ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

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つかの間の休日は、フラグが多過ぎる!

 ダービーの死闘から早数週間。

 

 我がチーム“デネブ”の面々は、全員気が抜けていた。

 

 と言うのも、いま眼の前に特に目標が無いからだ。

 

 シルさんは春シーズンの疲れを抜くために休養しており、秋までレースに出る予定はない。

 

 アルさんもデビューはまだ先で、ゆっくり調整するようだ。

 仕上がりが速いウマ娘はデビューの時期が近付いているが、これには理由がある。

 

 原作では臆病さゆえデビューが遅れたアルさんだが、別に臆病ではない。

 と言うのも馬とウマ娘の違いから、牧場に来たマナーの悪い人間にいじめられる様なエピソードが無かったのだろう。(と言うか、そもそも牧場に住んでないし)

 

 じゃあ何故デビューが遅れるかと言えば、アルさんと同じタイプであるサイレンススズカを見れば解る。

 スピードが速すぎて足に負担がかかり過ぎるのだ。

 

 恐らくデビューは秋以降、それも足に負担の少ないダートになるだろう。

 何なら、パワーは居るがより砂が深くて柔らかい地方のレースでデビューする可能性もある。

 アニメのハルウララの様に、中央のトレセン学園から地方のレースに出るのは珍しく無いらしい。

 

 

 まぁ兎にも角にも、焦ってデビューする事なく慎重に調整されているのだ。

 

 私としても絶対にアルさんを故障させたくないだけに、死亡フラグの見極めが大切になる。

 無理をしている様子があれば、トレーナーや他のみんなに相談してでも止めないといけない。

 

 

 と言うわけで、練習に気が入らない私たちを見かねて、ひかりさんから気分転換するように言われていた。

 

 

 

 

 

 

 街をブラブラ歩いていた私たちだが、シルさんが不意にペットショップに入ろうと言い出した。

 

 気性が悪い馬でも猫と一緒に暮らさせると落ち着くことがあると言う現実のエピソードもあり、ウマ娘は本能的に小動物が好きなようだ。

 

 そんなこんなで、猫のコーナーを見てる私は、非常に癒されている気がします。

 アルさんとストさんは、犬のコーナーでじゃれ付かれて楽しそうにしています。

 

 シルさんはウサギの…

 

 

 

 ウサギ?

 

 

 

「ウサギって逃げていくかと思ったのに、キミはウマ懐っこいね」

 

 シルさんに一羽のウサギがじゃれ付いている。

 しゃがんだシルさんの膝の上に乗り、更に上に登ろうと体を伸ばしている。

 

「みぃみぃ」

「うんうん。よし、キミの名前はテツローだよ!」

 

 …やめて!その名前はシルさんの死亡フラグだから!!

 

 

 

 そう言えば残りのマキちゃんは何処に居るのかと思うと、ハムスター何かのコーナーに居た。

 

 

 …ハムスター?(=ネズミ?)

 

 

 

「可愛いのね、可愛いのね。あっ、登ってきたのね。」

 

 マキちゃんの身体をとっとこ走って、頭の上に座るハムスター。

 

「チュウ兵衛、頭の上が気に入ったのね。一緒にレースに出るのね!」

 

 …やめて!その名前と行動はハムスターの死亡フラグだから!!

 

 

 

 

 

 結局、みんなペットを購入する事は無かった。

 て言うか、トレセン学園は全寮制なのでペットは買えない。

 

 シルさんはウサギとの別れを惜しんで、何度も振り返っていた。

 それに比べればマキちゃんは意外とサバサバとしている感じだが、いつもより呆けた顔をしている気がする。

 

「そんなにペットが飼いたければ、預けられる場所があるぞ。」

「えっ、嘘?どこどこ?」

 

 ストさんの言葉に、シルさんが食いついていた。

 マキちゃんも目を輝かせて聞いている。

 

 そんな二人の様子に、ニヤニヤしながらストさんが答える。

 

「ひかりさんの家」

「「その手があったか~!!」」

 

 …まぁ確かに職員はペットが飼えるのだろう。理事長と猫の例もあるし。

 シルさんとマキちゃんは何やらひそひそと相談しているが、私にはフラグにしか見えない。

 

 そんな風に人を煽るだけ煽りつつ、ストさんは他の場所を見る。

 

「私はペットよりもバイクとか欲しいなぁ~」

 

 ストさんは、バイクショップを眺めながらそんな事をつぶやく。

 

「そんで、妹を後ろから追いかけてやるんだ。きっと驚くぞ~」

 

 …止めてあげて!妹の気性が荒くなっちゃうから!!

 この世界に騙馬の概念があるか解らないけど、何か嫌な予感するし!

 

 って言うか、やっぱり妹居るんですね。

 と言う事は他の先輩にも…

 

「そう言えば、うちの妹は元気かしら…」

 

 アルさんの妹は、きっとアルさんにそっくりな娘だろう。

 …アルさんより年下と言う事を考えると、私と同じ年代じゃないと良いけど。同じだともれなく狂気の爆弾娘もついて来そうだし。

 

「マキちゃんは妹は居ないんですか?」

 

 アルさんは自分の妹の話に続いて、マキちゃんに話を振る。

 

「私?解らないのね!」

 

 マキちゃんは居る・居ないじゃなくて解らないと答える。

 

「おかあちゃんは小さい頃に出稼ぎに行って、長い事会って無いのね。妹が居る可能性はあるけど、解らないのね!」

 

 明るく言っているが、やや重い話であり他のメンバーは気を落としている様子。

 話を振ったアルさんがやや気を使いながらも話を続ける。

 

「マキちゃん、お母さんに会えなくて辛くない?」

「うぅん、私よりシルさんの方がツラいのね。だから全然平気なのね!」

 

 確かにシルさんは母親を亡くしているので、それに比べればマキちゃんは幸福とも言えるのだろうか。

 

 まぁ私的には公式チートなマキちゃんの妹が、同年代に居なければ良いなぁとは思う。

 公式チートなシルさんの孫との対決も見て見たくはあるが、そんなウマ娘が一緒だと、モブウマ娘の私は勝てる気がしない。

 

 そんな事を考えていたら、私まで落ち込んでいる様に見えたのか、シルさんがみんなの肩を叩く。

 

「ほらほら、いつまでも辛気臭くしてないで、カラオケでも行こーよ!」

「あ~、たまにはカラオケも良いよな!」

 

 暗い雰囲気を飛ばそうと、シルさんとストさんの主導でカラオケへ行くことになった。

 

 

 

 

 

 こうして、私たちの休日は過ぎていった。

 

 なお、後日ひかりさんちにペット用のケージや餌がたくさん届き、若干2名が凄く怒られていた。

 うん、相談せず勝手にやるのは死亡フラグだよね。




本当のフラグが立ったのは誰かって話。
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