ミサトは体中の痛みで、目を覚ました。
「あ、れ……」
「気が付いたか、葛城」
ミサトが目を開けると、目の前に座り込む加持の姿があった。どうやら自分は、救護用テントで寝かされていたらしい。包帯が体のあちこちに巻かれ、右腕にはギプスが固定され、点滴もされていた。
まだぼんやりしている頭を再起動させながら、ミサトはゆっくり体を起こした。
「確か、3号機にパターン青があって、それで……」
「……アスカを侵食し、乗せたまま3号機は、いや、第9の使徒は侵攻を開始。初号機が応戦し、一時押されかけながらも使徒と戦った」
「シンジ君が……戦ったの?」
「ああ……世界を救うためというよりかは一人の大切な少女を救うためにな。……そして、ケーブルが切られて活動限界まで陥りながらも覚醒。アスカを救出し、そして……」
そこで言葉を切った加持はテントの入り口をくぐる。ミサトがその後に続くと、見えた光景に絶句した。
「何、これ……」
「シンジ君がアスカを助けた結果だ。サードインパクト……いや、途中で中断されたからニア・サードインパクトだな」
ミサトの目の前には、巨大なクレーターがその底、中心に槍で貫かれ、固定されている初号機の姿が。―その周囲に立つのは使徒封印呪詛柱。その横では、ボロボロになった3号機が回収されていた。
「使徒封印呪詛柱……?」
「ああ。あそこまでの力を見せた上、第9の使徒を取り込んだんだ。……第10の使徒として認定されたよ」
「……そう」
「……二人が憎いか?」
ミサトは加持の言葉に複雑そうな表情を浮かべた。
「よくわからないわ。確かに憎い、と思ってしまう面もある。……でも、私のそういう感情以前に、あの二人は大切な家族だもの」
「……そうか」
「処理は、されないのよね?」
「それは大丈夫だろう。ニア・サードインパクトは碇司令が仕組んだものだ。……どうやらアスカではなく綾波レイを使う予定だったらしいがな」
「レイを?」
「おそらくこれで終わりじゃないだろうな。これから忙しくなるぞ」
「……そうね」
そして、色々な出来事が起きた。第11の使徒の襲来、サードインパクト、WILLEとNERVの戦い。
……舞台は、14年後に移る。
WILLEによって敢行された初号機奪還作戦、通称US作戦。その佳境で、封印柩に潜んでいたEvangelion Mark.04Bの妨害を受けて零号機改は窮地に陥る。
「本部、規定コースを維持できない……このままだと機体が分解する」
『作戦続行……機体を失っても、目標物を離さないで』
「了解」
表面上は平静を装ったものの、レイは内心死にたくはなかった。この14年間、ゲンドウの支配から解き放たれ、シンジのために信頼できる仲間と共に戦い続けてきた。その中で人間らしい感情を身に着けてきたレイは、死に対する恐怖、生に対する執着を覚えていた。
(まだ、死ねない……碇君にもう一度会うまでは……)
「碇君……」
レイは歯を食いしばりながら、ぽたりと涙を垂らす。
―次の瞬間、封印柩がひび割れ、光線が放たれてMark.4Bは殲滅された。
「……碇、君?」
そして、少年少女を納める柩が地上へと帰還した。
次回から、本格的に式波ヴンダーのお話が始まります。大筋は変えず、スパロボ風の展開を混ぜていきますのでよろしくお願いいたします。