『はぁ!? へ、HEI HEI HEI! ちょっと待った黒岸チーム! 全員キラーマシンの中に乗り込んでからレムオルで透明化って、何だその凶悪コンボは!? 色々となんか反則だろ!』
『別に反則じゃないだろ。黒岸チームは一千万を超えるポイントのせいで他の騎馬から集中的に狙われる。それを防ぐための合理的な戦法だ』
実況席からプレゼントマイク先生と相澤先生の声が聞こえてくる。
『いやだってアレ、相手の姿が見えなかったら実況がし辛いぜ?」
プレゼントマイク先生、そんなにマキナのキラーマシンが見たいなら今から「沢山」見せてあげますよ。
「物間、頼む」
「オーケー、親友。マヌーサ」
俺が声をかけると、すでに俺の個性をコピーしていた物間が呪文を唱える。すると試合会場内にキラーマシンの幻影が複数出現してそれぞれが勝手に動き出す。
『なんじゃあ、ありゃあ!? キラーマシンが消えたと思ったら今度は大量に現れた? これは一体どういうこと!?』
『ありゃあ敵に幻を見せる魔法マヌーサだな。俺が前に見たのは相手にだけ幻を見せるタイプだったが、今回は全員に幻を見せるタイプか。確かに自分達以外全て敵の状況ではこちらの方が合理的だな』
プレゼントマイク先生の疑問を相澤先生が答える。
ありがとうございます、相澤先生。お陰で説明の手間が省けました。
他の騎馬は例え幻だと分かっていても複数のキラーマシンを無視できないようで動きが一気に乱れた。そしてこの隙に……。
「塩崎、出番だ」
「ええ、お任せを」
塩崎は俺に頷いてくれると髪のツルを伸ばしてキラーマシンの体の隙間から外に出す。そのままツルは動きが乱れた騎馬の騎手へ向かって伸びていき、それから数秒してプレゼントマイク先生の声が驚いた声が聞こえてくる。
『おおっとどういうことだ!? 他のチームの得点が次々にゼロになっていき、対して黒岸チームの得点が急上昇!』
『これは……塩崎の個性か? たしか塩崎の個性は髪のツルを伸ばして操るものだったはず。恐らく透明になったキラーマシンからツルを伸ばして他の騎馬の鉢巻きを奪ったんだろう』
そう、相澤先生の言う通り。
マキナのキラーマシンに乗り込んでレムオルを唱えることで鉢巻きを奪われる危険を減らし、マヌーサで他の騎馬を混乱させてから塩崎のツルで相手の鉢巻きを一気に奪う。これが俺が考えた作戦だ。
それから俺達は極力他の騎馬と接触しないように慎重に距離を取りながら試合会場を動き回り、マヌーサを重ねがけしたり時にはメダパニを使ったりして他の騎馬を翻弄しつつ塩崎のツルで鉢巻きを集めていった。その結果……。
『し、信じられねぇ……!? 第一種目に続いて第二種目でも予想外の出来事が起こりやがった……! 第二種目、突破したチームは黒岸チーム「のみ」! 他の全員鉢巻きを奪われてゼロポイントっ!』
試合終了後。俺達のチームは他の騎馬の鉢巻きを全て奪い、次のトーナメントへと進出する事が決まったのだった。
後のことは知らない。学校の方が何とかしてくれるだろうさ。