初号機のコアにダイブしたアスカ。その深淵で、アスカはコアに取り込まれた碇ユイと出会った。
「貴女、式波タイプね?」
「……私は、アスカ。式波・アスカ・ラングレー。『式波タイプ』って呼ばないで」
むっとしてアスカが言い返すと、ユイははっとした表情を浮かべ、苦笑した。
「ごめんなさい、気に障ったかしら」
「……別に、気にしてません」
「あらあら。……座って」
ユイはポンポンと自分の隣の地面を叩き、アスカはそれに応じて隣に腰を下ろした。
「さて、とても珍しいお客様。貴女はどうしてここに来たの?」
アスカは待ってました、とばかりにユイに本命の質問を投げかけた。……全ては、大切な人を護るために。
「今、碇ゲンドウは人類補完計画を為そうとしている。既にニア・サードインパクトによって地球の大半がコア化してしまった。……そのトリガーにされたのは、シンジ(とアタシ)よ」
「……」
「教えて。あの男は、息子を人柱にしてまで何を為そうとしているの?」
アスカの視線が鋭くなる。すると、ユイは溜息を吐いてポツリと言った。
「……私に、会いたいのでしょうね」
「え?」
「あの人は、人と付き合うのが苦手というか、避けているというか……自分の心に閉じこもりがちなのよ。私は大丈夫みたいなんだけどね……」
「!」
(へえ……シンジと同じ、いや、それ以上に人と触れ合うのが怖い人だったんだ)
「おそらくだけど、私が初号機に取り込まれたから取り戻そうとしている。でも、普通の方法ではそれが叶わない。だから、エヴァンゲリオンや使徒を利用してインパクトを起こし、その中で私にもう一度会おうとしている」
「……無茶苦茶ね」
「それは貴女もよ。本当ならここに人、リリンは入ってこれないはず……!?もしかして貴女……使徒と混ざったの!?」
ユイは少し考え込んだ後、はっとしてアスカの顔を見た。アスカはバツの悪そうな表情をして顔を逸らす。
「起動実験で乗った3号機が使徒に寄生されてて……それで14年かけて混ざり合ったみたい」
「……あの人は……」
ゲンドウの意図に気付いたユイは、頭を押さえて項垂れた。
「どうしたの…ですか?」
「……ゲンドウさん、貴女をインパクトのトリガーにするつもりよ」
「は!?」
ユイは溜息を吐くと、推測したゲンドウの意図を語り出す。
「この初号機はね、希望のエヴァンゲリオンなの。そして、このエヴァと対になるエヴァンゲリオンもまた存在するのよ。絶望のエヴァンゲリオン……エヴァのラストナンバー、エヴァンゲリオン第13号機。第1の使徒アダムスの力を持つそのエヴァは、使徒を贄として覚醒する……貴女も利用される可能性があるわ」
アスカは一瞬顔をしかめたが、すぐに毅然とした表情を浮かべた。その瞳には、強い決意が宿っている。
「だとしても、アタシは戦うわ。シンジはアタシを命がけで救ってくれた……ヒトから外れることも厭わずに。だから、アタシは戦う。シンジの居場所を守るために……この身を懸けても」
「……決意は固いみたいね」
「あったり前でしょ。……アタシはシンジに出会うまで、幸せって何なのか分からなかった。生き延びるために、訓練漬けだったしね。親もいないから、愛されるって何なのか分からなかった。でも、ミサトに出会って、シンジに出会って……幸せって何なのかようやく分かった気がする。アタシは独りじゃないって分かったから……アタシは皆を、大切な居場所を守るために戦う。……だから、インパクトはアタシたちが止める」
アスカが訥々と語ったのは、彼女の本音と、決意だった。重い過去を乗り越え、未来へと進もうとする意志が言葉に宿る。
「……なら、貴女にシンジを託します。どうか、あの子を守ってあげて」
「言われなくても、シンジはアタシが守るわ。じゃあね」
アスカはふわりと浮き上がり、コアの深淵から現実へと帰還していく。そんな彼女を見上げながら、ユイは笑顔で見送る。
「……いってらっしゃい。あの人をよろしくね」
意識を浮上させ、ヴンダー内に戻ったアスカを待っていたのは―凶報だった。
「―シンジが、NERVに攫われた!?」
一か月以上お待たせしてすいません。ぼちぼち不定期ですが更新再開します。