ヱヴァンゲリヲン新劇場版 式波ヴンダー√   作:ASNE

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Twitterに流れてきた『式波ヴンダー』に大いに刺激され、衝動的に書きました。後悔はしてません。


The boy saved the girl

本来の歴史であれば第9の使徒襲来時、碇シンジは式波・アスカ・ラングレーを取り込んだエヴァ3号機/第9の使徒と戦うことを拒否し、また救うという決断を下せず、ダミープラグに強制的に切り替えられて殲滅させられてしまい、惹かれ合っていたシンジとアスカの関係はここで亀裂が入ってしまい、お互いの心にしこりを残すことになった。

この経験からシンジは、第10の使徒戦において零号機ごと取り込まれた綾波レイを救うべく覚醒を遂げ、綾波レイを取り込んだまま初号機はヴンダーの船、AAAヴンダーの主機として利用された。

―ならば、もしシンジがアスカを助けていればどうなったのだろうか?

これは、シンジがアスカを助けることを選択した世界線である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シンジ、何故戦わない』

「だって、アスカが乗ってるんだよ、父さん!」

二子山にて、初号機が3号機に押さえつけられて首を絞められ、そこから浸食を受けていた。3号機はテストパイロットとして乗っていたアスカごと第9の使徒に乗っ取られ、背部からはみ出しているエントリープラグからそれを悟って戦えなくなってしまっていた。

『それは使徒だ、我々の敵だ』

「でも……それでも、アスカが乗ってるんだ!父さんは僕にアスカを殺せって言うのか!?」

シンジにはわかっていたのだ。このまま戦えば、アスカを殺してしまうかもしれない。……自分が心惹かれ始めている少女を。そんなこと、出来るはずがなかった。……だが、

(本当に、それでいいのか……?)

シンジの心に、己の行動に対して疑問が生じ始めていた。このまま自分が戦うことを拒否していても、アスカが戻ってくる訳ではない。父も、黙っている訳ではないだろう。何かしらの手段を講じて、初号機を強制的に動かすつもりだろう。……そうなれば、中に囚われているアスカの命の保障はない。

『初号機の制御システムを、ダミーシステムに切り替えろ』

『え!?』

『本気か、碇』

『子供の駄々に付き合っている暇はない。やれ』

『は、はい!』

(……まずい!)

シンジはゲンドウの言葉から初号機の制御権を奪われることを悟り、焦り始める。

(もう時間がない……)

そんな時、シンジの耳に声が聞こえた、気がした。

『助、けて……シンジ……』

シンジは目を見開いた。シンジの脳裏に、走馬灯のようにアスカとの思い出が駆け巡る。いい印象を持たなかった最初の出会い、一緒に暮らし始めた時のハプニング、第8の使徒殲滅後の夜の語らいで、縮み始める距離。心地よい同居生活、惹かれる心。……シンジは、覚悟を決めた。

(アスカを、助ける。男だろ、碇シンジッ!)

マヤがキーボードをたたき終えて制御がシンジから奪われる正にその瞬間、タッチの差で初号機が動き始めた。

「うわあああああああああッ!」

『何?』

初号機の首を締め上げる3号機の背から生える第三、四の手の手首を強い力で掴み、握りつぶそうとする初号機。その瞳が輝き、カットされていた神経接続が戻り、シンクロ率が急上昇し始める。マヤは既に操作を完了していたが、何故かシステムが反応しなかった。

『ダメです、ダミーシステムが反応しません!』

『なんだと?』

『カットされていた神経接続、強制的に戻されました!』

『同じく、シンクロ率急上昇中!』

『碇、まさかこれは……』

『馬鹿な、予定にないぞ』

何やら本部が騒がしいようだが、シンジにはそちらに構っていられる余裕はなかった。神経接続が通常に戻ったため浸食の影響をもろに受け、その痛みと戦いながら初号機を操る。

「この……アスカを、返せええええええええッ!」

 

 

 

 

 

 

 

十四年後、ヴィレが所有する戦艦、AAAヴンダー内の隔離室にて。シンジはアクリル板越しに、ミサトから説明を受けていた。

「どういうことですか、アスカが居ないって!確かにあの時、僕が助けたのに……」

「落ち着きなさい。……私は、サルベージ出来ていないと言っただけよ。アスカは、居るわ」

「居るって何処に……」

『ここよ、バカシンジ』

シンジはその声を聞いてばっと振り返る。彼の後ろからは液晶板を張られたパネルがせり上がり、そこにはテストスーツを着たアスカの等身大の姿が映し出されていた。

「……アスカ?」

『久しぶりね。と、言ってもアタシも今さっき目覚めたばっかなんだけど』

「……ミサトさん、どういうことですか?」

シンジは体の向きを元に戻し、ミサトに説明を求めた。ミサトは一つ溜息を吐くと、先ほどとは少し違った柔らかい口調で話し始めた。

「アスカは、この船を動かす主機として利用されている初号機の中に居るのよ。……なぜか、こうして艦内に出現出来るけど」

『今のアタシは肉体を失った状態だからね。……ミサト、少しの間二人だけにして。お願い、大事な話なの。……無茶言ってるのは、分かってる』

ミサトは黙ってシンジとアスカを見て、立ち上がった。

『ちょ、ミサト!?』

「監視カメラと、音声の録音はさせてもらう。それでいいわね」

「それって……」

シンジとアスカの顔色がぱっと明るくなる。それに慌てたのはサクラだ。

「艦長、しかし……」

「私の判断です。……鈴原少尉、二人を信じて上げて」

いつになく柔らかい口調で告げるミサトにサクラははっとし、敬礼すると部屋を急いで出て行った。ミサトは制帽を深く被り直すと、黙って部屋を出て行った。そこに残されたのは、シンジとアスカの二人きり。二人は向き合い、液晶板越しに手を触れ合わせた。

「アスカ……良かった」

『アタシこそ……ありがとう。アタシを救ってくれて。……アタシに、居場所をくれて』

 

 

 

 

 

 

 




設定
・この世界で初号機に取り込まれたのはレイではなくアスカ
・零号機は健在、原作の2号機同様左腕を失い、換装可能な義手パーツになった
・2号機は無傷のまま、ヴンダーに予備機として搭載
・アスカは自在にヴンダー内を動き回れる、魂のみの電子生命体のような状態
・レイ、マリ28歳
・シンジとアスカは結ばれている←ここ重要
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