして破壊し、それを見ていた生徒に観客達が驚きのあまり絶句する。

 

 鉄哲と拳藤が巨大ロボットを破壊したあの岩砕掌という技は、この数日の訓練で俺が教えた技だ。

 

 俺がドラゴンクエストの異世界で先生から学んだアバン流刀殺法は基本さえマスターしていれば、剣だけでなく槍、斧、弓、鞭、爪にも応用できる。そしてアバン流牙殺法は鉄の爪のような爪系の武器、あるいは素手を使ったアバン流刀殺法で、岩砕掌はその中の大地斬にあたる技である。

 

 ドラゴンクエストの異世界で先生が書いた奥義書を読み、一応全ての技を記憶していたが、それがまさかこんな形で世に出るとは思いもしなかったな。

 

「やるな、鉄哲、拳藤。岩砕掌、完璧にマスターしたみたいだな」

 

「おうよ! 俺達も成長しているんだぜ」

 

「ま、でも塩崎には負けるけどね」

 

 巨大ロボットを破壊して俺の背中に戻ってきた鉄哲と拳藤に声をかけると二人は自慢気に胸を張って答える。すると後方から爆音と怒声が聞こえてきた。

 

「待てや! 俺の先を行くんじゃねぇ、ドラクエ野郎がっ!」

 

「……」

 

 後方を見るとそこには、両手から爆炎を出してこちらへ飛んでくる爆豪と、氷の波に乗ってこちらへ迫ってくるA組の顔の左側に火傷がある男子生徒の姿があった。

 

「死ねやっ!」

 

「これで止める」

 

 そう言って爆豪は手から爆炎を、顔に火傷がある男子生徒は氷をこちらに向けて放ってきた。あれをくらったら厄介なので、更に速度を出して回避するか魔法で防御するか考えていると、俺の背中の上にいる塩崎が話しかけてきた。

 

「黒岸さん。どうかそのまま飛んでいてください。あれは私が対処します」

 

 そう言うと塩崎は自分の個性を発動させる。彼女の個性は茨の髪を自由に伸ばしたり操るというもので、塩崎は自分の髪の一部を伸ばして切り取ると、それを手にとって鞭のように構える。

 

 

「アバン流鎖殺法……海斬衝」

 

 

 塩崎が自分の髪を鞭のように高速で振るうと、そこから放たれた見えない斬撃が爆豪の爆炎と顔に火傷がある男子生徒の氷を切り裂いた。

 

 アバン流鎖殺法海斬衝は鞭を使ったアバン流刀殺法の海波斬にあたる技で、これも鉄哲と拳藤と同様に俺が教えた技だ。

 

 爆豪と顔に火傷がある男子生徒は、まさか鞭の一振で自分達の爆炎と氷が斬られるとは思わなかったようで、驚いた顔をして俺達との距離が開いていく。

 

 俺はクラスメイトの三人が、俺の教えた先生の技で俺だけじゃなくクラスメイト全員を守ってくれた光景を嬉しく思い、ゴールに向けて飛ぶ速度を更に上げるのだった。

 




アバン流刀殺法が剣だけでなく槍、斧、弓、鞭、爪にも対応している情報はネットにもあるのですが、技名は作者が勝手に考えたものです。
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