ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

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Intermission~芦毛の会

 トレセン学園の一角、教室一つを借り切って集まるウマ娘達が居た。

 

 その会合は芦毛の会。

 タマモクロスを会長に、実力ある芦毛のウマ娘達が集まる会合だ。

 

「今日の会合を始めるで~」

 

 ホワイトボードの前に立つタマモクロスの言葉に、皆が注目する。

 …若干一名は眼の前に置かれたお菓子を、無心で食べていたが。

 

「今日の議題は新規会員の参入についてや!」

 

 タマモクロスはホワイトボードをバンと手でたたく。

 そこには二人のウマ娘の名前が書かれていた。

 

「今年ダービーと菊花賞の二冠を達成したシルフィードと、この前の天皇賞(秋)を勝ったヒヌマボークの二人をこの会に誘うかどうか、話し合うで~」

 

 タマモクロスの言葉にまず言葉を出したのは、スピカに所属する二人。

 

「まぁ良いんじゃねーの。G1ウマ娘なら会員資格十分じゃ無い?」

「お二人とも、もっと勝てるだけの実力はあるかと思いますわね」

 

 ゴールドシップとメジロマックイーンは、入会に問題無いとの見解だ。

 最もそれぞれ理由は違い、遊び相手が増える事を期待するゴールドシップと、純粋に実力を認めているマックイーンであった。

 

「うん、私もあの二人は実力は申し分ないと思う。でもここに居るメンバーは全員G1を3勝以上している以上、やはりそこを基準にした方が良いんじゃ無いか?」

 

 次に発言したビワハヤヒデは、実力を認めつつも慎重な意見だ。

 

「またそれかいな。セイウンスカイ何かも、そう言うイチャモン言うから誘ってへんてのに」

 

 タマモクロスとしてはもっと気軽に芦毛のウマ娘に入って欲しいと言う気持ちはあるが、何でもかんでも入れてはキリが無いと言う意見も理解できていた。

 暗黙のルールとなっているG1を3勝は、会長で発起人であるタマモクロスに並ぶ実績を、と言う事で決められていた。

 

「まぁ意見が割れるんも解っとったから、今日は二人について詳しいっちゅう娘に来てもらったで!しかも本人も芦毛やで!」

「「「おぉ~」」」

「(もぐもぐ)」

 

 そう言って紹介されたウマ娘はシンガリイッキであった。

 たまたまタマモクロスと会って話している内に、シルフィードとヒヌマボークを良く知る情報通として今回の会に誘われていた。

 

 ちなみにオグリキャップは、お菓子を御代わりしていた。

 

「あの~、質問して良いですか?」

「なんや?未来の会員候補」

「この会合は結局何をやってるんですか?」

 

 イッキは、急に連れて来られたこの会について理解していなかった。

 ただ、周りに居るのはイッキも良く知る名馬たちであり、少しわくわくしていた。

 

 だが、イッキの質問にタマモクロスはやや困った顔をする。

 

「いやぁ~、改めて聞かれると…何て言うたらえぇんやろ?」

 

 タマモクロスの言葉に、他の会員たちが答える。

 

「う~ん、練習の息抜きの場か?」

「いや、主に情報の交換の場だな」

「私は親睦を深める会だと思ってましたけど」

「みんなバラバラじゃ無いですか!」

 

 だが、その発言は見事にバラバラだった。

 

 そして、それまでお菓子を食べるだけだったオグリキャップも発言する。

 

「(もぐもぐ)…お菓子食べ放題で素晴らしい会だ」

「オグリンは会費で買うてるからって、食べ過ぎやな」

「…私も会費を出してるぞ」

 

 イッキは脱線しそうな様子を感じ、話を元に戻す。

 

「それで、私は二人の事を説明すれば良いのですか?」

「せやな。G1を3勝って条件にこだわる奴もおるし、将来的に達成できそうか、って辺りも含めてくれたら助かるわ」

 

 タマモクロスの言葉に、イッキはまずヒヌマボークについて話をする。

 

「じゃあまずはヒヌマボークさんですけど、今年中に秋古馬三冠を達成する可能性が高いと思います。それで会員資格は十分じゃ無いですか?」

 

 ヒヌマボークについては、いとも簡単にそう話しをする。

 

