ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

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某チームベガ

「お前さん、秋はどのレースに出るんでぃ?この前の函館記念勝ったおかげで、もう1個くらい重賞に勝てばある程度はどのレースにも出られると思うぜぃ」
「決まってます。秋シニアウマ娘三冠、全部取ります。そうすれば、あの娘達も止めるために本気になるでしょうから」

「だったら、天皇賞まで余裕をもった方が良いわね~。秋初戦はオールカマー何てどうかしら?」
「そうですね、はるかさんの言う通りにします」


秋のレースは、予想が外れ過ぎる。

 夏の合宿が終わり、9月に入ると私たちの周りは慌ただしくなっていった。

 

 ジュニアクラスのウマ娘は次々とデビューしていき、クラシック・シニアの有力ウマ娘も休養から帰ってくる。

 

 そんな中、私たちチームデネブはミーティングを行っていた。

 

 その議題は、シルさんとアルさんの目標レースについてだ。

 

「シルフィード、菊花賞のトライアルはセントライト記念と神戸新聞杯の2つがあるわ。」

 

 シルさんの目標は菊花賞。

 原作では勝ったレースであるが、シルさんが強くなった分マキシマム先輩も強くなっている気がするので、まったく気が抜けない。

 

「はい!…それで、どっちに出たら良いかな?」

「私としては好きな方に出て構わないし、何なら菊花賞直行でも良いわよ」

 

 ひかりさんが本人の希望を確認する。

 菊花賞を狙うなら調整も込みでレースに出た方が良いが、その先のレースの事を考えれば、鉄砲(休み明けでいきなり目標レースに出る事)も選択肢の一つだろう。

 

 まぁ、シルさんにとってはマキシマム先輩との勝負が一番だろうけど。

 

「う~ん、ボクとしては出来るだけ長い距離を走っておきたいから、神戸新聞杯に出るよ。」

「良いの?マキシマムはセントライト記念に出るって話よ」

 

 どうやらこの前の合同合宿の際にトレーナー同士情報交換していたらしい。

 まぁアルタイル側からしても、本番はともかくトライアルで潰しあうことも無いだろうという考えだろう。

 

「マックスとは本番で決着を着ければ良いよ。ここで気合入れ過ぎて、本番で調子を落としたく無いしね」

 

 シルさんの判断も冷静だ。

 春の様にマキシマム先輩を変に意識し過ぎる事も無い。

 

「ちなみに菊花賞の後、ジャパンカップや有馬記念はどうする?仮にマキシマムに菊花賞で勝ったとしても、年度代表ウマ娘を狙うならどっちかは狙わないと厳しいわね。」

 

 私の考えだと、勝つことだけを考えればジャパンカップが良い気はする。

 有馬記念には恐らくマキシマム先輩や、更に危険な相手である神の名を持つウマ娘が出てくるだろう。

 …そう言えばあのウマ娘が居れば毎日王冠で復帰だろうし、チェックしておくべきでしょう。

 

 対してこの年のジャパンカップは原作で明確な描写が無いが、少なくとも今年のイギリスダービーに勝っているあのウマ娘は出てこないだろう。

 

 それにシルさんは直線の短い中山レース場よりも、直線が長い東京レース場の方が合っているだろう。

 

 

「う~ん、今は考えられないかなぁ~。菊花賞に勝つことしかね」

 

 そのシルさんの言葉に、ひかりさんも頷く。

 何を考えるにしても、菊花賞が終わってからと言う事でチームの皆が認識した。

 

 

 一方でもう一人。

 デビューを控えたアルさんの話に入る。

 

「アルフィー、あなたのデビューもそろそろ良いと思うわ」

「わかりました。デビュー戦は芝ですか?ダートですか?」

 

 アルさんは圧倒的にスピードタイプのウマ娘。

 その特性を最大限に活かすなら、時計の出る芝だが…

 

「あなたに速度が出るレース場を走らせると、それだけ故障のリスクが上がるわ。しばらくは地方のダートを中心に走って貰おうと思ってる」

「ひかりさんがそう言うなら構いません」

 

 まだ身体が出来上がっていると言えないアルさん。

 しばらくは無理をしない事を第一にするようだ。

 

 はからずも、原作と同じ地方のダートでデビューする事になるが、中央と地方では砂の深さが違い、より地方の方がパワーが必要らしいと昔どこかで聞いた気がする。

 

 パワーが必要と言う事は、速度が出ず脚の負担が軽減すると言う事らしい。

 

「そして、アルフィーの今年の目標は全日本ジュニア優駿。川崎レース場のダート1600mのG1よ!」

「…あの娘達は何処を目標にしているんですか?」

 

 アルさんがあの娘達と言うのは、合宿で一緒だったブルーエンブレム先輩とヘルメスさんの事でしょう。

 

 ひかりさんもそれを察して、話を続ける。

 

「合宿の時に聞いた感じだと、ブルーエンブレムはホープフル、ヘルメスは朝日杯を目標にしているらしいわね。」

「なら、私もG1は芝のレースに出たいです。」

 

 

 

「アルフィー、こう言っては何だけどジュニアクラスのG1はクラシックを見据えれば通過点よ。勝てば無理にトライアルを使わくても優先的に出走できるぐらいに考えなさい」

 

「それにね、地方を甘く見る物じゃ無いわ。あのオグリキャップを始め、地方出身のレジェンドウマ娘も居るわ。特にジュニアクラスでは、それが顕著になるのよ。」

 

 確かにその通りだ。

 私は地方と聞いて思い浮かぶ有力馬の記憶を辿っていく。

 

「地方に有力なウマ娘が居れば、学校からスカウトに行くこともある。けれども、それはあくまで地方で結果を出したウマ娘であって、未だ未知の強豪が居る可能性はあるわ。」

 

 現実の馬ならばハイセイコーやコスモバルクやメイセイオペラ、

 漫画の馬ならサトミアマゾンやダブルフェイスやパンドラ等の有力ウマ娘が出てくる可能性がある。

 

 アルさんとは歳が違う可能性の方が高いが、ウマ娘時空は年代が歪んでいるため、何があってもおかしくない。

 

「解りました、油断しないで勝ちに行きます」

「…油断はしないで欲しいけど、無理もしないでちょうだいね」

 

 

 私も、アルさんには無理をして欲しくない。

 

 

 あの兆候を見逃して無理を続ければアルさんは…

 

 

 とそんな事を考えていたら、ひかりさんが手を叩いた後、皆に向けて声を掛ける。

 

「さぁ、それじゃ練習を始めるわよ!シルフィードとアルフィーは目標に向けて練習。他の皆はいつも申し訳ないけど、2人のサポートよ!」

「「「「「はい!!」」」」」

 

 私としてもシルさんとアルさんに勝ってもらいたい。

 その為にも、春から開発を続けていたアレを、まずはシルさんに試してもらおう。

 

 もしも上手く行けば…

 

 

 

 

「シルさん、どうですか?」

「う~ん、ちょっと走り難い感じもするけど…」

「まだ開発途中ですからね。改善のためにも何でも言ってください!」




某チームカノープス

「ねぇ、シャオは次はどのレースに出れば良いの?」
「えぇっと…シャオさんの目標は菊花賞ですけど、確実に出るためにはトライアルで好成績を残す必要がありますね」
「私のデータによれば、マキシマムがセントライト記念。シルフィードが神戸新聞杯に出ると予想されます」


「う~ん…ならシャオは神戸新聞杯に出たい!」
「おっ?無敗の二冠ウマ娘様から逃げるのかい?」


「違うわよ!マックスは本番で倒すから、まずはシルに勝つの!」
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