巨大ロボットが妨害をしてくるエリアを抜けると、その次は深い峡谷をロープを伝って渡るエリアと無数の地雷が地面に埋められて地雷原となったエリアが続いていた。しかしそれらは空を飛ぶ俺には関係無く、たまに空を飛べる個性用のミサイルとかが飛んできたが背中にいるクラスメイト達が防いでくれて、俺は特に大きな問題なくゴールである雄英高校のグラウンドへ飛んでいった。そして……。
『お、おいおい、マジか? まだ他の生徒のほとんどがコースの中盤辺りで頑張っているのに、もう第一種目突破四十二人のうち二十一人が決まっちまったぞ? しかもその二十一人全員……B組だぁ!』
『『………!』』
プレゼントマイク先生の実況にB組のクラスメイトの何人かと観客達が歓声を上げる。そんな中……。
「あっれ~? おかしいな? A組の生徒が何処にもいないよぉ? A組は僕達よりも優秀なはずだからもう先についていると思ったんだけどなぁ~? A組は何処かなぁ~?」
と、よほどA組よりも先にゴールできたのが嬉しかったのか、物間がグラウンドの出入口辺りで誰かを探すような仕草をしていた。
「アイツ何やっているんだか? これ、全国放送だって分かっているの?」
「アレ……名前がある精神の病とかじゃないのか?」
拳藤が物間を見て呆れた声で言うとクラスメイトの泡瀬洋雪がドン引きした表情で言う。否定はできないな。
「ん? あれは緑谷じゃないか?」
そろそろ物間を止めようと思った時、物間がグラウンドの外、地雷原を見て呟いた。グラウンドにある外の様子を映す大型モニターを見ると、緑谷が全身を強化して体から緑色の静電気を放った状態(緑谷は確かフルカウルとか言ってたっけ?)になってグラウンドのすぐそこまで走って来ているのが分かった。
「ふん。せいぜい頑張りなよ、緑谷。僕達と一緒に特訓したんだから無様な成績は許さないからね」
緑谷の姿を確認した物間は、腕を組んで上から目線だが、それでも憎いA組であるはずの緑谷を応援して、それを見たクラスメイトの角取ポニーが首を傾げる。
「物間サン……。A組は敵だって言ってマシタですのに、緑谷サンの応援? 何故……?」
緑谷と機械島はこの数日間、一緒に訓練をしていたからな。それで物間の中で緑谷は「身内のような存在」という判定が出たんだろう。
これをきっかけに物間にはA組と仲良く、とまでは言わないが敵対意識を弱めてくれれば助かるんだけど……無理だろうな。
それから数分後。緑谷を初めとして他のクラスの生徒も次々とグラウンドにやって来て、第一種目突破四十二人はA組が二十人、B組が二十一人、最後に普通科であるC組が一人という結果になった。ちなみにここで物間がA組を挑発しようとしたのだが、それは俺と拳藤が止めた。
第一種目が終わってすぐに行われた第二種目は騎馬戦。
ただしこの騎馬戦は通常の騎馬戦とはルールが少し違い、騎手役が地面に降りない限り、騎手の鉢巻きを取られても試合を続けてもいいらしい。そして制限時間が終わった時、所有している鉢巻きに記されている点数の合計点が高い上位四チームが次のトーナメントに進めるというルール。
鉢巻きの点数は生徒にそれぞれ与えられた点数を合計したもので、その点数は第一種目の順位が上の者ほど高い得点らしく、しかも第一種目一位の得点は……。
「第一種目一位の得点は……ボーナスポイントとして一千万!」
「……………はぁ?」
司会進行のミッドナイト先生の言葉に、思わず呆けた声を出した俺がモニターに映し出されている第一種目の順位表に目を向けると、一位のところに俺の名前が見えた。俺が一位となったのはゴールをする直前、クラスメイト達が一番の功労者が俺だという理由で譲ってくれたからで、あの時は本当に嬉しかったのだが今は素直に喜ぶことができなかった。
周囲から俺以外の第一種目を突破した四十一人の視線が集まり、それに耐えきれなかった俺は思わず叫ぶ。
「ちょっと待った! 一千万って何ですか一千万って!? こんなのボーナスポイントじゃなくて罰ゲームじゃないですか! お笑い番組の罰ゲームでもここまでキツいのはないですよ!」
一千万ポイントって、そんなの周りから一斉に狙われるに決まっているじゃないか! お笑い番組の罰ゲームは見ていて楽しいけど、実際にやるなんてゴメンだぞ!?
「異議は一切認めません! さあ! 今から騎馬戦のメンバーを決める交渉タイムです!」
ミッドナイト先生は俺の叫びをバッサリと切り捨てて予定を進めていくが……上等だ! そっちがその気ならこっちにだって考えがあるからな?
ミッドナイト先生の態度に逆にやる気になった俺は、この騎馬戦を確実に勝ち抜くために三人の生徒に声をかけた。
「それでは第二種目……スタート!」
騎馬戦のメンバーを決める交渉タイムが終わり、ミッドナイト先生が合図を出すとグラウンドにいる十三組の騎馬が一斉に動き出し、俺は自分とメンバーになってくれた三人に呼びかける。
「行くぜ、物間!」
「任せてくれ、親友」
「塩崎!」
「全力を尽くします」
「マキナ!」
「了解」
物間、塩崎、マキナ。この三人が俺が選んだ第二種目のメンバーだ。マキナはA組だが、緑谷と同じくこの数日間一緒に訓練をしたので物間の中で「身内のような存在」判定が出ていて、チームの交渉はあっさりとすんだ。
そして俺はこのメンバーであれば第二種目の騎馬戦を勝ち抜けると確信していた。
試合が始まると他の騎馬が一斉にこちらへ向かってくるが、そんなのは想定内だ。早速俺は事前に考えていた作戦を実行するべくマキナに声をかける。
「マキナ、頼む」
「分かりました」
マキナは俺の合図に頷くと個性を発動して、USJで見せたのよりも一回り大きなキラーマシンを作り出し、俺達四人はキラーマシンの中に入り込む。更にこれで終わりではなく、俺はキラーマシンの中で一つの魔法を使った。
「レムオル」
『『……………!?』』
俺が魔法を使うと俺達が入っているキラーマシンの姿が消え、それを見た他の騎馬は驚きで声を失い、次の瞬間……。
『『ふざけんなぁっ!?』』
と、一斉に怒声を上げるのだった。