お気に入りやしおり入れてくれた方には申し訳ないので、詫びとしてオグリキャップに甘いものいっぱい食べてもらうSSを書きました。
「エピソード・オブ・スカーレット」の方はそのままのタイトルで投稿し直しているので、改めてそちらを見てくださると助かります。
「なあオグリ」
「なんだ、トレーナー」
「ちょっとこのプラスティックケースを見てくれ」
気取った言い回しをするトレーナーに、オグリキャップが近づく。
「こ、これは……!」
それを見て、ごくりと喉を鳴らす。そう、トレーナーが持っていたのはケーキだった。当人が言ったようにプラスチックに入ったケーキではあるが、オグリキャップの目を惹いたのはある文字だった。
「期間限定っ」
「ふ、そうさ。期間限定のレアチーズandレモンタルトケーキさ」
キラリと真っ白な歯を見せて笑うトレーナーを見向きもせず、オグリキャップはひたすらにケーキを見つめていた。
白のレアチーズに淡い紫色のブルーベリーソースがかかったケーキ。半分に区切られた容器のもう片側には、鮮やかな黄色が彩るレモンタルトが置かれていた。サイズはそう大きくなく、ぺろりと食べられてしまうほどしかない。
「トレーナー、これは私のか?」
「ん?」
男は問われ、頷くか迷う。オグリキャップに持ってきたのは事実であるが、ここまで興味を示すと思っていなかったのだ。どうしようか悩んでいるうちに、オグリキャップから再度声がかかる。
「……違うのか?」
ひどく悲しそうな声だった。耳が垂れている。トレーナーはからりと笑い、いや、と首を振る。
「ふ、こいつはお前のものだよ、オグリキャ」
「そうか!」
男の声は途中で吹き飛ばされ、オグリキャップによって手早くケーキは処理されていく。
「トレーナー、このケーキ美味しいな!」
オグリキャップのトレーナー足る男ではあるが、やはりオグリキャップが一番輝いているのはレース中でも勝利後でもなく食事中なのではないかと、そう思うのであった。
ある日。
「へいオグリ、この箱を見てくれ」
「なんだ、トレーナー。それは?」
問いかけられ、男はゆらりと手に持つ箱を揺らす。
中身はオグリキャップへのプレゼントなのだが、彼女はまだそれに気づいていない。トレーナーはニヒルに笑い、その旨を伝える。
「これはお前へのプレゼントさ」
「なに、食べ物か?」
第一に食べ物と言う辺りオグリキャップらしいが、トレーナーが買ってきたのはその食べ物なので否定せず頷く。
「ふ、そうさ。食べ物だよ」
「そうか…!トレーナーの買ってくる食べ物は美味しいから楽しみだ」
箱を渡し、手渡されたそれをオグリキャップはそわそわとした面持ちで持つ。
「トレーナー、これは今開けてもいいのか?」
「おうよ」
キラリと笑う男はいつも通り見向きもされず、オグリキャップは耳や尻尾をよく揺らして箱を開けていく。大きな箱の中に小箱があり、それは細長い形状をしていた。横に長く、大きくはない。開いてみると、中には丸型のお菓子がプラスチックケースに綺麗に収まっていた。
「これは?」
呟くオグリキャップに、トレーナーはさらっと答える。
「マカロンさ」
「マカロン?」
「名前は知ってるだろ?」
「あぁ、食べたことはなかったが……そうか、これがマカロンか……!」
口元に笑みを浮かべ、彼女はプラスチックの蓋を外して一つ目を取り出そうとする。そして止まった。
「どうした?」
「いや……どれから食べればいいかわからなくてな」
マカロンは白、茶、緑、桃、黒の五色に分かれていて、それぞれ一つずつしかない。ケースに個々の味が書かれていて、左から順にバニラ、チョコ、抹茶、苺、ゴマとなっていた。
「好きなものから食べればいいさ。全部お前のものなんだ」
ふ、っと笑いオグリキャップへ好きにしろと言う。
それを聞き、彼女はこくりと頷きごくりと喉を鳴らす。
「トレーナー…!これは、美味しいぞ!」
またとても美味しそうに喜んで食べるオグリキャップを見て、トレーナーは満足感に浸る。やはり、オグリキャップは食べている姿が一番良いと。
ちなみに、どれが一番美味しかったかと聞いたところ、どれも美味しすぎてわからないという答えが返ってきた。オグリキャップらしい回答である。
超突発で作ったので、この世界線でのオグリキャップはこうだと思っておいてください。
短編はまた何か書くと思います。それでは。