ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

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合同合宿(中等部1年)ミニレースその2

 まもなくミニレースの第二レースが始まる。

 私が出るのは最終レースなので、このレースもまだ楽しんで見られる。

 

 走るメンバーは、うちのチームからストさん。

 アルタイルがマキシマム先輩にフェアちゃん。

 ベガがランナクローズさんだ。

 

 ちなみにランナクローズさんは、私やフェアちゃんと同学年らしい。

 クラスが違うのもあって、今まで全然気が付かなかったけど。

 

 

 この様子だと、まだ私の知らない強豪ウマ娘が同学年に居そうな気がします。

 

 

 まぁ、この第二レースに関しては正直言ってマキシマム先輩が抜けている。

 第一レースをの結果からも解るが、実際のレースを走ってきたウマ娘とデビュー前のウマ娘ではそれだけの差がある。

 例えどんなに才能があってもだ。

 

 

 だけど、才能だけならこの人はどのウマ娘にも負けていない様に、私は感じている。

 そして、ひかりさんも同じ考えの様だ。

 

「イーグル、マキシマムは強いですけど私はあなたの潜在能力を信じてますからね」

「まぁ、負けるつもりでは走らないですよ」

 

 レース前のストさんにひかりさんが話しかけるが、ストさんは相変わらず飄々としている。

 周りを見ると、他のチームもそれぞれ出走する娘にトレーナーが話しかけていた。

 

「マキシマムは自由にやって良いわ。クロスは無理しない程度に着いていきなさい。練習で怪我することは無いわよ」

「わかりました、ひびきトレーナー」

「頑張ります!」

 

 アルタイルのトレーナーは、出来るトレーナーと言った感じ。

 どことなくだけど、リギルのトレーナーの様な雰囲気もする。

 

「ランちゃ~ん、しっかり走るのよ~」

「はい、はるかさん!」

 

 ベガのトレーナーは、何だかぽわぽわした感じの人だ。

 ホクトベガさんが絞めて、トレーナーさんが緩めるのがチームベガなのかも知れません。

 

 

 

第二レース(ストライクイーグル、マキシマム、フェアリィクロス、ランナクローズ)

 

 スタート直後、ランナクローズ以外の三人が前に出て競り合う。

 絶対的な逃げ馬が不在のレースのため、自然と押し出される格好だ。

 

 

 レースは徐々にペースが上がっていくが、楽にペースを上げるマキシマムに残りの2頭は必死に食らいついていた。

 

「(くそ、外から見てるより全然キツイ)」

「(ぷひ~、先輩ペースが速過ぎますよ~)」

 

 徐々に置いて行かれる2人に対して、残り400mでランナクローズが仕掛ける。

 

 足を溜めていたランナクローズは、ストライクイーグルとフェアリィクロスを一気に抜き、マキシマムに迫っていく。

 

「(走るの楽しい!なんて調子が良い日なの!)」

 

 体が弱く、調子で言えば絶不調の日が基本の彼女は、絶好調で走っている今日のレースが楽しく、思わず笑みがこぼれていた。

 

 

 だが、抜かれた側に抜いた側の思いは解らない。

 

 

「(あんにゃろ~、舐めてんじゃねぇ!!)」

「(ぷひ~!絶対負けない!!)」

 

 故に、その笑みを見下されたかの様に受け取った2人のスイッチが入る。

 

 

 さて、ランナクローズはマキシマムをも一気に抜こうとするが、

 並びかけたと思った瞬間に、一気にマキシマムの速度が上がる。

 

「(えっ?今までのはスパートじゃ無かったの?)」

 

 競り合ってスイッチが入ったのか、一気に2バ身から3バ身の差をつけるマキシマム。

 ランナクローズは、置いて行かれまいと必死に走るが…

 

 

 前との差は詰まらず、後ろとの差が詰まっていた。

 

 

「(追いついたぜ、かなりしんどいけど)」

「(私が、絶対に、勝つんだ!)」

 

 抜いたはずの2人に追いつかれたランナクローズは、その事により一層笑みを強める。

 

 

「アハハ~、レース楽し~!!」

 

 

 前を走るマキシマムがゴールを過ぎる。

 一瞬遅れて3人がゴールするが、最後まで誰も抜け出せず、競り合ったままだ。

 

 マキシマムと他の3人の差は、結局詰まりはしなかったが離れもしなかった。

 

「(振り切るつもりで走ったけど…強いウマ娘は後輩の中にも居るのね)」

 

 突き放した後に差を開かずに着いて来た3人を、マキシマムは心の中で認めていた。

 

 

~レース結果~

1着 マキシマム

2着 ストライクイーグル 3バ身

3着 ランナクローズ   アタマ

4着 フェアリィクロス  ハナ

 

 

 

 

「っしゃおらぁ!マックスパイセンには負けたけど2着だぜ!」

「ぷひ~、負けたよ~…」

「アハハ~、楽しかった~」

 

 レースの様子を離れた位置で見守る各チームのトレーナー達。

 

 デネブのトレーナー駿川ひかりは、レースの内容に思わず笑みが零れる。

 

「本当に助かるわ。うちの娘達は第一レースで考えて逃げる娘が居る事を学ばせて貰ったし、第二レースでは一番根性が無いと思った娘が根性を見せてくれたわ。」

 

 その言葉に、アルタイルのトレーナー匠ひびきも楽しそうに話す。

 

「いえいえ、うちの方こそ他のチームにライバルが居ると言う事を実感したでしょうし、これからの練習に身が入りますよ」

 

 ベガのトレーナー陽川はるかは普段と変わらないぽわぽわした様子だが、2人同様にレース結果には満足していた。

 

「うちのピーちゃんはただうまく逃げるだけじゃ勝てないって解ったし、ランちゃんは走る楽しさを感じてるみたい。ひかりちゃんとひびきちゃんと、じっくり組み合わせ考えたかいがあったね~。」

 

 3人のトレーナーはそれぞれのウマ娘の成長を考え、もっとも良いと考える組み合わせでレースのメンバーを考えていた。

 

 

 そして、最終レースがもうすぐ始まる。

 ひかりは、そのレースに出る娘達の事を考えていた。

 

 

「(マキバオーはきっと問題ない。ただイッキ、あなたはこのレースでしっかりと感じてくれないと困るわよ?)」

 

 ひかりは自分のチームの一番若い娘の事を思い、不安げな表情を見せていたが…

 

「大丈夫よひかりちゃん。自分のチームの娘を信じるのよ~」

 

 笑顔で話しかけるはるかに、ひかりもまた思わず笑う。

 

「ふふっ、本当にあなたは私の考えている事を解っているみたいに話すわね」

「そりゃあ友達だからね~」

 

 

 レースに対する思惑は別にして、トレーナー達の間には暖かな空気が流れていた。

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