「ついにやってきたか……」
雄英高校の入学試験から一週間後。自宅の自室で椅子に座っている俺は一枚の封筒を見ながら呟いた。
封筒には「雄英高校」と書かれており、入学試験の結果がこれから分かるのだと思うと、封筒を開ける手が緊張で若干震える。震える手で封筒を開けると、中に円盤の形をした機械が一つ入っているだけで、機械を机の上に置くと突然機械が起動して光を放った。
『私が投影された!』
機械が放つ光の中に立体映像が浮かび上がり、俺はその立体映像の人物を知っていた。
オールマイト。
日本が誇る名声実力共に世界で最高のNo.1ヒーロー。他の国がヴィランによる犯罪発生率二十パーセントを超えているのに対し、日本だけがヴィランによる犯罪発生率十パーセントを切っているのは彼の活躍のお陰だと言われている「平和の象徴」。
そんな生きる伝説と言うべきヒーローがどうしてこの立体映像に? コレ、雄英高校の受験の結果発表じゃなかったのか?
『何故私がこの映像に映っているか不思議かな? 実は私、今年の春から雄英高校の教師となることが決まっていてね。こうして受験生達への結果発表を伝える役目を引き受けたという訳さ』
オールマイトが、No.1ヒーローが雄英高校の教師に? ……マジかよ?
『さて、時間もないことだし、早速結果を発表しようか! 結論から言うと黒岸健人少年! 君は試験合格だ! おめでとう!』
俺が内心で驚いていると立体映像のオールマイトは早速受験の結果を伝えてきた……って! 合格!
本当!? オールマイト、今合格って言った!? 「不」合格じゃなくて!?
『試験の結果なのだが、筆記試験はギリギリ合格ライン。ヒーロー科の合格者の中ではビリッケツの成績だな。学業の方も頑張りたまえ』
雄英高校に合格したという事実に喜んでいた俺だったが、筆記試験がギリギリだったと言われてテンションが一気に下がった。
あー……。そうか……。色々と不安だったんだけど、筆記試験ビリッケツかー……。
『しかし実技演習試験は素晴らしい! 敵ポイントは81ポイントで一位! 更に実技演習試験では敵ポイントだけでなく救助活動をする事で与えられる救助活動ポイントというものがある。君は実技演習試験で緑谷少……じゃなくて! 一人の受験生の右腕をドラクエのベホマで治したね? 映像から見て緑谷少……んん! 受験生の右腕はバッキバキに折れていたのに、君はそれを瞬時に治した。それが高く評価されて50ポイントの救助活動ポイントが与えられた!』
救助活動ポイント。そんなものがあったのか。でも考えてみるとヒーローは救助活動もする職業だから納得できるかもな。
でもあの時、緑谷の右腕を治したベホマ一回で50ポイントの救助活動ポイントか。ベホマってスゲー。
『敵ポイントと救助活動ポイントの合計で131ポイント! 文句無しで実技演習試験一位の成績だ! おめでとう!』
合格を祝ってくれるオールマイトの言葉を俺は嬉しく感じた。
筆記試験はビリッケツだったけど、実技演習試験は一位。そんなに悪くない結果じゃないか。
『……ところで黒岸健人少年?』
「ん?」
合格を発表してくれたことでもうこの立体映像は終わるかと思っていたのだが、どうやらまだ続きがあったみたいだ。立体映像のオールマイトは先程までのオーバーリアクションから打って変わって、まるで内緒話をするような態度で俺に話しかけてきた。
『実技演習試験で君が見せてくれたベホマを見込んで頼みがあるのだが……。君さえよければ一人の怪我人を見てもらえないだろうか? もちろんこれは強制ではない。しかしもし君の都合が良ければ✖︎月◯日までに雄英高校に連絡を入れてほしい。……では! 春に雄英高校でまた会おう!』
オールマイトはそこまで言うと、最後にまたいつもテレビに見せているオーバーリアクションを見せて、そこで映像は終了した。
しかしオールマイトが俺に見てほしい怪我人? ……一体誰なんだ?