ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

5 / 65
一部原作に出ていない捏造設定があったりしますが、ご容赦ください。


皐月賞(中等部1年)~大雨の中のアクシデント

さぁ、各馬一斉にスタートを切りました。

 

まずはホームストレッチで先行争い。

 

先頭に出たのはカザマゴールド。今日も逃げ切りを目指します。

注目のマキシマムも好スタートで2番手につけるが・・・

おっと、マキシマムを囲むように各馬一団となって前に行きます。

シルフィードはポツンと1頭、少し後方から着いていきます。

 

各場一団となって、第一コーナーに入っていく。

先頭は依然としてカザマゴールド、2番手は…

 

 

 

 また出遅れちゃったかな…

 ひかりさんに散々言われてたのに、レースになるとどうも駄目だなぁ。

 

 まぁ、やっちゃった事はしょうがないから早く切り替えないとね。

 それに、このペースはちょっと早い気がするし、自分のペースで行った方が良いよね?

 只でさえ足元が悪くて、普段より疲れそうな感じだし。

 

 

 

 それにしても、今日の馬場はどろどろだね。

 こんだけどろどろだったのは、この前の泥んこ練習ぐらいかな?

 ストちゃんが「蹄鉄に水かきをつけとけば?」なんてあの練習の時に言ってたけど、今なら冗談じゃなく受け取れるね。

 

 

 

 …残り1000メートルか、前の方に居た娘達はもう下がってきている?

 やっぱりペースが速いんだ。

 

 

 

 残り600メートル、前に残っているのはマキシマムさんに、カザマゴールドさんだ。

 ゴールドさんはもう一杯かな?

 このコーナーを抜ける頃には追い抜けそうな感じだ。

 

 

 

 さぁ、直線だ。

 ゴールドさんの外側に並び、もう前にはマキシマムさんだけ!

 ここから体勢を低くして一気に…

 

 

『無理~』

 

 

 ビリッ

 

 

 !?

 ゴールドさんの腕が服に絡まった!?

 

 

 ヤバい!袖が!?

 

 

 

 

 すれ違いざま、シルさんの服の袖がカザマゴールド先輩の腕に絡んで、袖が破けた。

 スローモーションの様にはっきりとそれが見えたその瞬間、ひかりさんが叫んだ。

 

「まずい!このままじゃ落服になるかもしれない!」

 

 周りを見ると、ひかりさんとそしてアルさんが険しい顔をしている。

 一方で私を含め、ストさんとマキちゃんも今一状況が解っていない顔だ。

 

 だが、その落服という響きに私の中の不安が増大していく。

 

「落服?何ですか、それは?」

 

 ひかりさんに、ストさんが問いかけをする。

 それに答えてひかりさんが説明してくれた。

 

「勝負服は勝負に臨むための神聖な装いであり、それを一部でも落とすと言うのは真剣勝負への冒涜であって、失格になると言う決まりがある。それを落服と言う。授業でも学ぶと思うが…まだ中等部じゃ知らないか。」

「ん~、それって相撲の不浄負け(まわしが外れる)みたいなもんなの?」

 

 そう、それってつまり…

 

「そう言う事だ。服飾の技術が上がり、昔の経験から落服しやすいデザインが減っている現代ではまず見ることが無くなったが、その決まり自体は未だにも有効だ。」

 

 

 つまりは私が騎手が居ないから起こらないと思っていた、落馬と同じ事じゃ無いですか!!??

 

 

「シルさ――――――ん!!」

 

 

 

 

 まいったな、このまま服が飛んでいかないように抑えてたら、マキシマムさんに離される一方だ。

 だけど、皆ばてているのか、後ろからは他の娘は来ていない。

 このままでも、2着にはなれるだろう。

 

 

 アクシデントがあったんだ、2着でも十分だよね?

 

 

 そう思う自分の脳裏に、今日まで助けてくれたチームの皆の顔が思い浮かぶ。

 

 

 

 2着で良いの?本当に?

 

 

 

 いや、2着で良いレースなんて一つも無い!

 ましてや、このレースは3冠レースの初戦皐月賞。

 

 

 出たくても出られない娘達も居るのに、そんな事でどうするんだ!!

 

 

 

 

 シルさんがスパートを再開する。

 袖口を握りしめて、精一杯腕を振ってマキシマム先輩を追う。

 

 

 中山の坂を登り切り、マキシマムさんに並びかける。

 

 

 いける!

 

 

 …と思った瞬間、無情にもマキシマム先輩が更に前に出る。

 

 

 

 思わず、マキシマム先輩に向かって手を伸ばすシルさん。

 

 

 

 

 その手からは、破けた袖が妖精の羽の様に中山の空を舞った。

 

 

 

 

 

さぁ、中山の坂を先頭のマキシマムが駆け上がる。

シルフィードは伸びないか?

 

いや、シルフィード来た!シルフィード来た!

腕を大きく振ってシルフィードが延びてくる!

 

シルフィード並びかけるか?

だがここに着てマキシマムが更に伸びる!

 

マキシマムか?シルフィードか?

マキシマムか?シルフィードか?

 

 

マキシマムだ!いま、頭一つ抜けてマキシマムが1着でゴールイン!

2着はシルフィード、3着はカザマゴールドが残ったか?

 

 

…ですが…このレースは審議のランプが灯っています。




ウマ娘名鑑その4
カザマゴールド(風のシルフィード)

 3億円で落札されたマキシマムに対抗した馬主が、2億円で落札した馬。
 スピードに優れた馬で、本質的にはマイラーと天皇賞(春)出走時に言われるが、馬主の都合に振り回された馬。
 主戦騎手のせいもあってダーティーなイメージがあるが、馬自体は騎手の指示に素直に従っているだけで全く悪くないと言いたい。

容姿(ウマ娘)
 前髪の先っぽだけ白みがかった茶髪に、右耳に金色のリング。
 顔立ちはやや人相の悪い目つきだが、大柄で豊満な女性的な体格。
 普段着はワンピースを好んで着ており、色も白や水色等の清楚な物が多い。
 勝負服は黄色時に金縁をあしらった上着に、インナーは黒のシャツとショートパンツ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。