ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

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やっぱりうちの先輩たちは凄過ぎる。

 良く晴れた水曜日。

 私たちチームデネブのメンバーは川崎レース場で、アルさんのレースが始まるのを待っています。

 

「園田もそうでしたけど、地方シリーズでも観戦者多いですよね」

「今回はG1と言うのもあるけど、アルフィーの評判による所もあると思うわ」

 

 園田レース場では、遠征してきた中央のウマ娘見たさと言うのもあるだろうし、今回の川崎レース場は首都圏のため普段トゥインクルシリーズを見てる人も来やすいと言うのもあるのだろう。

 

 ゴール前の場所取りをしている私とひかりさんの元に、パドックを見て来たシルさん、ストさん、マキちゃんが戻って来ます。

 

「あ~、今日もアルさんの相手になりそうなウマ娘は居なそうだな。兵庫の娘は前より力着けてると思うけど、アルさんも鍛えてるからな~」

「ストさん、どうしてそう思うのね?」

「うん?雰囲気見てると何となく強いか弱いかわかるじゃん」

 

 いえ、普通は解りません。

 その証拠に、私だけじゃなくシルさんもマキちゃんもストさんの事を不思議そうな顔で見ています。

 

 まぁストさんは原作でも相手を見て走ってた様子がありますけど、普通よりもそう言った感覚が鋭いのかも知れません。

 

 それにしても、シルさんもアルさんも頭が良いウマ娘ですが、ストさんに関してはベクトルが違う頭の良さを感じます。

 

 私の記憶にあるのは強い相手にはより実力を出して、そうでない相手にはそれなりに走る馬の姿。

 そしてそれなりに走ってる時は勝ち負けにも執着しないのがストライクイーグルと言う馬。

 

 言うなれば、シルさんやアルさんの頭の良さは優等生的な偏差値が高いもの、ストさんの頭の良さは成績は悪くてもIQが高いものと言えるだろう。

 

「まぁアルさんは手を抜かないだろうから、負ける事は無いでしょ」

「ボクもレースでは手を抜かないよ。ストちゃんはすぐサボろうとするけどね」

「そんな事無いっすよ~」

 

 そんなストさんの様子に、ひかりさんも頭を痛そうにしている。

 

「イーグル、他人事みたいに言ってるけどあなたも来年はデビューするのよ。あなたはアルフィーと違ってダートは苦手みたいだし、長い距離(ホープフルS)だとライバルが多いわよ。」

 

 来年のホープフルSには、仕上がりが早ければヤシロハイネスさんも出るだろうし、ダービー馬で宝塚記念でストさんを破ったあの馬がウマ娘になっていないと言う事も無いでしょうから、何気に強い相手が揃いそうな気がします。

 まぁ原作前半で最大のライバルだったあの馬もウマ娘になってるでしょうけど、そっちは朝日杯の方に出そうな気がします。

 

「う~ん、まぁクラシックになってから出走権取れば良いですよね?」

「本当に、あなたはそう言う所が良いのか悪いのか…」

 

 ストさんは何だかんだで器用なウマ娘だ。

 原作でも安田記念(2着)から天皇賞(春)まで幅広い距離で好勝負をしている。

 どこか歯車が噛み合ってれば、三冠+古馬王道完全制覇+安田記念とか勝ってても可笑しくないウマ娘ですからね。

 

 まぁ、そこでやる気が出ずに勝ちきれないのも、ストさんらしいと言えるのですけれども。

 

「あっ、アルさんが入ってきたのね!」

 

 そんなことを考えていましたが、マキちゃんがアルさんが入場してきたのを見つけました。

 

 私たちは、息を合わせてアルさんに声をかけます。

 

「「「「アルさーん(ちゃーん)、頑張って!!」」」」

 

 アルさんは、私たちを見つけると一つお辞儀をする。

 G1でも特に緊張している様子もなく、問題なくレースに入れそうです。

 

 

 

 

 私がレース前の準備運動をしていると、見知った方が話しかけてきました。

 

「アルフィーさん、今日もよろしくね」

「ロードさん、園田以来ですね」

「ははは、メールとかしてるからあまり久しぶりの気もしないけどね」

 

 兵庫ジュニアグランプリの後、連絡先を交換した私たちはウマが合ったのか、それなりに連絡を取り合っていました。

 何となくですが、私の知ってる人と雰囲気が似ているのも理由でしょうか?

 

「それにしても、兵庫ジュニアグランプリの直後はこのレースに出ないって言ってたのに、予定を変えたのですね」

「トゥインクルは無理でも、だったらドサまわりしてG1を取れるだけ搔っ攫おうと思うから、遠征とG1の雰囲気に慣れるために出ておこうかなって。アルフィーさんがクラシックシリーズに行くなら、ダートのレースは良い勝負になると思うからね」

 

 先を見据えた向上心はどこかマキシマムさんを、自分の能力を見据えて現状を分析している所はどこかヘルメスさんを彷彿とさせます。

 実は二人の親戚とかでしょうか?

 まぁそうなると、マキシマムさんとヘルメスさんも親戚と言う事になりますけど。

 

 私は少し思考していると、ロードさんは更に言葉を続けます。

 

「勿論、今日も負ける気では走らないよ。だから手を抜いたら怒るからね!」

 

 そう言って笑うロードさんに、私も微笑みを返しつつ一言いう。

 

「…元から手を抜く気はありませんよ」

「それでこそアルフィーさんね!」

 

 

 

 

さぁ、砂のジュニア最強決定戦、全日本ジュニア優駿。

全ウマ娘がゲートインしました。

 

スタートしました。

勢いよく飛び出したのは注目の一番人気アルフィー。中央からの参戦。

それに各ウマ娘も必死に着いていこうとしています。

3番人気の園田のロードディングルはやや控えています。

 

向こう正面、先頭のアルフィーの後ろに一団となって…

 

 

 

第3コーナーから第4コーナー、先頭のアルフィーが引き離しにかかりますが、後ろの娘は着いて来れていない!

ロードディングルが2番手集団を抜いて直線に入りますが、先頭との差は縮まらない!

アルフィーとロードディングルとの差は10バ身、これはもうセーフティーリードか?

 

いまアルフィーが一着でゴールイン!

続いて2着のロードディングル、更に大きく離れて3着は地元の…




ウマ娘名鑑その8
ロードディングル(オリジナル)

 園田レース場で負けなしのウマ娘だったが、アルフィーに負けたあと中央入りの夢はすっぱりと諦めた。
 それでも自分なりに上を目指そうとするメンタルが強い娘。
 この後で中央のスカウトが来るが断ったり、ダービーグランプリを勝ったり、チャンピオンズカップでリップと死闘を演じたりって構想もありますが、たぶん今回が最後の登場になります。
 マキシマムやヘルメスの父親のディングル産駒って設定ですが、特に体質的な弱さは無いです。母馬が丈夫だったって事で。 
 モデルにした馬は、なんでこの血統の馬が地方で走ってるのって意味で宇都宮競馬のブライアンズロマンと、名前は兵庫三冠馬ロードバクシン。

容姿(ウマ娘)
 外はねのセミロングの茶髪で、小柄な体格。右耳に赤色のリボン。
 顔はやや釣り眼だが特にキツイ印象は持たれない。
 普段着は地味目な色のジャンパースカートの下に明るい色のシャツを着ている。
 勝負服は頭にティアラを着け、黒いラインが入ったフリフリの赤いドレス。
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