「…ジャパンカップは海外の強豪も来るし、有馬には君ん所のシルフィードやマキシマムも出るんやで?」

 

 そう、その発言は自分のチームの先輩が負けると言っている様な物である。

 それは原作のイメージが強く残っているイッキが、有馬記念はヒヌマボークが勝つと言うイメージが抜けない事から来ていた。

 

「私の考えでは現時点ではヒヌマボークさんの方が完成度が高いと思っています。あくまで現時点で、ですが」

「ふむ、完成度に関しては私も同じ考えだ。天皇賞を見たが、アレは底が見えない」

 

 イッキの言葉にビワハヤヒデが頷く。

 この場に居る一流のウマ娘達は、天皇賞での1バ身と言う着差以上の強さがヒヌマボークにある事は理解していた。

 

「まぁシルさんも成長してますから、有馬記念はともかくジャパンカップは勝つと思いますよ。ニンジン賭けても良いです」

 

 ヒヌマボークが勝つイメージがあるが、シルフィードが原作以上の力を身に着けているとも考えるイッキは、そうフォローをした。

 その言葉にオグリキャップが反応した。

 

「…じゃあ私もヒヌマボークに賭けるから、ジャパンカップに勝ったらニンジン頂戴。タマ」

「なんでやねん!」

 

 ただニンジンが欲しいだけのオグリキャップの発言に、タマモクロスがツッコミを入れた。

 

 イッキは少し間をおいて、シルフィードについても話を始める。

 

「そしてシルさんですけど…来年には恐らく満場一致で入会に賛成する事になるでしょう」

「さっきと逆になるけど、ヒヌマボークやマキシマムがおるのにか?」

 

 シニアの中長距離には6つのG1があり、クラシック二冠のシルフィードはその内1つでも取れば条件を満たすのだが、ライバルが強力なだけにそこまで言い切れるのかとタマモクロスは疑問に思った。

 だが、イッキには先ほどのヒヌマボーク同様にシルフィードにも原作を知るが故のイメージがあった。

 

「えぇ、私の予想が確かならシルさんは今までどのウマ娘も出来なかった事を達成できると思っています」

 

 イッキが思い描いてたのは、日本のウマ娘として初の凱旋門賞制覇。

 現実でも多くの馬が挑戦しても達成できなかった偉業である。

 

「流石に言い過ぎじゃないでしょうか?どのウマ娘もと言いますと、ルドルフ会長等も入りますわよ」

「まぁヒヌマボークの事言うた感じからも、ただ先輩やから贔屓してる言うわけでも無いやろ」

 

 もちろんこの場に居る他のウマ娘達はそんな事を予想できない。

 ヒヌマボークの時に贔屓目抜きで話をし、なおかつ今も真剣な表情で今も話をするイッキの真意を測りかねていた。

 

「(もぐもぐ)ならば見極めれば良い。実力で私たちを黙らせられるかを」

「オグリン、良い事言うてるんにお菓子食べてたら説得力無いで」

 

 イッキの自信満々の言葉に、オグリキャップはそこまで言うなら見てやろうと言う気になっていた。

 お菓子を食べる手は緩めていないが。

 

「う~ん、なら議題は保留言う事でえぇやろ」

「「「異議無し(ですわ)」」」

 

 オグリキャップの意見に皆が賛成し、この場での結論はしない事になった。

 

 ちなみにイッキは何一つ決まっていない様子を見て、『結局なんの為にこの会をやってるんだろう』と思って居たりした。

 

「じゃあ今日の議題はこれで終わりやけど、イッキやんも折角来たんやし親睦深めてってな!」

「それじゃあ遠慮なく!」

 

 そして会合は一気に懇親会の様相に変わる。

 一番年下であり可愛がられるイッキだったが、自分の知る名ウマ娘達との交流を楽しむのだった。




芦毛(+白毛)の会
会長:タマモクロス
副会長:オグリキャップ
幹事:ビワハヤヒデ
会員:メジロマックイーン
   ゴールドシップ

会員候補:シルフィード
     ヒヌマボーク
     ブルーエンブレム
     ヤシロハイネス
     ミドリマキバオー
     シンガリイッキ
     他セイウンスカイ、カレンチャン、クロフネ、ヒシミラクル等
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