「それでは……始め!」
「死ねやぁっ!」
ミッドナイト先生が試合開始の合図を出すのと同時に爆豪が弾丸のようなスピードでマキナに向かって突撃して、先程の恨みを全て叩きつけんとばかりに全力の右の大振りを放つ。
爆豪の個性は「爆破」。手からニトログリセリンのような汗を出して対象を爆破する強力な個性で、爆豪の右拳から生まれた爆発がマキナを襲う。
しかし爆豪の拳と爆炎は、マキナの背中からジャージを破って現れたキラーマシンの左腕によってガードされていた。
「はっ! そうだよな。お前だったらそうするよな、マキ?」
自分の渾身の初撃を防がれても爆豪は特に慌てる様子を見せず、むしろ予定通りとばかりに獰猛な笑みを見せる。
「俺の爆破が効かない、そのふざけた腕で攻撃を防ぎながらキラーマシンを作って、完成したら後はキラーマシンの中に入って一方的にボコってくる。それがお前の必勝パターンだよな? ……だが!」
そこまで言って爆豪は次の攻撃を仕掛けようとするが、その狙いはマキナ自身ではなく彼女の背中、キラーマシンの左腕が生えている部分であった。
「くたばれぇっ!」
爆豪の拳がマキナの背中の辺りに当たった瞬間、爆発が起こってキラーマシンの体を構築していた金属片が散らばる。そしてそれを見た爆豪は更なる攻撃を放ちながら得意気に話し出す。
「分かったかよ!? キラーマシンが完成したら爆破は効かねぇかもしれねぇが、作ってる最中の部分ならぶっ壊せるんだよ!」
それから爆豪はキラーマシンの左腕の攻撃を避けながら、徹底的に自分の攻撃をマキナの背中、キラーマシンの体を構築している部分に集中させる。
なるほど。キラーマシンが完成してその中に入られたら爆破が通じないから、キラーマシンが完成する前に一気に叩くと言うわけか。
確かに構築している最中なら爆破も通用していて、マキナ自身にも少しずつだがダメージが入っているみたいだ。更にキラーマシンの左腕しかない今の状況は、逆にキラーマシンの左腕がマキナの死角を作って、爆豪の攻撃のチャンスを与えていた。
「俺の勝ちだ、マキ!」
攻撃を絶え間なく繰り出しながら爆豪が獰猛な笑みを浮かべる。しかしマキナはダメージを受けているにも関わらず相変わらずの無表情で口を開く。
「勝ち誇るのは勝ってからにしたらどうですか?」
「何? ……っ!?」
マキナの言葉に怪訝な表情を浮かべた爆豪は何かを感じて横に飛び、その直後に彼がいた場所に巨大な片刃の曲刀が振り下ろされた。そして片刃の曲刀を振り下ろしたのは、太陽の光を反射して青色に輝く四本足のロボット、キラーマシンであった。
「キラーマシンだと!? いつの間に?」
「少し前にキラーマシンの『核』を作りました。核にはキラーマシンの体を作るだけのエネルギーと、自動で自分の体を構築するプログラムを与えていて、貴方が私を攻撃している間に完成したのですよ」
突然現れた驚く爆豪にマキナが説明をする。
「キラーマシンの核だと!? そんなモン、いつの間に出しやがった?」
「勝己が最初に私の背中を攻撃した時、破壊された金属片に紛れ込ませて。ちなみに核の準備はお昼の休憩時間に」
「……!?」
爆豪の質問にマキナが答えると彼は驚いた表情となるが、驚いたのは俺達も同じだった。マキナの奴、昼の休憩時間の時から、爆豪との試合が決まった時からこの状況に持って行くための準備をしていたってことか?
「マキ……テメェ、俺がお前の背中を攻撃する事を読んでいやがったのか?」
「はい。私は勝己、貴方の戦いの才能と勝つ為に努力をする姿勢は認めています。だから貴方だったら必ず私の個性の弱点を突いてくると確信していました。そして貴方は私の予想通りに動いてくれて……これで完成です」
爆豪と会話をしている間にも、マキナの背中に生えているキラーマシンの左腕は増殖を続けていて残りの体の部分を作り出していた。そうして完成した二体目のキラーマシンはマキナを自分の中へと収納した。
その後、二体のキラーマシンに前後を挟まれた爆豪は、それでも諦めることなくマキナに戦いを挑んだ。しかし爆破の個性が通じない相手、それも二体と戦うのは無謀であり、爆豪は善戦こそはしたが最後はキラーマシンの剣の一撃をくらい戦闘不能となったのだった。