ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

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合同合宿(中等部1年)ミニレースその1

 今日は合宿折り返しの4日目。

 ひかりさん達、トレーナーの話し合いの結果、今日はミニレースを行う事になった。

 

 各チームのメンバーを3つに分けて、砂浜の直線のみだが距離1400mを3レースを行う予定だ。

 レースの組み合わせを見ると、凄い組み合わせになっていてとても楽しみです!

 

 

 当事者じゃ無ければ。

 

 

 えぇ、そりゃ私もデネブの一員ですから走りますよ。

 

 

 練習には何とか付いていけてますけど、このメンバーでどれだけ私がやれるでしょうか?

 せめてみんなに呆れられない様に頑張りましょう。

 

 

 そんな事を考えていたら各チームが集合してきました。

 

 

 …何かベガのメンバーの様子がいつもと違います。

 

 

「先輩、今日の私はとても調子良いで~す!」

 

 いつもダルそうにしていたヘルメス先輩は、今日はもの凄いしゃっきりしている。

 

「体が軽い。こんな気持ちで走るの初めてかも知れない」

 

 何やら死亡フラグっぽいこと言ってるけど、ランナクローズ先輩は日差しの強い所で気合を入れている。

 

「妹に真面目にやれって怒られた…今日は真剣に走る」

 

 携帯を手放さなかったピーターツー先輩は、今日は携帯を持っていない。

 

 

「おぅおぅ、ようやくやる気だしやがったな!かっかっかっ!」

 

 高笑いをするホクトベガさんの姿に、今日のレースはキツイものになる予感がした。

 

 

 

~第一レース(シルフィード、アルフィー、カスケード、ピーターツー)~

 

 

 このレースはスタートを切ってすぐ、スタートダッシュを決めたアルフィーが先頭を伺うが、もの凄いペースでピーターツーが更に前に出た。

 

 一瞬、無理をしてでも更に前へ出ようかと思ったアルフィーだが…

 

「(前はあのペースなら潰れますね。ならば怖いのはむしろ…後ろ!)」

 

 自分のチームのエースと、不気味に控える黒い後輩の姿を考えて控えることにした。

 

 

「(ふふふ、予定通り。)」

 

 先頭を取ったピーターツーは、最初の200mを猛スピードで走り…

 そして次の200mを気づかれないようにペースを落とす。

 

 真後ろを走るアルフィーは、先頭との距離が縮んでいく様子に自分のペースが上がったのかと錯覚する。

 

 更に次の200m、ピーターツーは更にペースを上げる。

 今度は開いていく差に、焦って速度を上げようとするアルフィーの姿に後ろから声がかかる。

 

「アルちゃん、自分のペースで走らないとダメだよ」

 

 レース中だと言うのに、後輩を案じて声を掛けるシルフィード。

 アルフィーは逃げの後ろに着いていた筈の自分に、いつの間にかシルフィードが迫っている事を察する。

 

 そしてその様子から、ある事に気が付いた。

 

「…私のペースが落ちていたんですか!?」

「あの子凄いね。完全に自分の体内時計に自信を持っている。ボクも参考にしたいくらいだよ」

 

 そんな話をしている間にもレースは終盤にかかり、残り400m。

 

 シルフィードがスパートを開始するが、ペースを乱されたアルフィーは思うように加速出来ない。

 

 

 そして…そのシルフィードに着いていく黒い影。

 レースの最初から最後まで、シルフィードだけをマークしていたカスケードも上がっていく。

 

「(マックス先輩のライバルであるシルフィード先輩…胸をお借りします)」

 

 後ろから迫るプレッシャーに、思わず後ろを確認するピーターツー。

 その眼には恐ろしい勢いで近づいてくる白と黒の娘が見える。

 

「(えぇ?ペースを乱せなかった?…それでも!!)」

 

 何とか振り切ろうと最後の力を振り絞るピーターツー。

 残り100mで再度後ろを振り返り、まだ2バ身程の余裕がある事を確認する。

 

 勝ちを確信するが…

 

 

 その時、外からレースを見ていたマキシマムが楽しそうに話す。

 

 

「シルに勝ちたかったら、あそこで後ろを気にしてなんか居たらダメ」

 

 

 その言葉に反応するかのように、2段目のスパートが火を噴く。

 

 

 2バ身あった差は、あっという間に詰まり…

 

 

 最後は逆に2バ身の差がついていた。

 

 

~レース結果~

1着 シルフィード

2着 ピーターツー 2バ身

3着 カスケード  1バ身

4着 アルフィー  2バ身

 

 

 

 

 レースはシルさんが差し切って勝ったが、チームとしてはアルさんが最下位になってしまって残念半分と言った感じだ。

 

 俗にピーターツーペースと呼ばれている、速いラップと遅いラップを繰り返す逃げ。

 それに惑わされなかったシルさんは、どこか原作の記憶が魂に残っているかの様な感じがする。

 

 何故なら、ピーターツーペースはシルさんの原作で阪神大賞典の時に、自ら(騎手が?)が修得した物と同じですから。

 

 アルさんは、初めて体感する全速で逃げるだけでない逃げ方に、戸惑っての結果でしょう。

 

 肩を落とすアルさんだが、ひかりさんやホクトベガさんが声を掛けているのできっと大丈夫だろう。

 

「マックス先輩、すみません負けてしまいました」

「…シルにあれだけ付いて行ったんだ。今はそれで十分」

 

 一方のカスケード先輩も3着の結果に残念がるが、マキシマム先輩が慰めていた。

 

 

 そしてピーターツー先輩は…

 

「負けた…妹に勝ってくるって言ったのに…」

「年上のダービーウマ娘と良い勝負したんだから、きっと大丈夫ですよ~」

 

 うん、本当にぶれないシスコン振りだ。

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