「フフフッ……! アハハッ……! ケント、やはり貴方は素晴らしい。私と互角に戦えるのはやはり貴方だけのようですね。実力を全て出しあっての戦いは心踊ると思いませんか?」
額から血を流しながらも楽しそうに笑うマキナ。はっきり言ってその姿はかなり怖かった。人間に転生した彼女は黙ってさえいれば美少女のため余計に怖く、多くの観客達が引いていた。
そして正直な話、マキナの話には少しばかり同意できる。
俺だって一応戦士の端くれ、お互いが実力の全てを出した熱い戦いを繰り広げたいという気持ちは当然ある。しかし鎧の魔盾はともかく、はかいのつるぎを装備して万が一手加減に失敗すれば、良くて対戦相手の腕や足の切断、最悪対戦相手が死亡するということもあり得る。
そうなったら勿論、回復魔法や蘇生魔法で治すし、リカバリーガールの個性による治療はあるのだが、それでも全国放送でスプラッターな展開は全力で避けたい。
その点、馬鹿みたいに頑丈なキラーマシンに乗ってドラゴンクエストの異世界でさんざん戦ったマキナなら「完全装備で本気で戦っても多分大丈夫だろ」という奇妙な信頼がある。だから俺は彼女の提案を聞いて、はかいのつるぎと鎧の魔盾を装備することを受け入れたのだった。
「さあ、続きをしましょう。この熱く楽しい戦いの続きを!」
マキナは今まで見せていた無表情が嘘のようなハイテンションでそう言うと、個性を使って新しいキラーマシンを作り出そうと……いや、違う!
マキナが新しく個性で作った自動鎧は、巨大な単眼に青を基調としたカラーリング等といったキラーマシンとの共通点をいくつも持っていたが、キラーマシンとは明らかに違うものだった。
両手に持ったサーベルと
『キ、キラーマシン2!? 新しく作ったのはまさかの進化バージョン!?』
そう、実況席にいるプレゼントマイク先生が言った通り、マキナが新しく作ったのはキラーマシンの進化版であるキラーマシン2だった。
「おいおい……。キラーマシン2なんていつ作れるようになったんだよ?」
「つい先日です。先に言っておきますが、これに乗った私は強いですよ」
知ってるよ……!
キラーマシン2に乗り込みながら話しかけてくるマキナに俺は心の中で返事をした。ドラゴンクエストの異世界での戦いでキラーマシンからキラーマシン2になったマキナの厄介さは知っているし、何より宙に浮けるようになったことで出来ることが一気に増えたのは誰が見ても明らかだった。……だけど!
「マキナ、
俺はキラーマシン2の内部に入り宙に浮かんだマキナに向かってそう言うと、呪文を唱えて魔法を放った。
「ライ……デイン!」
『……………!?』
俺が呪文を唱えると空から雷が降ってきてマキナが乗るキラーマシン2を撃ち抜く。
「俺がお前と何回戦ったと思っているんだ? お前の弱点くらい知って……!?」
そこまで言ったところで俺は一つの違和感を感じた。
何回も戦ったのはマキナも同じだよな? だったら俺がマキナの弱点を知って、それを突くための呪文ライデインを使えることも知っているはず……というか当然知っている。それなのに何の対策もしていない? 前の試合で八百万のテイザー銃の電撃を受けたのに? 前世がキラーマシンで生まれながらの戦闘マシンのマキナが?
………もしかして悪手だったのは俺の方だったりするのか?
「遅いですよ」
俺の内心の呟きに答えるようなマキナの声が横から聞こえてきた。声が聞こえた方に視線を向けるとそこには、俺が斬竜双撃で破壊したキラーマシンの剣を持ったマキナがこちらへ向かってきていた。
しまった! やっぱりキラーマシン2はマキナの罠か!
恐らくマキナはキラーマシン2を見た俺がライデインを使ってくるのを読んでいたのだろう。それでライデインがキラーマシン2に当たる直前に背中辺りから脱出して奇襲を仕掛けてきたってことか。
ようやく使えるようになった
そんなことを考えているうちにマキナはキラーマシンの剣を俺に向けて振るおうとしてくるが、今からでは防御が間に合わ……!?
オイオイ……シッカリシテクレヨ。頼ムゼ、相棒?
マキナの攻撃を避けられないとわかり俺がダメージを覚悟したその時、頭の中で声がしたような気がした。
「……え?」
「………!?」
すると次の瞬間、俺の右手にあったはずのはかいのつるぎの柄尻がマキナの腹部に突き刺さっていて、全く予期していなかった攻撃に彼女は意識を失いその場に倒れてしまう。
……一体何があったんだ?